幻想夢幻傀偽
第1話
永き物語の幕開けは
気が付けば、何も無い白い空間に居た。
きっとここ最近よく見る夢だろう。
それだけなら、いつもと同じ「存り来たり」な夢ってだけで済んでいたのかもしれない。
だけど、どうやら今回の夢は「在り来たり」では済ませないらしい。
なんせ僕の前には鏡や写真などで嫌という程に見飽きた
もの
自分自身が立っていたのだから。
「お前は、一体なn..」
そんな自分の姿をした人に対して、何者なのかと問おうとした言葉は、自分の姿をした人によって発せられた言葉に遮られた。
「お前は、一体何時までそんな風にあの時の幻想郷での
悲劇から目を背け平然とこの世界を生きるつもりな
んだ?そうやって現実を認めずに自分だけ彼女達を置
いて普通に過ごすのか?
答えろ!」
「何をさっきから言ってんだよ。よく理解出来ないよ。
お前は何が言いたいんだよ?!」
そうだ。僕が一体誰と関わったっていうんだ、こんなにもリア充とは無縁な僕が?
それに認めていない現実?幻想郷?悲劇?
告げられた言葉を一つも理解出来ていないというのに
尚も、目の前の自分と同じ姿の人は告げた。
「未だにそんな風に、とぼけるつもりなのか?何故、現実を「だから何が言いたいんだよ!分かるように言って
くれよ。何をどうして欲しいんだよ!?お前は❗」
「...もう良い。お前には何を言っても無駄らしい...」
「ちょっ待てよ!何が言いたかったの教えてくれよ。」
何一つ理解出来ていないのに...自分は消えようとしている。巫山戯るな!散々好き勝手言っといて、話が終わったら勝手に消える?そんな事は「無理だ。現実を認めないお前に言う事など何も無い。」
そう目の前の自分が言った瞬間、手を伸ばせば、届く筈の距離なのに体はむしろ重力によって落下していくような気がした。意識も段々と遠のいてゆく中、頭はずっと彼がさっき言っていた「お前は、一体何時までそんな風にあの時の幻想郷での悲劇から目を背け、平然とこの世界を生きるつもりなんだ?そうやって現実を認めずに彼女達を置いて普通に過ごすのか?」という言葉を、彼が話していた事を何一つ理解していないままに只繰り返していた。
何一つ理解していないというのに、ふとメイド服を着た女の人が血だらけになりながらピンクのナイトキャップを被った少女を抱きながら泣く光景が沈みゆく意識の中不意に脳裏に浮かび上がった。
この時に浮かび上がった光景をその後何度何十度繰り返し見なければならなくるなんて、彼の言葉を理解出来なかった僕が知る筈は無かった。