22話
「清水流神舞剣術一式!」
ブン――剣が振るわれる、狙うは胴。一直線に飛んでくる。
「甘い」
バシィ、剣で防がれ。
「清水流神舞剣術三式!」
ビシィ、頭上一線、反撃される。
「くぎゅう」
一撃を打ち込まれ、打たれた側。清水亜衣は剣道場の床に倒れていた。
「まあ、この程度か」
「うう、この一年頑張ったのにぃぃ」
「あっ、あはは、とりあえず痛み止めです」
「ありがとう早苗ちゃん。ああ、痛い。司郎、本気で打ち込まないでよぉ」
「本気で稽古つけてくれ言ったのは何処のドイツだ。言っておくが殺さない程度には手を抜いたんだぞ」
「ははは、お前も鬼だな司郎。個人的に言えばこれで一端の呪術師にはたどり着いたんじゃね?」
「まぁな。布都御霊を追加すれば2流程度なら余裕に行けるだろうけどまぁ、頑張り次第だしな。基本は身体強化中心で体術当りを一緒に習得してみるかな。他の呪術を覚えるのも良いけどそちらは早苗とやってくれ」
原作の何だっけ経功?だっけああいった物は俺も欲しくなる。
まつろわぬケツァルコアトル討伐から数ヶ月。年を越え現在は6月。同時に俺はカンピオーネ2年目を迎えた。
―――現在俺が簒奪した権能は合計4つ。内3つはほとんど把握できた。もっとも、もう少し発展できそうな所があるが。
―――では4つめは?と考える所だが霊視によるとどうもこちらは原作のウルスラグナなどと同じく複数型らしい。
詳しくは良く分からなかったが特定の状況下というより特定の量の何か?を差し出すらしい。
「―――どう、どうしたの司郎?」
「ん、ああ、すまん」
「権能の事で悩んでいるのかよ?」
「まぁな、やっぱり思うようにいかないものだなと思ってな」
「すみません流石にここまで来るとやっぱり実践でやるしか」
「いいよ、ここまでくるとやっぱり人間には理解するには難しいって事だ」
「まぁ、いいじゃねぇかこんな事で落ち込んでいるようなら修学旅行を楽しめないぜ」
――――修学旅行。おそらく学生生活で文化祭などを超えるもっとも熱いイベントだと思う。何故なら修学旅行は3年に一度。小学生、中学生、高校生の一度しか訪れない。俺達高校生にとってはもっとも大切な時間だ。―――もちろん異論は認める。これは個人の問題だからだ。
今年はオーストリアらしい、あの爺の居るバルカンに近いから正直やだがまぁ、初心者マークを外したばかりの俺ではまだ見向きをしないだろう。
―――しかし何だ。はて?何か大切な事を忘れている気がする。何だっけ?なにせ原作は線分まではうろ覚えなんだよな。まぁ、最後の王の真名を覚えているのが一番の行幸だろう。
「ともかく、学園生活最後の修学旅行だ精一杯楽しもうじゃないか!」
「「おー」」
「・・・おっ、おー」
「はい、声小さい、もう一度ぉ」
―――この後散々早苗で遊んだ(イタズラ的に)
――――――しかしながら高橋司郎は気づいていなかった。
最後の修学旅行。それは前世を持つ彼ですら待ちどうしいものであり。高校を卒業すれば二度と味わう事の無い事であり。何より本格的に戦いの渦に巻き込まれる事を知っている。
―――もしも彼が国外の事を調べたら嫌がおうでも修学旅行の行き先を変えていただろう。
――何故なら。
(あっ、そう言えば7人目が現れたって言うのを忘れていました。・・・まぁ良いですよね、行き先はイタリアじゃないのですし)
―――7人目のカンピオーネ。サルバトーレ・ドニが現れた。―――そして、彼が現れた時期はとある食い意地の張った老害がとある儀式を行おうとする事を。
―――――そう、ジークフリート招聘儀式が行われる事を高橋司郎はすっかり忘れていた事を。