艦これの転生もの   作:you-new

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 ―おめでとうございます!―

 ―あなたは艦これの大型バージョンアップに伴うテスター提督に選ばれました―

 

 そんなメールが届いたのは艦これ開始から数年経ち、イベントが終わった数日後のことだった。

 迷惑メールかと思ったが、メアドは確かに配信元からだった。

 いつも使っているショートカットからログインするとメッセージに同じ内容が届いていた。

 

 

 

 

 

 それから数週間後、次期verのテスト用新規鎮守府が作られ、テスト開始とともにログインした瞬間に意識がブラックアウトした。

 

 目を覚ますとそこには、何かがいた。

 光っていて見えないが、よーく見ると圧迫感を感じる存在という何か。

 

「私は艦これが大好きな転生神だ。君には艦これ世界に転生してもらう」

 

「…」

 

「いきなりで悪いが拒否権はない。何、君の人生はどうせ寂しく艦これをやっているだけだし、君の好きな艦これ世界に転生できるのだ悪い話ではないだろう」

 

 まあ、別にどうでもいい人生になってしまったしなぁ…。

 有ることが原因で恋人に振られて自暴自棄になっていったことを思い出す。

 ふぅ…お湯が飲みたいねぇ…。

 

「転生先の艦これ世界について説明する」

 

1.深海棲艦が現れてから1世紀近く、艦娘が存在せず人類が劣勢に立たされている。

2.各国の詳しい事情は不明というかそういうもろもろは面倒だからカット。

3.文明が昭和初期なみに退化。

4.深海棲艦の航空部隊により空襲があり、一部を除き内陸に追いやられている

5.転生提督達は二十歳になった時に艦娘を召喚できる。

6.初期艦娘は完全にランダム。最大6人(一艦隊分)召喚できることもある。

7.資源は科学技術などに転用できない。霊的な物質みたいなもの。

8.資源は妖精さん(二十歳になったら見えるようになる)が勝手に作ってくれる。

9.資源は提督レベルによって生産速度が上がる。

10.詳しくは妖精さんから貰えるPCで確認できる。

 

「一つ質問が」

 

「言いたまえ」

 

「提督レベルは戦闘とか戦果で上がるのか?」

 

「基本的はそうだが、転生後の人生によって変わる。艦娘召喚まで何もせずに待っていたら…どうなるだろうかねぇ」

 

 うーん…艦これがVRゲームになったみたいな世界に転生するって形か…。

 

「それ以外にもいろいろ設定があるが、君は真面目そうだから問題ないだろう。詳しくはPCを見てくれ。では早速転生だ」

 

 そして俺は艦これっぽい世界に転生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 艦これっぽい世界、思っていた以上にやばかった

 まず文明、携帯電話、スマフォってなんですか状態。過去にそんなものがあったという存在になっていた。

 テレビもカラーは少ないし、地デジ…?って状態だし、一部ではラジオが主流だし。

 PCはあるが生産できないため、政府が保管していて一部部署でのみ使用している。

 重機とかもほとんどない、海に面していて無事なのは日本三大都市付近のみで大半が内陸に避難。

 岐阜とか長野の辺りがかなり栄えている。

 

 そして…飯がまずい。飯が、まずい。

 大事なことなので二回言いました。

 

 どうやら深海棲艦が現れた時の混乱期にかなりのレシピやら、農作物の育て方が失われた模様だ。

 なので俺はくっそまずい飯をどうにかしようと日々を過ごしていた。

 たとえば空襲のイエロー地域近くの範囲に畑を耕したり、米、麦、大豆を元に酒、醤油やらを作ったり、テンサイから砂糖をつくったり、きのこ類を栽培したりして完全に農家になっていた。

 

 そして俺はそれらを元に、小料理屋を開いていた。

 この世界ではチャーハンのレシピすらなくなっていた。だからうまい料理屋として一部通の人間(大半が金持ち)が通うようになっていた。

 肉はくっそ高いし、育てるのも大変なので豆腐ハンバーグを作ったり、生まれたところが山奥だったということを利用してアケビ酒を作ったり、干し柿を作ったり、春にはタケノコの新芽を刺身にしたり、育ったタケノコは干して乾物にしたり、本当に何をやっているのだろうと思いながらも人生を満喫していた。

 というか艦これっぽい世界だということを忘れかけていた。

 

 

 

 転生する前の世界では料理が趣味だった。

 果実酒を漬けたり、山菜を取って天ぷらや炊き込みご飯を作ったり、カレーはカレー粉から調合したりしていた。

 しかし、それが原因で彼女と別れてしまった。

 結婚しようとすら思っていたのに、結婚して家庭に入っても夫が自分よりも料理ができるのは嫌だと言われた。なまじっか彼女は家庭的でいいお嫁さんになるだろう器量良しだったので、料理上手な自分と合わないと思ったのだろう。

 そんな自分の趣味程度の料理でもこの世界では魔法のような料理となる。そして物価がおかしいため、これだけで生活できていた。

 

 

 

 そんな俺も二十歳になった日のこと。

 朝起きると妖精さんが挨拶してきた。

 …何を言っているのかわからないが、とポル状態になったが転生神の言っていたことを朧げに思いだした。

 そして妖精さんに誘われるまま、海に来てしまった。

 

 妖精さんが何かの儀式をすると、海面が光り、女性、いや女性達が現れた。

 

「英国で産まれた帰国子女の金剛デース!ヨロシクオネガイシマース!」

「金剛お姉さまの妹分、比叡です」

「高速戦艦、榛名、着任しました」

「はじめまして、私、霧島です」

「航空母艦、一航戦赤城です」

「航空母艦、一航戦加賀です」

 

 …これが初期艦娘?戦力過多すぎない…?

 

 

 


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