カンピオーネ! 縁結びの魔王   作:黑米田んぼ

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見て下さってありがとうございます。今回戦いの流れの中でもしかしたら不快な思いを感じる人もいるかと思いますが話の流れを考えたらこうなっただけで決して被災地の方に不快な思いをさせるような気持ちなど一切無く被災地の方々の健康と安全を祈っております。明日でもまた幾らか募金でもしようかなと思います。もし私の小説を読んでほっこりしている方が居たら幸いです。


54話

「―――――まったく面倒な相手を押し付けたな」

 グチグチと愚痴を言いながら仕込みをしているアレク。アレクと司郎お互い常識人のふりをした歩く火薬庫良くも悪くも歪んだ合わせ鏡。同族嫌悪に近い感情がアレクに渦巻いていた。

 

「そうかね?彼は元からこの事件に大分前から関わっていたそんな彼はここから現世に迫るワイルドハントから人々を守る役割を私達に明け渡した詰まる所『主役』の座を渡してくれたんだ。ならばこそ私はその主役の座を存分に踊らせてもらうさ」

 対するスミスは上機嫌だ。事前にこの遺跡の事は聞いていた。そして神殺しになる前の司郎がこの遺跡に関わっていた事もだ。アニーの第二人格であるスミスは舞台に上がる役者のような振る舞いを好む。現世からこの異界に神殺しを追いかけて来たまつろわぬクー・フーリンを迎撃するか。それとも異界から現世…人間界に迫る危機ワイルドハントとその首魁まつろわぬケルヌンノスを迎撃するか舞台に置いてもっとも盛り上がる場所はどちらか言わずもがな後者である。

 

「ではケルヌンノスは私が相手をする君はワイルドハントの足止めを頼む」

 そう言ってケルヌンノスに挑もうとするスミス。

「おい待てなぜそうな・・・」

 勝手な行動をするアレクだが逆に勝手な行動をされることが一番いやなためアレクに思わず文句を問うが…実の所アレクサンドル・ガスコインとジョン・プルートー・スミスは実は一度殺し合いに発展したほどの中の悪さであった!!

 

『冥王の名にの下に命ず。天を落とす黒き翼を捧げよ。空よ、我がために胸襟を開け』 

 権能を発動させる聖句が紡がれジョン・プルートー・スミスの権能煙を吐く鏡・魔神まつろわぬテスカトリポカの権能『超変身』から分かれた化身の一つ黒き魔鳥が発動しワイルドハントのいる場所にその条件である地震が発動する!揺れ動く大地に多くの亡霊たちの動きを奪う!

 

「ちっ、勝手な真似を…まぁいい。俺は仕込みをして奴の戦いを見ていればいい」

 アレクも堕天使レミエルから簒奪した最初の権能『電光石火』を発動し神速で混乱している亡霊たちの中に飛び込み聖句を唱える。

 

「戸惑いの館を前にして―――旅人よ、希望を捨てよ!」

 展開されるのは入り込んだ人間を迷わす迷宮。大地と迷宮の神まつろわぬミノスから簒奪した『大迷宮』が悪霊たちを誘う。

 

「―――ちっ、全くどいつもこいつも。少なくとも奴らはこれで問題無いだろう。念のために呼んでおくか」

 迷宮の奥地に移動したアレクは使い魔を呼び出す権能妖蛇の魔女まつろわぬメリュジーヌから簒奪した『無貌の女王』を発動した。

 

「この迷宮にいる亡霊たちの相手をしてやれ必要以上に相手をしてやらなくてもいい」

『―――――』

 半人半蛇の女神の使い魔はコクリと頷きアレクの視界から消える。

 

 

 

 

―――――一方その頃スミスは。

 

「これはまた巨大な神だ。まるでキングコングだ。これはやりがいがある」

 黒き魔鳥に変身しまつろわぬケルヌンノスに接敵するスミス。まつろわぬケルヌンノスは全身を毛で多い古代の狩人のような装いを着込んだ見るからに異形と呼びたいほどの巨神だ。スミスのホームグラウンドであるアメリカの怪獣キングコングを連想するのも仕方ないのだろう。

 

『・・・・・』

 迫りくるスミスを見てケルヌンノスは何かを口走った。こちらに気づいたのだろうケルヌンノスはスミスを打ち落とすためにその体毛から無数の鳥に変身しスミスに向けて突撃してきた。

 

「これは中々ジャブとしてはそれなりにだな」

 スミスは魔鳥の巨大な翼を羽ばたかせそれに発生するその暴風はただの鳥であればあっさりと吹き飛ばすだろう。・・・しかし、ケルヌンノスによって生み出された鳥型の神獣は暴風を相手に留まるだけにとどまり風が止んだ瞬間。スミス向けて一直線に突撃していく!

 

「―――――むっ」

 迫りくる鳥たちの突撃にスミスは魔鳥の体を呪力で更に強化して迫りくる鳥ミサイルを耐える。

 

「問題は無いな。・・・では行こうか」

 魔鳥の体を強化したままケルヌンノスに迫るスミス。スピードが乗ったかぎ爪がケルヌンノスの体を傷つける。

 

『―――――』

 そこらのビルを余裕で破壊するような一撃だが相手は動物の王にして生と死の神スミスの一撃を喰らってそこまでダメージを追っておらず切り裂かれた傷は直ぐに元通りに治っていく。

 

『―――――』

 お返しと言わんばかりにケルヌンノスはその巨大な腕でスミスに殴りかかった。

 

「―――――っ・・・うぉっ!?・・・これはまた厄介な『狩り』の技術だ。私が狩られてしまうな」

 40メートルの巨体の割には恐ろしい程の拳がスミスに迫る。通常であればそのような巨体の拳そこらのヘリならいざ知らず神殺しであるスミスを捉える事は出来ないはずだ。しかし、ケルヌンノスはケルト神話にて狩猟神にして獣王と呼ばれる。獣の知識を知りつくし周りを飛び回るスミスを正確に殴ってくる。当たればただでは済まない威力を持つ降りかかる拳にスミスは冷や汗をかきながら避けきっていく。

 

「・・・・・やれやれ流石はまつろわぬ神か」

 スミスはケルヌンノスに遠矢撃つ月女神まつろわぬアルテミスから簒奪した『魔弾の射手』月六発しか発射できない魔弾を放つ。

 

『―――――!!!』

 この魔弾は効いたのかぐらつくケルヌンノス。そして、ケルヌンノスのその目には明確に眼前の神殺しに対して明確な敵意を抱き始めたのだろうケルヌンノスの周囲から見るからに危うい黒い瘴気があふれ出している。

 

「煙履く鏡、テスカトリポカの徴よ!」

 言霊を唱え魔鳥の口から魔性の毒霧を放つスミス。だが、ケルヌンノスは周囲の瘴気を操作して毒霧を相殺する。

 

「―――――むぅ、この程度では大したダメージにすらならないのか」

 喰らえば神とてただでは済まないはずそう思っていたスミスをケルヌンノスは睨みつけて呪力を昂らせて死の瘴気を操作して攻撃を仕掛けてくる。

 

「これを喰らったらシャレにならないな!!」

 何かに手を伸ばすように鞭を振るうかのように首を切り落とす横なぎのように獲物を打ち落とす矢のように死の瘴気は形を変えてスミスの命を刈り取るために迫る。

 常人であれば当たるどころか瘴気の一端が触れれば死を免れない濃密な死をスミスは上手く躱していく。

 

(―――――さて、このままの状態であれを倒すにはあまりにも手札が少なすぎる)

 スミスの権能はテスカトリポカの『超変身』、アルテミスの『魔弾の射手』、妖精王オベローンの『妖精王の帝冠』、地獄の伯爵ピフロンスの『形なきもの』シュメールの竜神ティアマトの『深き底の使途』の計5つ。そしてスミスにとって攻撃手段になる権能は『超変身』『魔弾の射手』『深き底の使途』の三つ。

 『深き底の使途』は水底や地底に異形の魔神を呼び出し大量の水がある場所を荒らし氾濫や地震を引き起こす。大量の水があれば敵を水の中に落とすことも出来るが眼前の巨神相手にするような水量は無い。よってこの権能でケルヌンノスに使うなら地震を引き起こし地割れで地下に落とすしかないだろうがそんな悠長な時間は無いだろう。

 では、残り二つは?それも少ない『超変身』は5つの姿があるがその発動には生贄が必要だ第一の姿は『人が土より造りだし巨大な建造物』第二の姿は『人口の光』第三の姿は『雨と自分自身』第五の姿は『自分以外の者が殺した生き物の屍』・・・そして第四の姿現在スミスがなっている魔鳥の姿の生贄は『大地』である。

 ―――だがしかし、他の姿を使おうにも周りには生贄に使えるよな人口の光はおろか巨大な土を使った人工物すら無い。生き物の屍も無く事前に司郎が倒したまつろわぬメイブの軍勢は生贄になるか怪しいものだ。

 そして、『魔弾の射手』の弾丸は先ほどアーシェラに撃った一発、続けてケルヌンノスに放ったのを含めて残り四発弾丸が補充されるのは次の新月どう使うかジョン・プルートー・スミスは決断に迫られていた。

 

「―――――このまま仕掛ける!」

 決断したスミスはこのままの姿のまま呪力を高めケルヌンノスの周囲に湧いている死の瘴気に耐えきる程の状態にして突撃を決行したのだ。

 

『―――――』

 その意気やよしと言わんばかりにケルヌンノスは己の全てを駆使して全力で眼前の神殺しの獣を狩るべく死を振るう。

 

「―――――一つ!」

 迫りくる鞭のように振るう死を躱す。

「―――――二つ!」

 続けて敵を一度に薙ぎ払うように横なぎに振るわれる死を高く飛ぶことで回避する。

「―――――ッッ、三つ!」

 回避した先に放たれた矢のような死を直感で見抜き回避した。

「―――――四つ!これで!」

 地中から伸びてくる手のような形をした死を回避しケルヌンノスに肉薄したスミス―――――だが。

 

『ガァァァッッ!!!』

 咆哮しケルヌンノスの腹から獣の口が生えてスミスを喰らおうとする。

 

 

 

 

 

 

「―――――五つだ!喰らいたまえ!!」

 魔鳥の姿を解除して怪人の姿になったスミスは愛銃をケルヌンノスの口に向けてアルテミスの弾丸を全て叩き込む!!!

 

『―――――ォォォォォォッッッッ!!!??』

 六発全て放てば国一つは滅ぼせる一撃四発全部を込めた爆裂弾はケルヌンノスに大ダメージを与え巨神の巨体は大地に倒れる。

 

「―――――これは効いただろう・・・む?」

 倒しきっていないのかスミスの体は未だにケルヌンノスの気配を感じて体が昂っている。だが、それとは別にスミスの心にはまた別のざわめきを感じていた。

(―――――テスカトリポカの権能が反応している。何故だ?)

 自分の最初の権能テスカトリポカの権能が何かに反応している。そんな奇妙な感覚がスミスは感じ取った。




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