次回の更新は受験が終わってからになるので1週間以上空くと思います。それまで待っていただけると幸いです
シロのお仕置き(デコピン)があった騒動の日の夜、フィリアンノ城のある一室、ミルヒオーレの部屋では、少女が不機嫌そうに昼間のことについて文句を言っていた。
「なんなんじゃ、あいつは!い、いきなりワシをベッドに押し倒しよって!しかも、そこまでしておいて結局ただのデコピンとは……ふざけおって!!」
「まあまあ、レオ様、シロも悪気があってやったわけでは……」
先ほどから何とかレオンミシェリを宥めようとミルヒが必死にシロのフォローをしようと頑張ってはいるが、あまり効果が見られない。
それもそのはず、なにしろーーー
「あらレオ様、その言い方ですとレオ様はシロナ様に押し倒された時に、何か期待していたんですか?」
「なっ!!そ、そんな訳ないじゃろう!ビオレは要らんことを言うな!」
「それは失礼しました。てっきりレオ様はシロナ様にキスされることを期待していたものとばかり思っておりましたので。………ところでレオ様は、どうしてお顔が真っ赤になっているのでしょう?ふふっ、この部屋は暑くは無いと思うのですが……」
ーーーーこうやって火に油を注いで、からかって遊んでいる者がいるのだから。
「な!!誰があんな情けない女のような奴にキ、キスをされるなどと期待するものか!大体、顔が赤いのは怒っているからじゃ!別に照れているのではない!」
「あらあら、私はレオ様が照れている、とは言っていないのですが?
でも、そうですか。レオ様は照れていない、と。
…なら押し倒された時にお顔を真っ赤にして、目を潤ませて切なげにシロナ様を見つめていたことは、ガネットに帰ってからルージュやバナード将軍にお伝えしてもよろしいですよね?」 ニヤニヤ
「そ、それはダメ「あら、どうしてですか?レオ様は恥ずかしくなかったのでしょう?なら、ヴァンネットにお留守番している皆に土産話の一つとして言ってもいいのでは?」… うぅ……」
わざわざ相手の逃げ道を塞いでじわじわと追い詰めて行くあたり、この女性、かなりのSである。
この手の追求は何でないような顔で適当に聞き流すのが一番の方法なのだが、やはりまだ7歳の少女だからか、それとも動揺しているのか、レオンミシェリにはできそうにない。
「ま、まあビオレもそこらへんで許してあげては…」
一旦2人の会話が途切れたところで、ミルヒが助け舟を出すが…
「申し訳ありませんがミルヒオーレ姫、それはできません。レオ様があそこまで照れているのは滅多にありませんので♪」
「えぇ!?」
…訂正。この女性、ドSである。
一応、時期領主である自分の主が友好国とはいえ、他国の騎士に押し倒され、あまつさえ唇を奪われそうになったのだから、従者としてはそんなことをしでかしたシロに怒るべきなのだが。
「…そうじゃ!そういえばビオレは昼はワシらと一緒にいなかったではないか!ワシがどんな顔をしていたかなんて、ビオレが知っている訳がなかろう!!」
「ふふふ、甘いですよレオ様。確かに私は別行動していましたが、その時の話は全てジェノワーズから聞きましたから。3人とも興奮していてで、色々なことを話してくれましたよ?」
「なに!?」
「…例えば、そうですねぇ、なんでもシロ様とレオ様が見つめあったまま顔が近づいていったとき、レオ様は最後、目を瞑っていた、とか。
あらあら?さっきはキスなんて期待していなかった、と言っていたのに、実際は目を閉じてキスされるのを待っていたんですか?嘘はいけませんよ、レオ様♪」
「そ、それは……………!」
「それに、どうせデコピンをされた後に怒ったのだって、期待してた自分が恥ずかしくなっての照れ隠しでしょうし。レオ様が私に隠し事ができるわけないんですから、素直になった方がいいですよ?」
「……………………………うにゃぁ」
「ビ、ビオレ!?もうレオ様のお顔が真っ赤を通り越して、湯気が出てますよ!?」
「あらあら♪」
結局、追求はビオレが満足する夜中まで続いたーー
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【朝】
「き、昨日のあんな不意打ちでワシに勝ったと思うな!ワシに男だと認めさせたければ、戦でワシと戦って勝って見せよ!!」
「…はぁ」
あ、皆さんどうも、シロです。
起きたら目の前に顔を真っ赤にしたレオ様がいて、いきなり宣戦布告?というより挑発されました。
状況が把握できなくて気の抜けた生返事しか出来ません。
つか、勝って見せよ!って言われても、私はか弱い少女を殴ったりする外道じゃありませんし、戦いませんから。
「こんな朝早くから申し訳ありません、シロナ様。レオ様がどうしても、と言って聞かなくて………」
「ああ、いえ、構いませんよ。…ところでどちら様で…?」
「そういえばお会いしたのはこれが初めてでしたね。失礼しました、私はレオ様の側役のビオレと言います。シロナ様のことは昨日レオ様から根掘り葉掘り聞き出s…
……いえ、聞いていたので♪」
「無駄話をするでないビオレ!」
「うふふ、申し訳ありませんレオ様。今はレオ様がシロナ様と"楽しく"お話されている最中ですものね?」
「べ、別に、た、楽しくなど……!!」
「えー、私はレオと話してるの楽しいけどなあ。あ、同い年で"レオ様"は何か違和感あるからレオ、って呼んでいい?てか呼ぶから。あと、私のことはシロでいいよ」
「それは別に構わんが……」
(あらあら♪)
なんでもないように返事をしたレオンミシェリだが、顔を赤らめて尻尾を落ち着きなさげに揺らしていては嬉しいのがバレバレである。
まだ子供であるため気持ちを隠しきれないのはしょうがないことだが、自分からわざわざビオレを喜ばすような態度をとってしまうとは、迂闊と言わざるを得ないだろう。
「ん、ありがと、レオ。…そろそろ朝ご飯でも食べにいこっか?折角ですし、ビオレさんも一緒にどうです?」
「あら、私もご一緒してもよろしいんですか?」
「…なぜそこでワシを見る。シロもこう言っとるし、構わんじゃろう」
「では、お言葉に甘えて…」
(…やっぱりレオ様は男性から迫られると弱いみたいね。それにシロナ様は普段は穏やかでも、突然大胆な行動をしてくれるし、これからが楽しみな二人ねぇ。外堀から埋めていくためにも、帰ったらさっそくルージュやメイド達に伝えないと♪)
こうして慌ただしくも、平和?な朝が過ぎて行った。
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「むむむ…………これも見てみたいし……でもこっちのも調べたいし…やっぱりさっきのも捨てがたいし………………迷うなあ。」
毎度のことながら、どうもシロです。
レオとビオレさんと一緒に朝ごはんを食べてから少し経って、今はフィリアンノ城内の学術院にお邪魔して図鑑でフロニャルドの色んな花を調べています。
それにしても流石ファンタジー世界、前世では見たことも聞いたこともない花があるわあるわで………もう、花オタとしてはたまりませんな!
前世では世界最大の花、ラフレシアの大きさの軽く二倍はある花とか、ポケ○ンのウツボットもビックリなサイズの食虫植物とかあったし。
できれば実物もこの目で見たいんだけど……、騎士団の訓練とかで忙しいし、お金もないから厳しいかなぁ。
「………………!」
あれ?そういえば一応騎士になったからお給料がもらえるはずなんだけど…そこらへんはまだ詳しく聞いてなかったなぁ。今度騎士団長に聞いてみ……やっぱロランさんにしよう。団長は初日に騙されて地獄の訓練をさせられてからちょっと苦手だし。いや、いい人ではあるんだけどね。
「…………………………ます!」
それにしてもこの一ヶ月で随分色んなことが変わったなぁ。騎士になって、ミルヒやエクレールという2人の妹分ができて、紋章術を習得して、レオやガウル様に会って……。改めて考えるとすごい濃い一ヶ月だ。いきなり騎士になったのは勿論、自国とお隣の国の両方のお姫様と知り合いになってるし。ああ、最近は近所のガキンチョ共とも遊んでなかったなー、今度帰った時にでもまたあそんでやるk……
「いい加減こっちのお話を聞いてほしいであります!!」
「うわぁ!!?ごめんなさ…い?」
「まったくもう!騎士の人がここに来るなんて久し振りなのでお話しようと思って話しかけたのに、無視するなんてヒドイであります!」
……わぁ、なんか怒ってる…んだよね?すごい小ちゃいせいで全然怖くないや。むしろ可愛い。こーゆー子が妹にいたらいいなぁ。
「それで、騎士さんが学術院の図書館で何を調べているでありますか?」
「ん?ああ、ちょっと花のことをね。この世界には知らない花がいっぱいあるから、調べてみたくなったんだよ。本当は実際に見るのが一番いいんだけどね」
「そうなのでありますか。でもこの世界には、と言うのはどういうことでありますか?騎士さんはフロニャルド以外の世界、地球を知っているでありますか?」
「え!?(しまったなぁ…誤魔化せるかな)…ええと、ちょっとだけね。…それよりも!まだ自己紹介してなかったね、最近騎士になったばかりのシロナだよ、シロって呼んでね」
「これはこれは、私はリコッタ・エルマールであります!最近、ということは大人の騎士10人以上を相手に勝った天才騎士さんはシロだったでありますか!?」
「(よし、誤魔化せた!)勝ったは勝ったけど、たまたまだし天才なんかじゃないって。こっちは紋章術も使ったし。」
「それでもすごいであります!エクレでも大人の騎士にはまだ勝てないでありますから」
「?エクレって、エクレールのこと?もしかしてミルヒとも友達?」
「はいであります!最近は研究が忙しくてエクレや姫様とは遊べていないでありますが、いつもはユッキーもいれて4人で遊んだりおやつを食べたりしているでありますよ」
「そっか。リコちゃんたちは仲良しなんだね」ナデナデ
「……はふぅ。気持ちいいであります〜♪……姫様のナデナデは格別でありますが、シロのナデナデも何だかお姉ちゃんにしてもらっているみたいで姫様とは違った安心できる気持ち良さでありますな〜。」
……ああ、わかっていたさ。私が初対面ではほぼ100%女の子だと思われるってことくらい。でもね、わかっていても、私のメンタルにダメージがない訳じゃないんだよ。
「……ソ、ソレハヨカッタナァ」
「?どうしたでありますか?」
「………リコちゃん、私の性別って、どっちだと思う?」
「え?シロは女の子でありますよね?」
やっぱり、髪を切るしかないのかなぁ。
ーーー拝啓、お母様へ
お母様に顔つきが似ていることは嬉しいですが、できれば男の子だと気づいてもらえる顔つきに産んでもらいたかったです。
シロの調べ物はーーたとえメンタルがボロボロになってもーーまだまだ続く。
誤字等ありましたら教えてもらえると助かります。
あと、作者の執筆のモチベーション的に評価や感想、アドバイスももらえると嬉しいです。