艦これの転生もの   作:you-new

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「さて、これより新艦娘の召喚を始める!」

 

 艦娘と妖精さんがパチパチパチと拍手を鳴らす。

 

「では、召喚!」

 

 現れたのは、

 

「航空母艦、蒼龍です」

「航空母艦、飛龍です」

 

 二航戦コンビだった。

 また、軽巡洋艦、駆逐艦はなし、か。ははは……はぁ…。

 

「秋月型防空駆逐艦、一番艦、秋月。ここに推参致しました。お任せください!」

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

「来た!駆逐艦来たー!」

 

「え、え、な、なな、なんですか?」

 

 おっといけない。つい興奮してしまった。

 我が鎮守府初の駆逐艦だ。

 これは念入りに歓迎しなければ。

 

「つい興奮してしまってすまない。この鎮守府には軽巡洋艦、駆逐艦がいなかったからな。君が初めての駆逐艦ということになるんだ。特に対潜戦で存分に活躍して欲しい」

 

「は、はい。よ、よろしくお願いします」

 

 ああ、やっと駆逐艦が来た。これで小笠原諸島攻略作戦も可能になった。

 

「え、えーと…私達はどうすればいいのかな?

 

「多聞丸…私どうすればいいの?」

 

 あ、つい忘れていた。

 

「おっと、すまない。君達の着任を歓迎する。ということで歓迎会を開こうと思う。先任の艦娘達と飲み食いしながら親睦を深めてほしい」

 

「はい。わかりました」

 

「了解です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで、歓迎会兼瀬戸内海解放作戦成功の祝勝会を始める!」

 

 本日の料理は、海の幸だけだ。

 取れたばかりのサザエ、アワビを壺焼きと蒸したもの。醤油や味醂で味付けしたくらいの調理だ。

 エビ、マグロなどの刺身。

 後は真白な米、ごはん。

 そして日本酒。

 今回は手のこんだ料理はない。

 なぜなら…作れないから。

 サザエ、アワビを調理したり、寿司を作ったりするのは素人では無理だ。

 できるにはできるのだが、素材の味が死んでしまう。素のままで食べた方がうまいのだ。あの獲れたて焼きたての味には勝てない。

 料理人としては屈辱だが、プロってわけでもないので妥協した。でも屈辱だ。いつか新鮮な海の幸を活かした料理を作ってみせる。

 海鮮丼は普通に昼食とかの定番になってるから今回出番はありませんでした。

 浜鍋でもいいが、あれは冬に取っておきたい。

 カレーとかもいいが、スパイスがない。日本に材料がないのでどうしようもない。

 辛味の強い大根、ショウガ、ニンニク、山椒や七味唐辛子に使用されているアレなどを調合し、バターと小麦粉、細かく刻んだタマネギなどで、ルーを作り、醤油などのかえしを入れてみたが、カレーもどきにしかならなかった。そしてなによりおいしくなかった…あーカレー食べたいなぁ…。

 

「先輩、よろしくお願いします!」

 

「先輩達にも負けない活躍をして見せます!」

 

「ええ、よろしくね」

 

「そうね、五航戦とは違うところを見せてもらうわ」

 

 俺がカレーに思いを馳せている間に皆は和気藹々と盛り上がっているようだ。

 

 空母グループの仲は悪くない。

 赤城、加賀の一航戦は先輩で、蒼龍、飛龍の二航戦は後輩という感じか。

 一航戦は先任でもあるので、練度的にも差がある。

 二航戦達は一航戦達に面倒を見させよう。同じ艦種だし、五航戦と違い問題ないだろう。

 

「えーと皆さんよろしくお願いします」

 

「オー!そんなに硬くならないでくだサーイ。この鎮守府はいい雰囲気ネー。提督の作る食事もおいしーし、もっと気を楽にしてくだサーイ」

 

「そうね、提督は無謀な作戦は立てないし、私達のフォローもしてくれるいい人だわ。まあ駆逐艦が『一人』だから固くなるのも無理ないないわね。でも困ったことがったら溜め込まずになんでも言って」

 

 秋月には金剛、ビスマルクが両脇にいて面倒を見ているようだ。

 ビスマルクはドイツ艦だから皆とは一歩引いたところがあったが、何かあったのかわからないが秋月の面倒を見ている。

 金剛はあれで長女なだけあって、普段のボケキャラとは思えない面倒見の良さがある。とはいえ、何かやらかすのも金剛でそれのフォローをするのが妹達だ。

 

 新しい艦娘達も無事馴染めそうだ。

 明日からは佐渡島、小笠原諸島攻略に向けて頑張るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、今日から佐渡島、小笠原諸島攻略に向けて艦隊を編成する」

 

 朝食が終わり、通常ならば各自の業務、出撃や演習、休暇などがある時間帯、黒板が置いてある部屋でこれからについて説明することにした。

 

 艦娘達は木でできた椅子に座っている。

 金剛は椅子をプラプラさせている。姉妹達は金剛を中心に、金剛をちらちら見ていたり、黒板をじっと見ていたり、何か考えたりしている。

 赤城、加賀は普段と同じだ。これからの作戦について一緒に考えたのは彼女達なので、当然だろう。

 扶桑型姉妹は行儀よく椅子に座って、俺の話を聞いている。

 ビスマルクは腕を胸のあたりで組んで、俺の話を聞きながら何かを考えている。

 二航戦コンビは緊張しながらも、話を聞いている。

 秋月は、戦艦、正規空母に囲まれて緊張していて、話に集中できていない。が、これはしょうがない。

 

「まずは第一艦隊。旗艦金剛、比叡、ビスマルク、赤城、加賀。佐渡島攻略に向けての実戦演習が主になる。佐渡島は簡易鎮守府作成後すぐに実施する。予定では七月下旬から八月上旬だ。それまでに練度を高めておいてくれ」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

 まあ、どう考えても過剰戦力だが、油断慢心せず全力を出すからこそ、この編成だ。

 できれば一人も犠牲を出したくない。ネットワークでは犠牲が出てトラウマになった転生提督がいるという…。

 だからこその過剰戦力だ。

 

「次、第二艦隊。旗艦榛名、霧島、蒼龍、飛龍。実戦演習に置ける第一艦隊の仮想敵の役割だ。実際には敵戦力はもっと低いだろうが第一艦隊の練度を高めるため全力で相手になってやってくれ。また、同時に佐渡島の敵戦力の偵察及び、四国近辺の警戒任務も行う。作戦にこそ関わらないが、作戦開始までが主役と言える艦隊だ。皆頼む」

 

「「「「了解です!」」」」

 

 この艦隊は作戦開始までが忙しい艦隊だ。休みも少ない。

 実戦は蒼龍、飛龍は練度は低いが榛名、霧島がいるので大丈夫だ。敵に航空戦力がいないから撃ちたい放題だしな。

 仮想敵役については正直意味がないと思うが、蒼龍、飛龍の練度を高めるのが本当の目的だ。これは赤城、加賀の意見で決まった。後輩を可愛がりたいというのもあるし、今後の航空戦力の充実を図っていくのもあるのだろう。

 

「第三艦隊。旗艦扶桑、山城。この艦隊は、小笠原諸島の偵察任務専属だ。任務の際には秋月を連れていくこともある。また、小笠原諸島攻略での対潜戦で戦力にする予定なので、演習は対潜戦をメインに頑張ってくれ」

 

「「扶桑、山城、了解しました!」」

 

 小笠原諸島は距離がある上に、周辺を潜水艦隊が警戒しているらしい。

 秋月が来たとはいえ、駆逐艦一人では心もとないので、小笠原諸島攻略の対潜戦においてこの二人も主力だ。いや、この二人以外では対潜戦ができない。

 ないものねだりとは分かってはいるが、せめてもう一人くらい軽巡洋艦か駆逐艦が欲しかった…。

 

「第四艦隊。旗艦秋月。旗艦とはいってもあまり意味がない。主に第三艦隊と共に行動してもらうからだ。しかしそれ以外に解放されたばかりの四国に人や物資を運ぶ船の護衛任務を単独だがこなしてもらうことになる。領域と結界の狭間には第二艦隊が警戒に当たり、結界が張られた安全な瀬戸内海での護衛なので実戦はない。しかし、解放され結界が張られたとはいえ、人々は安心できていない。それを安心させることは復興への足がかりとなるだろう任務だ。心して行ってほしい」

 

「は、はい!了解しました!」

 

 半端に現実世界だから、こういう任務の要請もある。

 ゲームだと遠征するだけの任務みたいな任務だが、この世界だと不真面目な艦娘は向いていない任務だ。

 もし秋月が来なかったら戦艦でもこういう任務に派遣しただろう。復興とか大事だしね。将来おいしいものが食べられるようになるからな。

 

「今日の午前は各隊で親睦を深めてくれ。では解散!」

 

 さて、俺は昼食の仕込みをするか。

 各隊に分かれて話しているのを尻目に俺は部屋を出ていった。

 なお、秋月は第三艦隊と一緒に行動している。

 決してボッチではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕食も終わり、自室の妖精さん手製のソファでぼけ~としていた。

 今日から各隊が同じ部屋で生活することになったので、しばらく赤城達は部屋に来ない。

 久し振りの一人の時間なのだが、なんか気が起きずぼけ~としているのだ。

 たぶん誰かしらがいる時間に慣れてしまったので一人でいる時間に何をするのか、すればいいのか忘れてしまったんだろう。

 ってなわけで視線を宙にやってぼけ~としている。

 

 コンコン

 

 ノックの音ではっと我に返った。

 

「どうぞ」

 

 ソファに座りなおし、応答の声を上げた。

 

「失礼します」

 

 入ってきたのは秋月だった。

 戦艦クラスは皆女性と言えたので、少女と言える秋月がパジャマを着ているのは何か新鮮だ。

 

「秋月か。何か用か?」

 

 とりあえずお茶を出す。

 

「は、はい。その………護衛任務を行うのは私でいいのでしょうか?新参だし、練度も全然足りないし、私以外の方が安心できるのではないでしょうか?」

 

 不安そうに聞いてくる秋月。

 まあ、無理もないかもしれない。

 

「まず、護衛任務というが、形だけだ。艦娘がいるだけで安心できるので、艦娘がいるだけでいいんだ。だから秋月だけでも行えると思ったのだが、絶対に無理だと言うなら他の艦娘に回そう。正直に言ってくれ、無理、か?」

 

「え、あ、その…」

 

 まあ、無理なんて言えるわけないよなぁ。

 

「あー…新しく来たばかりにいきなり単独で任務させるのもどうかと思うのところもあるので、正直に言ってほしい。無理だとしても何か変わるわけじゃないし、それで責めるとかしないから」

 

「………その、無理ではないです。でも不安です」

 

 うーん…どうしよう?

 絶対安全圏と言えるから護衛とは名ばかりの任務だし、でもいきなり任せるし、ああ、でもなぁ………ん?絶対安全…?もしかして……。

 

「あ、あの?提督?」

 

「あー…秋月がいいならなのだが、護衛任務に俺も着いて行こうか?」

 

 もともとこの世界に転生してからイエロゾーンで畑作ってたし、絶対安全圏なら別に平気だ。

 転生提督PCネットワークの神様情報のマニュアルにも結界の絶対安全圏は安全だと書いてあったし。ルールは絶対なのだそうだ。

 

「…え?えーーー!!!」

 

「いや、絶対安全圏内だから危険はないし、秋月もこれなら気がまぎれるかなぁと思って」

 

「いえ、私は安心できますけど?いや逆にもっと緊張しちゃう?ああ、でも…」

 

 うん、これは今決めるのは無理だ。

 赤城達にも相談しよう。

 第一艦隊から一人二人秋月と一緒にいってもらうこともできるし。

 

「ならまた明日決めよう。とりあえずこの件は預かっておく」

 

「は、はい。わかりました」

 

「この件は今日は忘れて、ゆっくり休んでくれ」

 

 無理かもしれないが。秋月真面目そうだし。

 

「はい。ではお休みなさい」

 

「お休み」

 

 さて、赤城達はまだ起きているかな?

 俺はお茶菓子を用意し、赤城達の部屋に向かっていった。

 

 

 




今回スレ形式はなしです。長くなったから次に分けます。

感想返しはしませんが、感想は全部読んでます。
感想くれた皆さんありがとうございます。
希望のあったiiiiiの日常編はそのうちやろうかなと思ってます。
修羅場は地獄?それとも天国?、どちらにせよ甘美な響きだと思う(ゲス顔)。


E3無事にクリアできました。
ここでも扶桑姉妹が活躍しました。
そして秋月も対空カットインして夜戦連撃してと大活躍。
真面目だけど実はドジっ子っぽい秋月ちゃんをprprしたい。
この話だと唯一の駆逐艦ボッチという不遇さ。くっそ可愛く描写できたらいいなぁ。

蒼龍も何気にお気に入りです。
改二のグラは可愛くなったと思う。
バレンタインのセリフの最後『食べ過ぎないでね?』が食べるなら私のチョコだけ食べてねって言ってるように感じる。
あーもう、くっそ可愛い。

あ、しばらく新しい艦娘は出さないと思います(予定)

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