もっと可笑しな方向で騒ぎたかったですがそんな風潮では無いのが・・・
自分の小説が少しでも明るい日々に成れるように頑張りたいと思います。
「――――――そんなこんなでやっと帰ってこれたんだ。満足したかエリカ!」
「・・・・・えぇ、本当にお疲れ様リリィ」
「・・・何だその調子は」
「流石にそんな目に遭っていたなんて聞いたら私だって労いの言葉をかけてあげたいわよ」
「・・・・・そうか、分かった気持ちだけ貰っておこう」
ヴォバン公爵によるまつろわぬジークフリート召喚事件から数日が経ち事件の後始末をさせられていたリリアナ・クラニチャールは肉体的にも精神的にも疲弊しておりやっと休暇を貰い。さぁ、休もう!・・・と思った矢先、幼馴染にしてライバルであるエリカ・ブランデッリから電話が来たことでリリアナは絶賛不機嫌だった。
「・・・・・それで件の6人目についてだけど」
「・・・ああ、残念だが私も特に言えることは無いさっき話したことが全てだ。ほんの一瞬だったから人となり何て分からないし事後処理をしている最中にもう帰国したらしいからな」
「こっちも調査に向かった一人が監視のために近づいたらしいけど直ぐに撒かれたらしいわ」
「理由は予想つくがはっきり言ってやりすぎだ。あんな天気を作り出すなんて」
「最低でも公爵クラスの災害の権能を持っていてそれを躊躇なく使った。被害が少ないのが幸いね」
赤銅黒十字は高橋司郎を調査するために彼らのバスを尾行しようとした。
しかし、突然強風によって車を他の車・・・同じく高橋司郎の動向を調査するために派遣された魔術師同士がぶつかり、さらには謎の雷が彼らの目の前に落ちてきた。
「あくまでも学生旅行の最中だったらしいからな邪魔されたく無いんだろう。私からすれば不幸中の幸だ」
「善人ではある。されど邪魔をするなら容赦なく攻撃する。多分だけど比較的に話のわかりやすい人間かもしれないわ」
「・・・・・どうだろうな」
「どうしたの?」
「いきなり化け物になる権能がどうしても頭にこびりついてな、暫く夢に出そうだ」
「それは・・・ご愁傷様」
困り果てた幼馴染の声を聞いて流石のエリカもリリアナを揶揄う気にはならなかった。
「――――――と、言うことがあったんです」
「――――――そうかぁ、無事に生きて帰ってきてくれて嬉しいよ祐理」
日本に帰ってきた万里谷祐理は家族と再会出来た喜びを分かち合った翌日、一連の事を正史編纂委員会に報告し家に戻ってきた際に帰って来た事をしってやって来た幼馴染である清秋院恵那と居間で話をしていた。
恵那と祐理の話は祐理の体の調子や儀式で変化が起きていないかなどから件の6人目、高橋司郎について話をし始めた。
「――――――やっぱり祐理は怖いんだね恵那たちの国の王様」
「――――――はい。正直に言いますと・・・その、あの悍ましい姿を見てしまって」
「――――――権能の暴走だって言われても色んな意味で怖いだろうし祐理は悪く無いよ」
祐理の脳内に浮かぶのは二人の魔王。
多くの巫女魔女を犠牲にして神との戦いを望んでいるヴォバン公爵。
――――――そして、どのような経緯があれ暴走し異形の姿になり暴れ狂った高橋司郎。
聞く限り凶暴な暴君では無い・・・だが、百の噂よりも一の事実は何よりも大きい。
荒れ狂う高橋司郎の姿は恐ろしく非道にも自分を始めとした多くの少女達を生贄にして神との戦争を望んだヴォバン公爵と重ねてしまった。
どのような理由があれ今、万里谷祐理は高橋司郎に対して好意的に捉える事は出来なかった。
「――――――っ!?」
「祐理!?」
突然霊視が来て目眩からかふらつく祐理を恵那は支える。
「・・・大丈夫?」
「――――――はい、ご迷惑おかけしました」
「これくらい気にしないでよ。・・・それで何が見えたの?」
「・・・よく分からないものでした」
「――――――そっか、まぁ、色々あったからそんなこともあるかもね」
「そうですね」
頷く祐理を見て恵那は台所へと足を運ぶ。
(――――――でもあれは)
それを見ながら祐理は先程見たものを思い出す。
真っ白い白馬が空から舞い降り次に黄金の剣を携えた少年に変わり自分に手を差し出すビジョン。
それが何を意味するのか万里谷祐理はまだ知る由もなかった。
【ヴォバン公爵が引き起こした魔王乱戦における高橋司郎について】
某日、ヴォバン公爵がまつろわぬジークフリートの召喚を試み多くの巫女と魔女を召集し召喚の儀式を行った。
結果、ファブニール、ブリュンヒルデ=クリームヒルトの三体のまつろわぬ神が現れ。顕現した神の神話を考えればニーベルンゲンの歌の悲劇が現代に再現されるのではないと考えてしまったのは言うまでも無い。
通常であれば都市一つ壊滅してもおかしくない事態。まつろわぬ神の招来の儀式もまたリスクのある儀式であり本来なら多くの巫女、魔女が犠牲になるであろう。
にも関わらず物的被害多数に比例して人的被害が少なかったのは6人目の神殺し、高橋司郎のお陰であろう。
偶然にもヴォバン公爵の儀式に巻き込まれたかの者は現地にいた魔術師と共に儀式に乗り込み犠牲者を出さずに降臨した三体のまつろわぬ神を相手どった手腕は正に神業であろう。
かの王が持つ幾つもの権能。
まつろわぬ大国主の『
まろつわぬタケミカヅチの『布都御魂』
まつろわぬカルナの『
そして、今回のまつろわぬケツァルコアトルから簒奪した『
特に古き神王の秘術は強力でありヴォバン公爵の疾風怒濤と同じく天候を操る力を持っておりかなり現場の調査の結果他にも影響を及ぼす可能性が高く強力な権能であると思われる。
また、かの王は今回の一件で多くの魔術師に評価され現地で儀式のために拉致、強制された巫女魔女達を救助するために集まった魔術師達、および公爵派の魔術師でさえかの王の影響によって儀式が終了したのち神々と神殺し達の戦争の場所から安全な場所へと避難させるために協力し、現在、北欧の魔術結社。黄昏の十字結社は高橋司郎に対して騎士を派遣しており今回の一件を高く評価していると考えられる。
まつろわぬ神々、ヴォバン公爵を相手に一歩も下がらず戦い。多くの人達に好かれた事もあり最近では高橋司郎に対して第一権能であり最初に倒した大国主の信仰の一つを借り「縁結びの魔王」と呼ばれるようになっている。
――――――ペラ、・・・・・・・・ペラ・・・・・・・・ペラ。
ある家にて一人の少女は束ねられたレポートを捲る。
「・・・・・」
レポートの内容は賢人議会が書いた高橋司郎に関するもの。
「――――――ワンワン!」
「?・・・お客様?」
部屋から出て外にいる2頭の愛犬の元へ向かう。
「――――――あっ、手紙かぁ。ありがとう」
「くぅん〜」
誉められ嬉しがる愛犬の光景を見ながら少女は手紙の内容を確認する。
「やっぱりこうなるよね。君はまた僕を驚かせてくれるのかな――――――シロウ」
少女の言葉はアイルランドの風と共に肩に届かないぐらいに切られた銀髪を揺らす。
遅くなりましたがこれで長らく終わらせられなかった第四章が終わらせられることが出来ました。
当然まだまだ司郎の戦いは続きます次回もお楽しみに!感想、コメント等お待ちしております。