カンピオーネ! 縁結びの魔王   作:黑米田んぼ

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ちわっす十一月も半分切ってきましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回話の展開上幾つもの視点が切り替わる都合上読みにくいかもしれませんが読んで頂けたら幸いです。


48話

 再び人界とアストラル界を繋ぐ狭間の世界にやってきた司郎とウィン。

 

「―――――ッ!一人残ったか」

 

「残ったってもしかして一人で動く気だったの!?」

 周囲に探知魔法をかけて二人だけと理解する司郎とその言葉の意味が何をさしていたのかを気づいたウィンは問い詰める。

 

「前と同じなら前と同じように遺跡と地脈の流れを断ち切ってしまえば良い。その後はこの世界に穴を開けて脱出するだけの簡単な作業だまつろわぬ神が出てきても俺が相手をすればいいウィンは自分の身さえ守っていれば良いんだ」

 

「―――――何を言っているの?」

 ウィンには司郎の言葉が一体何を言っているのか理解が追い付かなかった。2年前のウィンの知る司郎の実力は上級騎士相手にあっさりと背中を取られた。お世辞にも幸運で神獣相手に生き延びれたとしか言えない。

 だが、今の彼はどうだ?ウィン自身は心の奥底では今まさに恐怖を感じていた。

 状況が前回と同じなら再びまつろわぬ神が軍勢を率いてやって来るのではないのかと。ここにいたのが高位の大騎士ふたりであってもこの状況に孤立無援のような恐怖を覚え足がすくんでもしょうがないと言わざるを得ない。

 

 だが、この男は、高橋司郎はどうだ?これからなすすべなく一瞬で、または一方的に殺されるのかもしれるかもしれない状況にまるで害虫を駆除するためにトラップを仕掛けてもし害虫が出てきたら叩き落す。としか考えていないのだ。

 

「―――――それが君なの?怖くないのシロウまつろわぬ神に?」

 そう問いかけるウィン。・・・だが。

 

「―――――そんな事よりお前や亜衣たちが心配だよ逃げるだけなら幾らでもやりようがあるんだ」

 

「―――――」

 絶句した。そしてああ、理解した。ウィン・マクガヴァンは高橋司郎の言葉の意味を理解した。

 

 この男の手は伸びる。そこらの魔術師を比較したらとんでもなく遠くまで。出来ることが幾らでも出来るのだ。だからこそ自分の身の心配は二の次なのだ。

 

「―――――どうやらお客さんが団体さんでお出ましだ」

 眼前には二年前に戦った二足歩行の神獣が群れをなしてやって来る。

 

「前に出るな援護に徹してくれ」

 護られている。偉大なるドルイダスは森の賢者だからこそそれが良く分かったのだ。

 その手のおかげで自分の命は助かったのだから。

 

 

 

 

「――――― 司郎は!」

 不思議な現象が終わり視界が安定した亜衣が周りを見る。

 

「分かりません。ですが司郎さんなら心配無いはずです」

 行方知れずの状況。されど、神殺しがそう簡単に死なない。そう信じる亜衣を鼓舞する早苗。

 

「ええ、誰よりも勇ましく強い勇士ですからね。―――むしろ、心配するべきは私たちの方よ!」

 アリサもまた状況をしっかりと見極め眼前の敵を見定める。

 

「―――――ほう、良い反応だ。妾の実力を見極めて動かないだけ誉めてやろう」

 背丈の短く幼い顔つきと発達をしていたない幼子のような風貌をしている紫の長髪をした少女が亜衣たちを見下ろす。

 

「だが、即死ね人間ども」

 その表情は何処までも人を見下す支配者の表情をしていた」

 

「―――――アーシェラ!!」

 亜衣たちの背後から声が聞こえ振り向くと白枝騎士団の団員と黒人の老人、赤毛の女性がそこにいた。

 

「―――――貴方は?」

 何処かの資料で見たようなと記憶を巡らせるアリサ。それに老人は答える。

 

「ジョー・ベストだ。今回の遺跡の為にアメリカから来たのだが遅かったようだがね」

 老年の眼力が眼前の少女に向けられる。

 

「彼女をご存じなのですか?Mr.ベスト」

 団員がジョーにアーシェラの事を質問する。

 

「ああ、奴は我々アメリカを長年荒らす邪術師《蠅の王》のトップそして、これまで私たちが戦って出来た強大な敵だ!!何より奴は神祖だ。並大抵な相手はどうにもならない相手だ」

 

「しん・・・そ?」

「零落した地母神の末路とされている不死の魔女。まつろわぬ神程では無いけれど神獣よりも強大な存在よ!!」

 ジョーの言葉の意味が分からない亜衣に補足するアリサ。

 

「それなら!」

 亜衣の脳内に浮かぶ以前に司郎と神について話をしていた事を。

 

―――――まつろわぬ神って以外にも相性とかあるんだよ色々と例外だらけだけど例えば太陽神ってポケモンとかで言うとドラゴンとドラゴンみたいな感じで自分よりもステータスが高い方が上をいくみたいな。後スサノオとかペルセウスとかの鋼の軍神、英雄神は文字道理はがねタイプだからほのおタイプに結構弱いんだよ。・・・たまにはがね/ほのおみたいな軍神いるけど。

 

 司郎が以前に話していた事を思い出し相性を突こうと特攻武器を亜衣は布津御霊を呼びとせようとする

(地母神なら鋼が弱点!!)

 そう心で思っていた・・・・・しかし。

 

「―――え?」

 その手に鋼の神剣が現れなかった困惑する亜衣にアーシェラは答える。

 

「驚愕するかそれもそうだな神殺しの走狗。何やら神殺しとのつながりを持っていそうだから妾が断って見せたのだ」

 

「―――――そんな、神祖とは言え神殺しの権能も混じったモノをこんなにもあっさりと」

 亜衣達と司郎の大国主の権能による繋がりを断ったことにアリサは驚愕する。

 

「確かに妾の陣地とかでなければ多少の準備は要るだろう。だが、お前たちの神殺しは今は異界に居る。世界と世界の壁があれば妾達であれば容易い」

 と、答えるアーシェラ。・・・そして、再び口を開く。

 

「彼奴との用も済んだ。後は遺跡を解放したことで溢れる大地の精を回収しながらお前たちを鏖殺してやろう」

 幼く華奢であるはずのアーシェラの体から溢れる莫大なプレッシャーが亜衣達を襲う。

 

「―――――ッ!!皆ここを耐えるんだ私も出来るだけのサポートはする。・・・行けアニー!!」

 魔法陣を展開しながら殺害宣言をするアーシェラを前にジョーは周りにいる者たちに指示を飛ばす。

 

「ええ、気を付けて!!」

 そう言いながらアニーは外へと走り出す。

 

「あ、ちょっと」

 此処までアニー達を案内していたのだろう白枝騎士団の団員は勝手に動くアニーを見て困惑する。

 

「問題ないアニーに任せてくれないか彼女なら素晴らしい・・・助けを呼んでくれるはずだ。それよりも」

 

「「「―――――」」」

 槍を構えるアリサ、弓を構える早苗、周りの倒れている団員の剣を拾う亜衣。

 

「この化け物相手に我々が生き延びる事だけを考えるんだ」

 帽子を深めにかぶりなおしてジョーは呟いた。

 

 

 

 

 

「―――――ふむ、中々の状況ですね果たしてどうなるのでしょうか」

 遺跡から約一キロ離れた場所にて今回の黒幕神祖グィネヴィアとその騎士ランスロットは混雑としている現場を見ていた。

 

「ふむ、しかし愛し子よ、これに一体どのような意味があるのだ?」

 戦の申し子である鋼の軍神であるランスロットだが、ランスロットの戦い方、在り方は莫大な呪力とその強大な権能で罠だろうが策だろうが何もかも踏み潰す嵐のような純粋な暴力の化身のため謀略策略にはうとい。

 

「・・・・・はぁ、少しは叔父様も魔術に詳しければ余計な説明をしなくても良かったのですが。・・・今回の始まりはちょっとした天啓から始まりました」

 

「天啓?何か信託でもあったのか?」

 

「ええ、信託によってあの遺跡の事を知りをの時期に起動させる事で様々な事が起きるのではないかと」

 

「ふむ、これはいわば試しか?」

 

「ええ、この一件であの方にふさわしき従者が増えればそれでよしそうでなくても遠い大陸の同胞に恩を売るだけでも私達にとってお釣りのくる成果が出られますわ」

 美しき神祖は妖しく笑う。

 

 

 

 

「―――――ああ、もう始まってしまったのですね」

 遠方から遠見の術で参事を確認した賢人議会の重鎮アリス・ルイーズ・オブ・ナヴァールは霊体による飛行術のスピードを早めた

 

「どうせあの方もこの状況を何処かで見物して割り込むタイミングを伺っているのでしょうね」

 そう長年の付き合いで運命の赤い糸・・・よりも手錠で繋がれた腐れ縁の魔王の事を考えていたアリスであった。

 

 

 

―――――一方司郎達は迫りくる神獣の軍勢に挑んでいた。

「ウォォォォォ!!」

 生太刀に莫大な呪力を風に変えた竜巻を纏わせて兵隊達を吹き飛ばしていった。

 

「―――――すごい」

 その光景を見てウィンは息を吞んでいた。

 

 カンピオーネ高橋司郎。その戦闘の基本はまつろわぬ大国主から簒奪した『古き神王の秘術(エルダーゴット・アーケイン)』を主軸に剣術で進めていく。

 軍神、英雄神、そして神殺し強者と戦いその剣の冴えは磨かれ劔に纏う風はかまいたちとなり離れたモノも切り裂く。魔術を組み合わせた剣術だけなら他の大騎士クラスの基本である。

 

 だが、それを神獣。それも一体どころではなく複数、それも統率された動きでだ。人を遥かに超えた神獣の軍隊相手に大騎士であれば一目散に逃走するのが常識だ。

 

 それを行える技術と勝利を嗅ぎ分ける野生の勘を常人では竦むほどの綱渡りを平然と行える度胸が高橋司郎にはあった。

 そしてその実力を神獣を薙ぎ払う事でウィン・マクガヴァンに彼が神殺しなのだと改めて知らしめたのだ。

 

―――――そして、神獣達の主もまた目の前の障害の脅威を理解した。

 

「―――――はぁ、また邪魔がいるの。それも神殺しなんて」

 凛としているが艶のある声が二人の耳に届く。

 

「―――――とうとう本命か」

 生太刀にへばりついた神獣の血を飛ばし司郎は眼前の神に視線を向ける。

 

「ええ、何処かで見たことがあるような気がするけど・・・まぁ、いいや。人間なんてどうでもいいわ。もし私に覚えてもらいたかったらその剣で私の記憶に刻み付けてみなさい」

 艶のあるピンク髪を翻し古のケルトの戦衣装を着込んだ美しい妖精のような美貌を持つ美女が二人の前に戦車で迫っていく。

 

「―――――シロウ彼女は」

 ウィンは何となくだが自分達に迫っていく神の名を導き出していっていた。

 

「・・・・・ああ、恐らくだがな。毒の槍を持つ人型の神獣を呼び出す神。そんなの一つしか知らねぇよ」

 毒槍を持つ人型の怪物ケルトには有名な怪物が一つある。

 

―――――クラン・カラティンとある女王に使える怪物でありとある英雄と戦う際27人いた子供を一つにまとめその腕と槍を持つ怪物。

 

 故にその怪物を従える女など一つしかいない。多くの英雄を愛し愛され、権威、悪、狂気の三位一体を持つ古き地母神にして後の世に妖精女王ティターニアのモデルとなるコノートの女王。

 

「――――――女王メイブ」

 

「―――――へぇ、戦いしか興味のない猪と思っていたけど私の名前に気づくだけやるじゃない」

 自分の名に気づいたことにメイブは笑う。酩酊の意味を持つだけにその柔らかな笑みは多くの男だけではなく女性でさえも惹かれてしまうほどであった。

 

「―――――悪いがここは通さない二年前と同じだ。今度はあの世に叩き返してやるよ女王様」

 武器を構える司郎とウィン。

 

「良いわよ。打ち壊してあげるわ神殺し!!」

 呪力を漲らせ戦車の前にいる牛に突撃するように命じる戦いの幕が上がったのだ。

 

 

 

 

―――――――そして、アイルランドのとある大麦畑にて。

 

「―――――よっと。久しぶりの現世だな」

 麦が生い茂った畑にて一つポツンと立っていた3メートルはある巨石の前に光が集まり一人の男を形作った。

 

「一体どんな縁で俺が降臨できたか知らねぇが・・・・・」

 時代錯誤の獣の毛皮が縫い込まれた軽鎧を着込んだ青みが勝った黒髪の男が手を上げると幾つもの古代文字が浮かび上がり周りから土地の精霊が男の周りに集まる。

 

「―――へぇ、そんな遺跡があるのかで、その中に神殺しがね・・・悪くねぇじゃねぇか」

 土地の精霊との話を終えた男は己の死に場所とされる巨石から出て広々とした道路に移動し自分の愛用の戦車を呼び出す。

 

「今世の神殺しがどれだけ楽しめるかなマハ!サングレン!出陣だ行くぞ!!」

 灰色の馬と黒毛の馬が走り猛犬を乗せた戦車は司郎達のいる遺跡の方角へと走っていった。




次回世にも珍しいちゃんと強いアーシェラが少女達に立ちはだかりますお楽しみに。
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