車に乗り俺達はとある山奥へとやって来た。
「ここか?」
「はい、この山から膨大の呪力が溢れているのがお分かりでしょうか?」
東屋が答える。
・・・確かにこの山から溢れる膨大な呪力をハッキリと認識できる。
・・・おまけに体の調子がおかしい。
悪いって感じじゃないむしろその逆、体の調子がすこぶる良い。具体的にはハイテンションの上に絶好調、今ならどんな事も出来る気がする。
これが神殺しになった際になる神様が近くにいると体が強引に戦闘態勢になる体質か。
だから分かるここにタケミカヅチがいる。
「ありがとう、ここから先は俺一人で良い」
俺は車から生太刀を取り出す。オオグニヌシ相手でも効いたんだ、神様相手でも傷は与えられるのだと。
タケミカヅチはカツグチがイザナギの持つ十束の剣によって切り殺された時剣に付いた血から生まれたとされる。カツグチは言わば火を神格化したものだ、カツグチが切り殺された時生まれた神々はそれは鉄剣を作る工程に関係される神格が多く、奴もまたその一柱だ。
またタケミカヅチは剣と雷を結びつける剣神、そして最も信仰された土地は当時東征の重要地域であったためおそらく奴は「鋼」の軍神だ。俺達カンピオーネの宿敵「鋼」生まれたばかりのひよっこの俺に勝てるのか?と思う俺もいる。
だが俺の中には、そ・れ・が・ど・う・し・た・?と考える俺がいる。
それにまだオオクニヌシの権能について何も分かっていない。この戦いで全部を把握出来るのではないのか?と考えている。何よりオオクニヌシの遺言以前にアストラル界に隠居しない神様なんて災害その物だ。
「お一人で行かれるおつもりですか?」
「・・・まぁな、そもそもこれは俺の問題でもあるんだ。そっちには迷惑かけたのかも知れないしな」
「しかし――「あのな」」
付いていこうするのを静かに諭す。
「俺と言う例外が居てもだ、まつろわぬ神は歩く災害その物なんだ人間が台風に勝てるなんて話はありえない。俺ですら万分の一らしいだからな、それを相手に真正面に挑めるのは俺達神殺しだけだ」
「分かりました」
ようやく分かってくれたか。
「ですが一つ高橋さん、我侭をさせてください」
そう言うと数枚の折鶴が握られていた。
「私達は式紙で見守らせてもらいます。もしもの時は・・・」
「ありがとう、それ位は頼みたい所だベタだが水落なんて事があったら頼むよ」
「分かりました。高橋さん、後武運を」
「ああ、行って来るよ」
これから命を賭ける死戦なのに、ちょっと散歩するような気持ちで彼は戦場へと向かった。