カンピオーネ! 縁結びの魔王   作:黑米田んぼ

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新章開幕!という訳で新たな出会いと戦いが司郎を待っています。
どうぞ皆さま楽しんだ言ってください。


第五章過去と未来を繋ぐ妖精郷
39話


 

――――――さて、この物語を語るにあたって語る前日譚が一つある。それは高橋司郎15歳の夏。

 

 彼がまだ神殺しになる少し前、彼がアイルランドで体験した一夏の冒険から物語が始まる――――――

 

 

 

 

 

 

「――――――やっと到着か。疲れた。」

 日本から時間をかけアイルランド首都ダブリンに着いた司郎。

 ダブリン空港にて司郎は荷物検査などを終え空港から出ようとしていた。

 

「――――――済まない司郎!遅くなった!」

「いえいえ、お久しぶりです。叔父さん」

 司郎の前にやって来た四十代ぐらいの男は司郎の母親の弟。つまり母方の叔父だ。

 仕事でやって来たアイルランドで良縁に恵まれ今年愛でたく長男をもうける事が出来たのだ。

 

「――――――お爺さんとお婆さんは残念だったな」

「ええ、行きたかったと言っていましたが・・・」

 

 本来、この旅行には司郎の母方の祖父母と共に訪れる予定だったが祖母が病気に罹り結局司郎一人叔父のいるアイルランドに行く事になったのだ。

「まぁ、これ無いのは仕方ないさ。ようこそ、歓迎するよ」

「――――――ええ、楽しませてもらいますよ」

 こうして司郎のアイルランド旅行は始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――だが、この旅行が後に大変な事件に巻き込まれる事にあるのだがそれを司郎はまだ知らない。

 

「――――――それじゃあ、行ってきます」

「ああ、気をつけてな」

「?どうしたんです。そんなに含むような言い方で」

 叔父邸で一夜を過ごし司郎はアイルランド首都、ダブリンの観光に行こうとしていた。

「昨日は楽しく奥さんと話していましたから言葉が通じない事は無いけど」

 必要最低限の英語の知識は入っており日常程度の会話なら問題ないはずだ。

「・・・いやな、最近不審者の目撃や行方不明の話がよく出てるんだ」

「――――――マジですか」

「だからあまり一人で行かせたく無いんだ。何かあったら姉貴に申し訳ないからな」

 頭をかきながら困った顔をする叔父。

「まあ、危ない場所には行かないようにしておきますよ」

「そうしておいてくれ」

「ええ、では」

「ああ、行ってらっしゃい」

「――――――行ってきます」

 

 

 

 

 

 

 

 司郎がいるアイルランドの首都ダブリンはアイルランド島の東部に存在する。

 地図で雑に見ると東京などと同じく東にはアイリッシュ海に通じているリフィー川河口があり江戸川などの川が流れる地形になっている。

 面積は大体318平方キロメートル、人口は約1173179人ぐらいである。

 由来は古典アイルランド語で黒い水溜りを意味する言葉から由来らしい。

「意外と涼しいな」

 北西ヨーロッパの多くの地域は海洋性気候に属し冬は温暖夏は涼しく2020年辺りでも八月の最高気温は30度程度。

 クソ暑く30度を平気で超える日本の夏とは比べられない。

「――――――さて、次は」

 現在司郎がいるのは1169年ノルマン人が侵攻してきた直後。1204年、イングランド王であったあの欠地王ジョンが防衛、司法、財宝保護のために作られたダブリン城に居た。

 異国のあまり見ない城を堪能し次に向かうとしていた。

 

「やはり、ここはトリニティ・カレッジの旧図書館かな」

 ダブリン大学、トリニティ・カレッジの旧図書館には八世紀に作成された聖書の手写本ケルズの書が秘蔵されておりダブリンでは訪問者が多い場所の一つでもある。

 

「まぁ、ゆっくり行けば良いさ」

 飲み終えたコーラをゴミ箱に捨て人通りの多い大通りに向かって歩き出そうとする司郎。・・・だが。

 

「――――――ゴフッ」

 横道からやって来た男にぶつかられ思わず倒れる司郎。

「――――――おい!済まないぐらい言えよ!・・・テメェ!!」

 逃げていく男に怒りを向けながらポケットに指を入れると。

「野郎スリか。相手が悪かったな」

 スラれた財布には通貨とパスポート、・・・・・そして。

「オンイダテイタモコテイタソワカ!」

 スリ対策のためのお守り。走る神として知られるが盗難除けの神としても知られる韋駄天のお守りが入っていた。

「ギャァァァ!!」

「あっちか」

 悲鳴を頼りに司郎は薄暗い路地裏へと足を運んだ。

 

 

 

「――――――見つけたぞこの野郎財布は返させてもらうぞ」

 司郎はスリから財布をひったくり中身を確認しスリを見下ろす。

「やれやれ確かに叔父さんの言うとうりだな。さて、警察に・・・」

 そう思い周りを見たその時。

 

「!何でこんなのが」

 路地裏の地面にまだ乾ききっていない血が点々と残っており持ち主の足跡となっていた。

 

「一体何が――――――!?大丈夫ですか!?」

「・・・・・ぅぅ」

 路地裏の奥に二十代だろうか銀髪の女性がうずくまっていた。

 片足を負傷しているようでうずくまった事で銀の長髪が少し血にかかり赤くなっていた。

 

「今手当を」

 治療道具を術で日本から取り出し治療しようと思った司郎。

 

「arais!!」

「足以外にも何処か痛いんですか?何処です?」

 女性の言葉が分からず何を言っているのかわからない司郎。

 

 arads、アイルランド語の一つで日本語で後ろ。

 そんな簡単な単語でさえ司郎は分からずにいた。

 

 だが仕方がないと言えよう。目の前には怪我をした女性がいたため司郎は親切心と人助け精神で一杯一杯になっており取り敢えず目の前の女性を治療をしようと夢中になっていた。

女性が指を指したので何かあるのかと振り向こうとするが時遅し。

 アイルランド語が分からなかった。女性が相手は日本人だと気付いて英語で話せばこんな事にはならなかっただろう。

 

――――――ガツン!!と金属で殴られた音が聞こえ司郎は星が舞う光景を最後に意識を落とした。

 




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