青春は爆ぜて緋色に染まり   作:laimu

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閲覧ありがとうございます。
恐らく初めまして、でしょうか。

此度は以前から書いてみたかった、
銃撃戦を主としたお話を書こうと思っています。

といっても私は銃についての知識をあまり持ち合わせていないため、
調べたり想像したりといわゆる付け焼刃で書くしかありません。

銃に詳しい方からすれば
「ふざけんな!こんなの銃じゃねぇ!」
って感じかと思いますが、そこは目を瞑って下さい。
仕方ないのです。銃について覚えるの大変なんですもん。


そんなわけで本編です。



序章—日常の終幕—

 文字通り充満した煙の中で36人ぶんの咳や悲鳴が木霊する。

 火災訓練で習った通りハンカチを口にあてながら姿勢を低くしてみたが、全く効果は無かった。息が詰まる。周りが見えない。正確には辺り一面真っ白で何もわからない。 まるで何もない空間に放り込まれてしまったかのような錯覚に陥ってしまう。

 突然の事態に硬直しそうになる頭を必死に動かして現状を把握しようと試みる。

 周りは白一色。煙だ。花火の臭いがする。火薬だろうか。ここは南校舎の三階、階段の一番近く。もし火災だとすれば消防隊員なり救急隊なりが到着するのにそう時間はかからないだろう。大丈夫。しかしなぜ火気がないはずの私たちの教室――3年A組――で火が上がったのだろう。いやまて、本当にこれは火事だろうか?熱源は窓から降り注ぐ日差しのみだ。窓。そうだ窓だ。私はあの時窓の外を眺めていて……外から煙が吹き込んできた?まさか。確かあの時……

 一呼吸。またしても焦り始めていた自分を叱咤する。

 窓から入って来たのは煙ではなかった。何かはわからないが、とにかく何かが入って来た。ということは窓が空いているということで、それならばすぐに煙は引くはずだ。

 私の予想通り、数分もしないうちに煙は引いた。

 しかし、予想外のことが二つ。

 一つは、助けが来るどころか校舎から一切の――私達A組以外の人気が消えていること。

 そしてもう一つは、私たちの教室のそれぞれの席、それぞれの机の上に―――――

 

 

 

 

 

 

 窓の外、私たちの学校の真上を通過した飛行機は、太陽から少し逸れた方向へと白い線を伸ばしていく。

 教室には朝日がほぼ真横から入り込み、朝特有の澄んだ空気を暖めていく。

 HRと一時限目の間のわずかな時間。

 平凡な私達が通う平凡な学校。平凡で、少し幸せで、少し物足りない。そんな一日を送るべく、3年A組の36人は今日も南校舎の一角に集まる。

 遅刻はゼロ。体調不良者も特に居らず、皆友人との談笑や仮眠や読書など思い思いに時間を過ごしていた。

 

 私の名前は霜月フミ。肩まで伸ばした髪を指先に絡めながら窓の外を観察するのが毎朝の日課となっている。そろそろHRの時間なのだが、私たちの担任が現れる気配は無い。元々少し抜けているところがあったので、おおかた寝坊でもしたに違いない。欠伸を噛み殺しながら窓から視線を外す。私が座っている席、教室の右端最後列からはクラスメイトほぼ全員を見回すことができた。背後の入り口から入ってくる隙間風が首筋を撫でる。今年の春は例年より気温が低いらしく、新学期が始まっても平均気温10度を下回る日々が続いている。襟を引っ張り上げ、冷気から首を守ろうと奮闘しているところに左斜め前方から声がかかる。

「先生、遅いね。何かあったのかな?」

「さぁ……まだ寝てるんじゃないかな?」

 少し冗談めかして答える私に、話しかけてきた少女はくすり、と笑ってみせる。

 彼女は黒崎マリ。比較的おとなしい性格で、いつもにこにこしている印象がある。彼女とは仲が良く一緒に居ることも多いのだが、今朝の彼女は普段とどこか違っている気がした。

「その髪留め、どうしたの?」

「あぁ、これ?」

 前髪に留めてある黒い髪留めに触れながら、彼女は答える。確か昨日まではつけていなかったはずだ。おしゃれに目覚めたのだろうか。

「何か……変わるかと思って。変?」

 確かに印象は若干変わって見えた。

「いや、変じゃないよ。似合ってる。」

 そう答えた私に彼女は何か言いかけたような気がしたが、一瞬目をそらすといつもの微笑みを浮かべながら話題を逸らされた。何かまずかっただろうか。少し気になったが詮索はしない。無暗に知りたがることは避けなければいけない、と言うのは私が十数年生きてきて導き出した生きる術の一つだ。2、3分ほど会話をしたあと、彼女は自分の席へと戻っていった。時計を見るとHRの時間はとうに過ぎ、一時限目が始まろうとしている。担任が現れる気配はまだない。いくらなんでも遅すぎはしないか、まぁいいか。などと考えながら窓の外を眺めていると、私のよく知った何かが見えた。何だったかは思い出せない。

 

 誰かが閉め忘れた窓から何かが飛び込んでくる。数人の生徒が気づく刹那、あまり広くない教室は朝靄よりも白い空気で満たされる。窓の外に見えた“何か”は一時的に私の記憶の隅に追いやられることとなった。

 

 

 

 

 

 

 そして、時間軸は冒頭へ。

 

 

 煙の引いた教室に、予想外のことが二つ。

 一つは、助けが来るどころか校舎から一切の――私達A組以外の人気が消えていること。

 そしてもう一つは、私たちの教室のそれぞれの席、それぞれの机の上に―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒光りする、銃器が載っていたこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はじまりは、硝煙の臭い。

 

 私の、私たちの赤黒い一年間が、小さな染みを作った。

 

 

 




早速ですが更新は不定期になるかと思われます。
色々と忙しいのです。

忙しいんですってば()


ちなみにこの小説で舞台となる学校は私の母校をモデルとしています。
教室の配置などを一から考えるのはつらいので。
これは書き終わってから気づいたのですが、主人公の霜月の席、
右後ろは私が座っていた席だった気がします。
だから何ということはありません。


さて、物語は次回から進み始めます。

霜月は何を考え、どう行動していくのか。
そもそも彼女の周りで何が起こっているのか。
そして私は銃撃戦を書きあげられるのか。

こうご期待、です。
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