カンピオーネ! 縁結びの魔王   作:黑米田んぼ

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皆さんオハコンハロチャオ次話投稿です。五章もいよいよ大詰め楽しんでいってください。ではどうぞ。


55話

「――――――ッ、ヤドリギよ大地を包むものとなれ!」

 神剣と宝剣のぶつかり合いの衝撃がウィンを振り飛ばした落下し大地に叩きつけられる前にウィンはヤドリギを魔術でクッションにして落下による衝撃を無くす。

 

「・・・酷い」

 二つの神の剣の威力は凄まじく周囲一体の木々を薙ぎ払った。更に雷で木々が燃えその上腐敗の術がかけられた事で燃えやすくなっていた木が更に辺りの木を燃えやすくさせる。四葉のクローバーなどの希少植物を崇拝している神木文化などを重視するドルイドからすれば思うことは多い。

 

「シロウは・・・」

 彼は何処なんだ無事だと良いのだがとウィンは周りを見て司郎を発見する。

 

 

 

 

「――――――へっ、炎か悪くは無いな・・・だがこのレベルじゃあ俺達『鋼』は殺せないぞ神殺し」

 一方クー・フーリンは炎の中でも平気だった。彼の父は太陽神ルーグ幾ら鋼の弱点である鉄を溶かす高温はまだ届かない。

 

「――――――分かっているさ。これは呼び水だ」

 司郎もまた炎の中虚空に手を伸ばし権能を扱う聖なる聖句を唱えた。

 

「――――――満天を照らす我を見よ!第一の太陽が遣わした火を奪い我は四つの熱風と共に輝ける焔の龍とならん!!」

 唱えた瞬間辺り一面を燃やしていた業火が大蛇に飲み込まれたがごとく消え去り司郎は炎の繭に包まれていた。

 

「させるかよ!!」

 如何なる手を使うかなど気にしないと言わんばかりにクー・フーリンは宝剣を司郎を包んでいた繭に叩きつけようとしたが。

 

『おせぇ!!』

 宝剣が迫る前に熱風がクー・フーリンを吹き飛ばす。

 

「――――――あれってシロウ?」

 ウィンが驚愕するのもしょうがない。何故なら繭から出てきたのは恐竜のような顔をした赤金色のドラゴンが現れたのだ。

 

――――――これこそが高橋司郎のケツァルコアトルの権能『狂い吠える恐竜(ベルセルク・レックス)』の炎を生贄にした四つ目の能力嘗ての暴走とは違う。完全に制御した竜化を果たしたのだ。

 

「こいつは人の事を言えねぇが随分と化けたじゃないか神殺し!!」

 変貌した司郎を見てクー・フーリンは笑う。

 

『臆してなんかいないよなクー・フーリン!!』

 クー・フーリンに向けて司郎は火炎放射をした。

 

「ハッ、化け物退治こそ英雄の譽だ。叩きのめしてやるよ神殺し!!」

 呪力を強め更に魔術で業火を防御してやり過ごしたクー・フーリンは宝剣の斬撃を司郎に放った。

 

『古き太陽を蹴落とし我は真なる太陽とならん!!』

 輝けるその斬撃を司郎はそれを超える輝きで打ち消す。炎を生贄にしたケツァルコアトルの権能はアステカの5つの太陽の神話。神々が自分こそは太陽だと輝きそして他の神によって蹴落とされた。この姿は正しく天に羽ばたき太陽となるケツァルコアトルそのものなのだろう。

 

「俺達の輝きを打ち消す気か!!」

 故にその効果は太陽神の輝きを弱体化させる。何故ならケツァルコアトルはテスカトリポカ、トラロックなどなどの太陽神から太陽の座を奪い取ったのだから。

 

『ぁぁそうさ!!そしてこの太陽の炎を喰らいやがれクー・フーリン!!』

 司郎は火の矢をクー・フーリンに放つ。

 

「くっ・・・うぉぉぉぉぉっッッ!!」

 先ほどの火災など比べ物のならない業火がクー・フーリンを襲う。

 

「ガァァァァァッッッ!!なっ・・・舐めるんじゃねぇぇぇ!!」

 業火に燃えながらクー・フーリンはクルージーンを司郎に投擲する。

 

『うがっ!』

 宝剣は命中し司郎の竜体に宝剣が突き刺さって地に落ちる。

 

「シロウ!!」

 ウィンが叫ぶ。だがウィンの叫びは辺り一帯に広がるドスンと質量のある巨大な竜体が地面に落ちその身に相応しい程の重みが大地に伝わり衝撃音と土煙によってかき消される。

 

「・・・・・あいてて・・・流石に宝剣はきついわ」

 砂煙の中から司郎はウィンの元へと歩いてくる。

 

「―――シロウ、その怪我大丈夫!?僕が作った傷薬使う!?」

 司郎の元へと駆け寄るウィンだがよく見ると司郎の体には切り傷が見え隠れしていた。

 

「ああ、このぐらいなら大して問題ないさ。…それよりももうちょっと下がっていてくれ」

「―――――え?」

 ウィンが作ったのだろうドルイドの傷薬を塗りながら司郎はクー・フーリンの方へ視線を向ける。

 

「―――――まさか…生きているっていうのあの業火の中を…」

 燃え盛る業火それはまるで全てを焼き尽くす核兵器のように燃え盛っていた。まともな術師はおろか神獣でさえこの業火を前になすすべもなく燃え死んでいるだろう。

 

 

 

 

『あ―――――ったく、死ぬかと思ったよ』

「―――――ひっ!?」

 燃え盛る業火の中から巨大な人狼のようなものが現れる。あの如何なるものであれ死に絶える業火を相手にして疲れたとあっけらかんに言うその化け物に思わず悲鳴を上げるウィン。

 

「よう、中々の面構えじゃないかクー・フーリン。好みのバケメンだよ」

『なんだよそりゃ何処の言葉だよ。生憎とこの姿は趣味じゃないんだよ』

 

―――――曰くクー・フーリンは戦に興奮すると恐ろしい怪物に変貌するというらしい。それは彼の血筋である怪物と評されたフォモール族たちの王であるバロール故なのだろうか。

 

「だがまぁ、中々の火だったぜ神殺し。この姿にさせた上に耐えるために大分消耗させられたよ。少なくとも下劣な謀略をしないでここまで追い込まれたのは久しいな」

 怪物の姿から人の姿に戻ったクー・フーリンは司郎に称賛の声をかける。

 

「―――――だからこそだ。神殺し…ああ、いや、確か高橋司郎だったか?ここまで来たら最後まで出し切ろうじゃねぇか!!」

 クー・フーリンが魔法陣を展開する。クー・フーリンの足元に照らされる四つの古代文字から莫大な呪力がクー・フーリンを包もうとしていた。

 

「友よ、神々よ、我は此処に宣言する。眼前にいる宿敵に全てをかけて打ち倒さんと!!」

 クー・フーリンの口から紡がれる誓約の言霊その意味は誰もが察していた。

 

「―――――まさに四枝の浅瀬(アトゴウラ)かあんた全てをこれまでの全てをかけるつもりだな!!」

 

「―――――応とも!逃げるなんて情けない事は考えないよな我が今世の好敵手高橋司郎!!」

 クー・フーリンの手に握られる一本の槍その槍が何なのか司郎はウィンは理解しているのだ。

 

「―――――是非もなし。リベンジだ!全身全霊でアンタを打ち抜いてやるよ!!」

 司郎も負けてはいないカルナの鎧を召喚する。

 

 

 

 

「―――――天に輝く我が父の愛を知るがいい!!」

 ―――否、司郎の口から紡がれる聖句によってまつろわぬカルナから簒奪した権能光輝く鎧(プロミネンス・ロリカ)は形を変える。

 

「我が師スカアハの絶技を見るがいい!!魔獣より造りしこの槍はあらゆる敵を貫き通す!!」

 クー・フーリンもまた聖句を唱えながら魔槍を振りまわしながら眼前の宿敵を睨みつける。

 

「嗚呼、我が父よ。天より全てを照らすその不滅の輝きを持ってわが身を守護したその輝きを持って我は夷狄を討ち果たさん!!」

 表すは弓と一体化した金色の矢。弦を指で掴み司郎は呪力を流し込みながら弦を引き絞る。

 

―――――現世とアストラル界の狭間の地に流れる風が二人の戦士の間に流れる。両者決着をつけるがごとく全てを用いて眼前の好敵手を睨みつける。

 

「―――――この一撃手向けと知れ牙を剥けゲイ・ボルグ!!!」

「―――――日輪よ全てを照らせブラフマーストラ!!!」

 放たれ交差する魔槍と神矢。あらゆるものを貫く最恐の矛は主の敵を排除するために真っすぐに迫る。

 

 

 

 

 

 

「―――――ガハッ!」

 体に突き刺さる魔槍の痛みに司郎は悶絶し膝を付く。

 

 

 

 

「―――――一手間違えたか。この勝負お前の勝ちだ」

―――――そして神矢に切り裂かれクー・フーリンの胴体は袈裟切りされたかのように胴体は分断されていた。

 

「―――――ああ、俺の勝ちだよクー・フーリン」

 勝敗の理由は速さ。司郎は速度を重視した光の矢を放ったからこそ魔槍の速さを越えてクー・フーリンを素早く打ち抜きクー・フーリンが瀕死の重傷になり司郎に届く前に魔槍の威力が抑えられたのだ。




もうちょっと書こうかなって思ったけど蛇足な気がするので次回はそれらを諸々含めたちょっとしたエピローグとなるのかな?楽しみにしてくださいね。
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