ではどうぞ。
「――――――ッ!・・・寒っなんだよこれ・・・って縛られているじゃないか!」
目を覚ました司郎は腕の違和感と現在地に気づいた。
腕は重ねられて細い縄か何かで縛られてビルのオフィスか何かに連れてこられたのだろうか。
「起きたな日本人」
「――――――ッ・・・は?」
声のする方に目を向けるとそこにはバケツを持ったカボチャを被った声からして男がいた。
他にも馬マスクやオオカミマスクを被った男がいた。
「ハロウィンにはまだ早かったはずだがな」
随分と愉快なテロリストだなと内心思っていた所をカボチャ男が近づいて来た。
「余計な口を開くな神経が苛立つ!」
怒鳴り声を浴びせながら司郎を叩くカボチャ男。
「――――――悪かったな・・・それで何の用だよかぼちゃ男」
「生意気な奴だ。・・・・・日本人、お前何しにあの路地裏に居た」
カボチャ男が英語で聞いてくる。
「別に大した事じゃない。スリから財布を取られたから取り返そうと追いかけただけだ」
司郎もゆっくり分かるように英語で言う。
「――――――チッ、ただの観光客か」
「だろうなさっき尋問した男もただのスリだったからな」
「まぁ、良い。生贄には数が多い方がいい」
可笑しなテロリスト達は次々と物騒な事を言ってくる。
「その日本人共々纏めて放り込んでおけ。ブツさえあればこちらのものだ」
近くで気絶していたスリ共々司郎は男たちに連行されどこかの部屋に投げ捨てられた。
「――――――んグゥッ!!」
あのカボチャ絶対叩きのめしてやると心の中で誓った司郎。
後ろ手に縄で縛られ猿轡もされている。
そのせいで押し倒された痛みの悲鳴がくぐもったのだ。
(――――――悪趣味な)
見ると捕まっているのは司郎だけでは無い。
一緒に入れられたスリと気絶する際にいた女性。
他に男女3人ぐらいだろうか部屋には6人の人間が監禁されていた。
(さっさと逃げないとまずいな)
生贄なんて言われた日には何をされるか分かったものでは無い。アイルランドである以上あのテロリストが悪魔崇拝、またはドルイドの知識のある術師集団なのかもしれない。
(――――――まぁ、素人だがな)
と、司郎 二流術師 は不敵に微笑む。何故なら。
(こっ、来い)
ポッケに入れている別の札を取り出し火の術を発動させ縄を焼く。
「――――――ふぅ、大丈夫ですか」
小声で女性の縄と猿轡を外す。
「ーーーーーーごほっ、ごほっ、あ、ありがとうね。迷惑をかけたのに」
女性は今度は小声の英語で返して来た。
「それはまぁ、後で今は脱出を・・・・・」
「ンングゥゥッ!!グゥゥッッ!!」
「グゥゥゥッ、ゥッゥゥッ!!」
希望を感じたのか他の囚われていた人たちが騒ぎ始める。
「あわわわ。お、落ち着いて、シー、シー」
必死に諫める司郎・・・だが。
「おい、五月蠅いぞ!」
罵声が聞こえ足音が近づいてくる。
「・・・・・チッ、すみませんちょっと捕まっているふりしてください」
「あっ、はい。分かりました」
女性も何をしようとしているのか察し動く。
「うるさいぞ!!・・・日本人は何処に行った?・・・ゲホァッ!?」
「・・・・・ここだよ馬鹿頭」
ドアの視覚に隠れて馬の覆面をかぶった男に投函で家から取り出した木刀で殴り飛ばした。
「皆さん安全は俺が確保します。後からついていってください」
木刀から刀に獲物を変えて司郎は先を急ぐ。
気配を探り安全かどうか確認してから後続の人にハンドサインで〇を描いて来ても良いと合図する。
(・・・・・何だ?)
騒ぎ声が聞こえてくる声。
―――――糞、何て奴だ!
―――――この畜生!何でこんな場所に!
―――――そもそもここが割れているんだ逃げるぞ!
聞き耳を立てていた司郎は想像していた展開とは別の展開になっている。
儀式の話や脱走した自分達を探している様子は無い。
むしろ、警官や敵対組織にバレて突撃されている最中のようだ。
「はぁ、・・・はぁ、・・・」
女性が足を引きずりながらこっちに近づいてくる。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよそろそろ薬が効いてきたようなので。もしかしたら私の仲間が追ってきたかもしれません」
どうやら彼女は司郎と同じ術師のようだ。部屋を出る時女性は何処からか塗り薬を取り出して足を治療したようだ。
「・・・・・・そうですか。なら、俺が見てきます。皆さんはそこの部屋でバリケードを作って待っててください」
司郎は空き部屋に捕まっていた人たちを誘導する。
「・・・・・・これを恐らくこの状況は私の行方を調べてやってきた、白枝騎士団の誰かです。これと同じバッチを胸元に付けています。これを見せれば保護してもらえるかもしれません」
女性は白い枝が渦巻きに描かれているバッチを渡してくる。
「ありがとうございます・・・では」
「・・・・・しかし、こんな修羅場初めてだ」
囚われた人たちと別れ恐る恐る建物を歩く司郎。
「・・・・・あれは」
オオカミマスクの男が倒れている。武器であろう鉄棒を落としビクンビクンと倒れ伏している。
「・・・・・こりゃあ一体?」
思わず男に近づく司郎・・・・・だが。
「うぉぉっ!?」
向かい角から青色の犬が飛び出してきた。
「・・・・・ッ」
「グルルルル」
司郎を見るなり威嚇する犬。
青の毛並み。折れ耳・サーベル形のたれ尾。シカなどの大型哺乳類の狩猟に使われていたイギリス、スコットランド原産の大型の視覚ハウンド、スコッティッシュ・ディアハウンドだ。
「・・・・・・・・・」
「グルルルル」
スリムでやせ型のスコッティッシュ・ディアハウンドだが体高は70cmより上であり足も速く力もあり鹿を仕留めれる猟犬である。
温厚な性格だが元々古くはアイルランド、スコットランドでオオカミ狩りに連れられた犬なのだ。
「ガフッ!」
「うおっ!?」
とびかかった猟犬に即座に司郎は刀を振ってけん制する。
「くっ・・・くそ、こりゃあ騒ぎになるわ」
急いで服を脱いで片腕に巻き付ける。
「ガフッ!」
だが、この猟犬は鹿や猪だけではなく人間、それも魔術師を狩るために教育されたマンハンター、一般的な犬の対処法は意味をなさない。
「うおっ!」
刀を飛ばされ抑え込まれた。
「くっ、くそぉっ・・・離れない」
「ガフッ、ハフッ」
のしかかった犬に人。見方によっては仲の良い犬と主人の戯れにも見えるだろう。
・・・・・もっとも、今の司郎は狩られる寸前の獲物なのだが。
「だが、・・・・・・イー!」
帝釈天、インドラの種子を唱える。
瞬間、服にくるまれている腕が電撃を放ち猟犬に向かう。
「キャイン!」
猟犬は思わず司郎から飛び跳ね距離をとる。
「はぁはぁ、・・・・・この糞犬!」
司郎は刀を握り切りかかろうと距離を詰めようとした。
「――――――そこまでだよ」
「!?」
凛とした声と共に司郎の背中に尖った何かを突き付けられる触感がした。
コイツまた背中とられているな(笑)
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