自分がノロノロ小説を書いていたら世間は妖怪縁結びが主役の戦隊ヒーローが生まれてモルガン陛下が可愛いイベが配信されたりもう直ぐサンブレイクの体験版が配信されるんじゃないかとかそんな時期ですがお楽しみくださいませ。
「――――――薙ぎ払え、バルムンク!!」
「っ、・・・うぉっと!」
大英雄ジークフリードの持つ竜殺しの魔剣から放たれる一撃が戦場を蹂躙する。
それをまたドニはヌアザから簒奪した刃物に恐ろしいほどの殺傷能力と回復阻害の呪いを付与させる銀の腕で受け流す。
『ッ!?・・・チィッ!』
「あら、お疲れになられまして?」
『そんな訳無かろう。このぐらいで無ければ張りがいがない』
ヴォバンもまたアポロンから簒奪した狼の脚力によって回避するがブリュンヒルデによって着地狩りを喰らう。
軽傷であるが、蓄積すればやがて致命的なダメージにつながるだろう。
――――――されど、この舞台を彩る存在は人型だけでは無い。
「グオガァァァァ!!」
「「「「「!!」」」」」
邪竜ファブニールの業火が戦場を真っ赤に焼き焦がす。
不幸中の幸いなのは空は大雨の嵐なのでたちまち鎮火する事だろう。
この戦場に味方など居ない。
ニーベルンゲンの歌において殺し、殺された竜殺しと邪竜。二人の神殺しは言わずもがな、竜殺しの伴侶でもあったブリュンヒルデでさえ自身の業である英雄殺しに突き動かされている。
隙を見せれば死あるのみの大乱闘とかしていた。
――――――して、この大乱闘に飛翔する者がいた。
「――――――戻ったか小僧」
飛翔する者。戦少女の白鳥の翼の術を使って飛んでいるアリサ・アウッテオと高橋司郎の二人だ。それに気づき不敵な笑みを浮かべるヴォバン。
「へへっ、やっぱりタダじゃ終わらないよね。もっと、暑い夜を過ごそうじゃないか!」
気色の悪い事を言いながら司郎に斬りかかろうとするドニに対して。
「お前は後!」
このクレイジーサイコホモめと呆れながらアリサと離れ迫ってくるドニに対して獲物を取り出し飛んでくる魔剣の腹を叩き逸らす。
「そんなぁ、つれない事を言わないでよ。君と僕の仲でじゃないか」
続けて今まで戦ってきた軍神、英雄神に並ぶほどの剣技が司郎に迫る。
「待ても出来ないのかこの馬鹿!それにお前とは会って一時間も経ってないじゃねぇか!」
へきへきしながらドニの剣を捌き続ける。
「そんな事は無いよ。ほら君の国には戦う事で生まれる愛―――ゲホァッ!?」
「――――――愛じゃなくて友情だ!後、俺はそんなケは無い!」
ドニの言葉に司郎は思わずツッコミとして魔剣を大きく弾かせ蹴りをかます。
「つれないなぁ、コレがジャパニーズツンデレって奴なのかな・・・そう言えば剣変えたんだ」
「・・・悪いかちょっと野暮用でな」
ドニの言う通り司郎が今武器として使っているのは一振りの日本刀。
力もろくに無い、只人だった頃に司郎が愛用していた一振り。
司郎とてこんな戦場に使用する機会があったとはと驚いていた。
「――――――ッ、クソおッ!」
「我らが居るのに神殺し同士で殺し合いとはな呆れてものも言えないな」
「ジークフリート!!」
邪竜、戦乙女、魔王の猛攻を潜り抜け竜殺しの英雄神が司郎に迫る。
魔剣バルムンクによる縦一線の一撃が迫る。マッハにも迫るほどの速度で振るわれる鉄塊の如き魔剣の一撃は魔術師軍団をあっという間に全滅させるであろう暴走した司郎の竜体の羽飛ばしさえも平然とする邪竜の体をバターのように両断するだろう。
猛烈な殺気を感じ咄嗟に刀で受け止めようとしたが大国主の権能で強化したものであれただの日本刀では受け止められず先端がへし折られ魔剣は司郎の肩に深く刺さる。
「ッ、がぁッッッ!!・・・だ、・・・だが!地面よ、開け!」
苦痛に耐えながら大地に干渉する禁厭を使い地割れを引き起こす。
「――――――ッッッ、うぉりやぁぁぁぁ!!!」
「ッ、この俺をーーー!?」
そして同時に切られた方とは逆の腕でジークフリートの首を掴み、片足を絡ませる。
鋼の体のジークフリートはまるで人の形をした重い鉄の柱か何かのようてあり。鉄骨のような首と足のバランスを崩すために筋力強化や風の禁厭で補強し崩れる地面も利用して足払いする。
「わっわっ、わぁぁぁぁぁーーーー!?」
同じく近くにいたドニも地割れに巻き込まれ地面の奥深くに落ちていく。
「ッ、―――神殺し!!」
「ハハッ、悪いな大英雄。そこでそこのバカと殺しあってろ。お互い生きてたらケリをつけようしゃないか!」
自由落下になった瞬間。飛んできたアリサの手を取り司郎は地割れから脱出する。
「悪い助かった」
「ほんと無茶をする」
感謝を述べる司郎。それに呆れるアリサ。
「よく生きていた小僧それでなくては張り合いも無い」
残った二柱を牽制しながらヴォバンは司郎を睨みつける。
「・・・お互いな、元気の良い爺さんだなアンタ」
へし折れた日本刀を構える。
「グゥゥゥゥ・・・」
「フフフッ」
同じように邪竜と戦乙女も眼前にいる三つの脅威の動きを警戒している。
(――――――ッ、分かってたけど・・・とんでもない場違いね)
相棒である司郎以外誰もアリサに意識を向けようとしない。
象が蟻を気にしようとしないように神クラスの存在達からすれば人間としてはそれなりに出来るが神獣一頭もろくに倒せない彼女は路上の蟻に過ぎない。
「――――――我が妹達よ、恐れ知らずの勇士達ををヴァルハラへと誘いなさい」
最初に動いたのはブリュンヒルデ=クリームヒルト、ワルキューレ達を呼び出し合計4人のワルキューレは司郎とアリサに襲い掛かる。
「ッ、・・・チィッ!」
分断され3体のワルキューレに囲まれた司郎。
「「「・・・・・・・・」」」
白いローブを被りアイドル顔負けの美貌をしているが無機質で何を考えてるか分からないその眼は眼前の神殺しを冥府へと誘わんと槍と盾を構え三方向から別々に時間差をつけて迫る。
並の術師ならまず死ぬ詰みの状況だが司郎は神殺し、下級神獣クラスではまず殺せない。
シールドバッシュを仕掛けたワルキューレに対して風の籠手を作り受け流し、隙だらけの後頭部にストレートを叩き込んだ。
「――――――」
ワルキューレは後頭部を殴られ意識を失い倒れ伏した。
「――――――・・・!?」
ストレートを叩き込んだ隙を狙い続く2体目のワルキューレが槍を縦に振り翳し司郎の頭を叩き割ろうとしたが司郎はそれを見抜きカウンターと言わんばかりに雷撃と肉体強化の禁厭で強化し肘鉄が二体目のワルキューレの腹に突き刺さり倒れる。
「――――――」
その光景を見て距離をとって攻撃しようとしたのか三体目のワルキューレは幾つものルーン文字が刻まれた槍を投擲しようとしていた。
「させるかよ―――結べ縁結び」
本能で気づき刀を三体目のワルキューレに投擲し鎧の一部に当たった瞬間倒れているワルキューレに足で蹴り縁を結ばせる。
「―――!?」
見えない糸に引っ張られるかのように倒れているワルキューレに三体目はぶつかる。
「痺れろ!」
雷撃の禁厭が篭った札を取り出し3体のワルキューレ達に叩き込む。
疾風怒濤クラスの雷撃には下級神獣レベルのワルキューレ達には耐えられずあっさりと消滅する。
「ッ、・・・はぁぁぁっっ!」
「―――!」
槍と槍が激突し鉄の擦れる音が響く。
司郎と分断されワルキューレと戦っているアリサ。
神殺しであれば取るに足らない相手であるがその実力は大騎士を上回る存在だ。
「ッ!」
縦、横と長槍が迫ってくるのをアリサもまた自信の槍で防いでいく。
「――――――目を覚ました私に待っていたのは燃えるような出会いでした」
ワルキューレの猛攻を受け止めながらアリサは詠唱する。
「――――――尊き方の炎さえも貴方の心は揺れなかった。燃え盛る業火を前にしても意に返さず駿馬を走らせ飛び越えた」
初めて会った時胸にあったのは嫉妬だった。
二人の出会いは儀式場に忍び込みヴォバン配下の狼に追われ逃げていた際のこと。
ヴォバンの狼は有名だが一頭一頭は実力さえ有れば問題なく倒すことができアリサもまた実力もあり対策も充分用意していた。
だが、あまりにも数が多く対応しきれないから逃げたのだ。
「――――――嗚呼、強く逞しく勇気ある貴方。貴方を見た瞬間私の頭はいつも貴方のことを考えてしまう」
それを何だ。大騎士レベルが尻尾を巻いて逃げる状態を片手間で片付けて欧州一の大魔王の片腕を奪う真似が何人できると言うのか。
「――――――巨人も邪竜でさえも貴方は恐れず勝利するでしょう」
――――――だけど同時にその光景に見張れていた。
その強さ、己を犠牲にできる心の強さ。
それはアリサ・アウッテオという一人の少女にとってとても眩しく惹かれた。
「――――――この胸にある思いを胸に私は貴方と幾つもの戦場へと繰り出そう」
―――故に認めよう。一人の術師としてかそれとも女としてかはまだ分からないけど
「――――――死が二人を分つまで。私は貴方と添い遂げよう」
アリサ・アウッテオは高橋司郎に惚れていると。
最後の一節を唱え自身の服装と槍に術を纏わせる。
頭には兜がつき服装は白鳥の羽衣と鎖帷子に様変わり槍を持つアリサの姿は神話に伝えられるワルキューレそのものだった。
自身を含めて男性一人にかけて初めて発動する神をも傷つける彼女の所属する黄昏の十字結社を始めとする北欧の一部の実力のある術師だけが会得出来る奥義が完成したのだ。
「ハァァァァァッッ!!」
完成したことでアリサのステータスは大きく上がり力のままに槍を振るう。
「――――――!?」
ワルキューレにとって目の前にいる人間の力が急激に上がり対応するのに若干遅れてしまい防戦一方になってしまう。
「―――!?」
そして、一瞬の隙をつきワルキューレの持つ槍を下からかち上げ槍を天高く飛ばす。
「トネリコより作られし魔槍はいかなる敵をも外さず命を奪う槍なり!!」
武器を失った僅かな隙も見逃さず魔槍グングニルの魔術を乗せた槍を投擲する。
胸に槍が突き刺さったことで最後のワルキューレもまたその姿を消滅させた。
「はぁはぁ、・・・ふぅ・・・」
強敵を打ち倒した事への高揚感からか自然と息が荒くなってしまう。
「―――心配は無用だったかな?」
「え、ええ、あの程度なら」
「そりゃ良かった」
やってきた司郎の言葉に返答するアリサ。何気ないやりとりだが落ち着き払い興奮はすれど周りが見えないほどではなく恐れもしっかりと握りしめていると感じ問題ないようだなと司郎は思った。
「――――――流石にやりますね。神殺しだけならともかくそちらの子も戦士としての実力は確かなようです」
「―――ブリュンヒルデ=クリームヒルト」
司郎とアリサの前にやって来たブリュンヒルデ=クリームヒルト、アリサやワルキューレ達が持つどの槍も巨大な大槍を携えてやってきた。
「否定はしません。私は英雄シグルドの妻であるブリュンヒルデであり英雄ジークフリートの妻であるクリームヒルトでもある。どちらを重きに置くかはともかく今の私にはブリュンヒルデの方がしっくり来るのです。ですのでブリュンヒルデと読んで欲しいですね。・・・あぁ」
大槍を構えてまつろわぬ戦乙女は眼前にいる二人の戦士を見つめる。
「お二人は紛れもない勇士。故に父オーディンの住まうヴァルハラに相応しい存在」
ブリュンヒルデから溢れ出す呪力。それに合わせるかのように黒い煙のように立ち昇るプレッシャーと殺意が合わさり漆黒のオーラを纏っているかのような錯覚を覚えさせる。
「お二人をヴァルハラに送って差し上げます。父オーディンもお喜びになるでしょう」
「・・・・・っ、・・・ぅぅ」
戦わなければ死ぬ。それなのに眼前にいるブリュンヒルデの覇気にアリサの槍を持つ手が僅かに震える。濃密な死の気配に怯えない人間は少ない。
神獣クラスと神霊クラスではプレッシャーのレベルが遥かに違う。
――――――だが。
「――――――悪いがな。俺もこいつもそんな地獄行く気がないんでな。他をあたれ」
折れた刀で牽制しながらアリサの肩を軽く叩き落ち着かさせる。
「ーーーえ?」
落ち着くことは出来たが同時にアリサは疑問に思った。
――――――何故かヴァルハラ送ると言った瞬間。何故急にそんなに敵意を向けているのだろうか?相手の本質を知っているはずならそんなものと捉えて仕舞えばいいのに何故そんなに敵意を向けているのだろうか?
「――――――理由を聞いても?」
思わず聞いてくるブリュンヒルデ。
「死は一度きり。誰だって死ぬ怖さを抱えて生きている。でも、それは一回しか無い。一度死ねばもう二度と死なない。死の恐怖に怯えずにすむ。・・・記憶を持って二度目の人生をやる羽目にならなければ」
それは二度目の人生をやる羽目になった男の本音。理不尽に奪われ理不尽に生かされた二度目の人生。
「――――――北欧神話の死の世界の一つヴァルハラ。戦死した人間。あんた達ワルキューレやオーディンに殺されたりした人間達が行き着く場所。朝はラグナログに備えるために訓練と言う名の殺し合いをし続け夜になれば復活する。逆に夜は朝の戦いの疲れを癒すためにワルキューレ達を愛でる。確かに人によっては楽しいのかもしれないがな。俺はごめんだ」
「――――――そうですか。それは残念ですね。・・・ですが私には関係ありません」
納得しても止めることは出来ない。彼女は女神にして死神。戦士たちをヴァルハラに連れて行く戦乙女。優れた戦士を前に後ろを向く事は出来ないのだ。
「――――――悪い。余計な事を言ったか?」
「・・・いえ、俄然やる気が出たので」
「・・・・・そうかい。――――――行くぞ」
「―――ええ!」
「来なさい勇ましい勇士たちよ!!」
司郎もアリサも武器を改めて構え眼前にいるまつろわぬ神迫る。
新たな演者を咥えこの狂ったニーベルンゲンの歌もいよいよ佳境に入っていくのだ。
「
「――――――――――――」
まつろわぬ神三柱と3人の神殺しがぶつかる戦場から少し離れた所で早苗と亜衣はいた。
何故か地面に突き刺さっている布都御魂を前に早苗は祝詞を唱え亜衣は生太刀を握り舞を捧げていた。
『――――――』
突き刺さっている神剣もまた何も語らない。大地の力を吸収しながら己が必要な時を待ち続ける。
全ては自らの愛する神殺しに勝利を手にするため二人の少女は己のするべきことを遂行する。
次回はもうちょっと早く投稿したいなぁ今年までに1,2章ぐらい進めたい。