カンピオーネ! 縁結びの魔王   作:黑米田んぼ

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今回は司郎陣営のエピローグのようなものだったのであっさりと書けました。
それではどうぞ。


37話

「――――――げほっ、げほっ、・・・生きてる」

 意識が飛んだのかは分からないが埃が鼻に入り咳き込んだ事でアリサは目を覚ました。

 周りを見れば戦いによって破壊されもはや廃墟よりも酷いナニカと化した元儀式場。ただでさえまつろわぬ神々と神殺しの激闘によってボロボロなのにダメ押しの最後の二人の神殺しの町一つ吹き飛ばすほどの権能の激突によってチリ一つ残らないような有り様となっていた。

 

「――――――全く、呑気なものね」

 高橋司郎は直ぐそばにいて寝転がっていた。

 全てを使い果たしたのかそれともタダの馬鹿か安堵の笑みを浮かべながら寝ていた。

 今なら勝てるかもしれないと言う考えがアリサの心の中をよぎるが直ぐに碌なことにならないだろうとその考えは心の中から捨てた。

 

「――――――ふふっ」

 それが強者に屈しないようになったからなのか、それともあれだけの大激戦を制してまだ危険があるかもしれない場所で呑気に寝ている彼を驚かしてやりたいと思う悪戯心かもしれない。

 

 

 

「――――――大した男だこの状況で寝ているとは。もっとも、それぐらいの胆力が無ければ神殺しなどつとまらん

「―――――――――――ッ!」

 声のする方向に顔を向けるとそこにはヴォバン公爵がそこにいた。

 槍を構え戦闘体制を整えたが。

 

「――――――辞めよ。私は戦う気はない」

「なっ」

 一体それはどう言う事なのだろうかあの戦闘狂で有名なヴォバン公爵がもう戦わないなどと。

 

「変だと思ったかね。だが、貴様の主はこのヴォバンとの最後の勝負に勝ち見事貴様を守っただろう。この時点で小僧の勝ちだ。このヴォバン、決着のついた勝ち負けにこれ以上論を繰り広げる気はない。貴様の主に伝えろ――――――認めようこの戦い貴様の勝ちだ」

――――――唖然とした。

 子供の頃から術師としての英才教育を受けているアリサにとって欧州の裏社会に君臨する大魔王であるヴォバン公爵があろうことか大きく年の離れた少年に負けを認めたなどとは信じられなかった。

 

 

 

「――――――俺じゃない」

「――――――へ?」

 気配に気づいたのか司郎は起き上がりヴォバンに言い放った。

「――――――勝ったのは俺だけじゃない俺たちだ。アリサが俺を正気に戻したからこそこの場に立てたしさっきの戦いでも仲間が助けがあったから勝てたんだ。もう一度言うぞ、勝ったのは俺じゃない。俺たちだ。負けを認めるならそこも認めろサーシャ・デヤンスタール・ヴォバン!」

 

「・・・・・良いだろう。デヤンスタール・ヴォバンの名にかけて宣言してやろう。貴様らに勝利をくれてやろうこの勝負貴様らの勝ちだ!!」

 一瞬口澱んだがヴォバンは受け入れ改めて負けを認めた。

「小僧!高橋司郎よ、これより貴様はこのヴォバンの終生の敵となった。更に強くなりこのヴォバンが全力で狩るに値する敵となれ、さらばだ!」

 殺意の篭った邪眼で睨みながらヴォバンは突風と共に姿を去った。

 

「――――――あ〜あ、終わっちゃった」

「・・・よう後輩ロッククライミングお疲れ」

 崖から登ってきたサルバトーレ・ドニが司郎に近づく。

「せっかくここまで登ってきたのに爺さんも誰も居ないなんて寂しいな、・・・そうだ!「もう一戦やろうぜならお断りだ」すごい!なんで分かったの!?」

「バトルジャンキーの考える事なんか分かるわ!これ以上戦えるか!もう一度谷底に落とすぞ!!」

 司郎の呪力はもうカス程にも残っておらずもしドニが襲ってきたら迷わず地面を操作してドニを奈落に落とすなりなんなりして逃げるだろう。

 

「行くんだ」

「ああ、これ以上お前と近くにいると休めそうにないし先生方に迷惑かけかねないしな」

 制服を術で取り出してまとい生太刀を杖にして歩き始める。

 

「そう言えばさ、何で助けたの?」

「何が?」

「何で儀式に乱入なんかしたの?儀式の途中であれやこれややってあの爺さん相手に挑んで危うくとんでもない事になりそうだったじゃん。そんな事するよりも終わってから乱入すれば神様達と戦えるしさ、どうしてそうしなかったの?」

「――――――はぁ!」

 何言ってんだこの野郎そう思ったアリサだったが。

「――――――気に食わないからだ」

 司郎は迷わずそう答えた。

 

「何それ?」

「覚えておけよ後輩、俺たち神殺しは世界中の暴君、独裁者も真っ青のロクデナシだがそれでも自分だけは曲げられない。裏切らないんだ。例え死ぬとしても自分のルールを貫く。お前だって似たような他人から見て異常のような考えで神殺しになったんだろう?」

「――――――ふぅん、そうなんだ――――――だったら」

「そうだよ――――――だから」

 

 

 

 

「――――――ヌアダの剣よ、僕に力を!」

「――――――逃げる!結べ縁結び!!」

「へっ?――――――ぁぁぁっっっ!!」

「――――――あれ?あそこで飛んでいるのって・・・きぁっ、し、司郎何が起こったの!?って、また走り出した!」

「頭のおかしいキ○ガイが追いかけてきているんだ!逃げるんだヨォ〜!どけえ、瓦礫ぃ!」

「え、え、あの人からも神の権能を使っているから噂の7人目!?」

「ああ、もう、どうとにもなれ!早苗ちゃん行くわよ司郎が遠くに行っちゃう」

「あっ、はい!まだ待ってください司郎さん!」

「なっ、何で私まで走っているのよ!」

「嫌ならこの先の曲がり角で左に逃げろ俺はこのままあの馬鹿を張り切ってからホテルに戻る。これでお前との縁も終わりってわけだ」

 

「・・・・・」

 走り続ける司郎を見ながらアリサ・アウッテオはふと思う。

 恐るべき魔狼王相手に立ち向かい。

 戦乙女の槍にも恐れず剣を振るい。

 業火を前にしても逃げず押し返した。

 何だこの男はまるで神話の英雄じゃないか。

「・・・ふふっ」

 そんな英雄に惚れた男を支え勝利に貢献する。そう考えれば何て楽しい人生になるだろう。

 これでも北欧の魔術結社の大騎士、素晴らしい戦士に異性が集まるのも理解がある。

(――――――そう思わない。私の勇者、高橋司郎?)

 昇り出し追いかけっけっこしている彼らを劇が終わり照明がお客様を送るかのように照らす太陽の光を感じながらアリサ・アウッテオは心の中で思った。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――因みにこの後逃げ切るまでサルバトーレ・ドニとのオーストリアを舞台にした鬼ごっこが始まり。

 帰りの空港でアリサにこれからよろしくシェロとあだ名をつけた上に頰にキスをされるとんでもない魔女の悪戯をくらい周りから殺意を向けられ担任である女教師(29歳独身)に司郎はアイアンクローを喰らったのはまた別の話である。

 




次回は今回の事件に関わった原作ヒロイン達と外野達の反応集と5章のオープニングをチラッと書く予定ですお楽しみに。
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