着任に不手際があったので那珂ちゃんのファンやめます 作:宮下
深海棲艦と呼称される謎の存在によって制海権を奪われた人類はそれに対抗する手段として、人類は艦娘と呼ばれる過去の軍艦の艤装を操る少女達を生み出した。
それを指揮するに者の選考に当たって国は様々な案を出し合ったが、何しろ艦娘という意思を持った兵器を扱うのだ。これといって良い案は浮かばない。
時間を費やした結果、他国との連絡が取れなくなるまで人類は追い詰められてしまう。
そこで国は艦娘を指揮する意思を持つ者達を募集し、そこから抽選で提督を選ぶという暴挙に出た。
選び出されたのは6人。それぞれ秘書艦となる艦娘と、艦娘に関係する妖精さん、更に鎮守府を与えられた。
駆逐艦の『吹雪』、『叢雲』、『漣』、『電』、『五月雨』から一隻を与えられた提督たちは深海棲艦に立ち向かう。彼もそうなる筈だった。
彼に国から告げられたのは予想外の一言。
「本来であれば、募集するのは5人だけの予定だった。君が選ばれたのはこちらの不手際だ」
着任が取り消しになるのかと彼は肩を落としたが、伝令役の人物は気まずそうに咳払いをして続ける。
「君も国を救おうと立ち上がった若者だ。勇気ある者には相応の対応といつものがある。それで……、君には特別に軽巡洋艦が一隻与えられる事になった」
それを聞いた彼は喜び、伝令役の手を取って力強く自身の心構えを話し今後の決意を言葉にする。
それを聞いた伝令役は苦虫を噛み潰したような表情をし、遂には彼から目を背けてしまった。
彼は何か失礼があったのかと動揺したが、別にそのような事はなく手続きが始まる。
そして、着任当日ーーーー。
「艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよー。よっろしくぅ~!」
彼は早々に心が折れかけていた。
「……君が軽巡洋艦『那珂』でいいんだな?」
「提督、那珂ちゃんの事は那珂ちゃんって呼んでくれなきゃダメだよー。あ、今日のアイドルのお仕事は?」
艦娘になる、というのは頭のネジが数本ぶっ飛んで行ってしまうような副作用でもあるのかと彼は眉間を抑えて今後を考える。
もしこのような艦娘が更に増えるようであれば深海棲艦を倒す前に自身が参ってしまうだろう。
「先ずはもう一隻の艦娘の建造を行うように国から指令を受けている。妖精……さんに適当な資材の量を伝えて来て欲しい」
「えー、ソロデビューかと思ったらユニット活動から始めるのかー。でも那珂ちゃんのセンターは揺るがないよね!」
「……えーと、とりあえず必要最低限の資材での建造を行うように伝えて来てくれ。頼んだ」
「はーい!」
那珂が執務室を出た所で、彼は目眩に襲われた。
「俺の想像していた艦隊と違う」
たぶん続かない