――――――まつろわぬクー・フーリンとの激戦に勝利した僕たちは急いで二つの世界を繋ぐ遺跡の停止に向かった。
遺跡近くではスミスさんがまつろわぬケルヌンノスと激闘をしていていたからこそ僕たちは大急ぎで遺跡を停止させようと動いた。
クー・フーリンとの闘いで疲弊していたからかシロウはあまり乗り気じゃなかったけどもしあのワイルドハントが一体でも外に漏れたら大変な事になる。そう考えると気が気でなくてしょうがなかった。
だからそのためなら僕はシロウに全てを捧げても・・・いや、捧げたいのは元からだったのかもしれない。どちらにせよシロウは疲労したその体に鞭を打って遺跡から大地の精を龍脈に流出させて更に遺跡が簡単に大地の精を吸収しないように蓋をして少なくとも人間が手出しできる事はまず無いだろうと僕は思う。
「・・・・・これで問題は無いかな」
異界から脱出しウィンは司郎達を白枝騎士団が運営しているホテルに案内して自分はその近くにあるセーブハウスでノートパソコンを打っていた。
「・・・はぁ、やっちゃったな」
あの異界で司郎はウィン・マクガヴァンに権能の加護を与えた。一時的なものであれそれは裏を返せば高橋司郎はウィン・マクガヴァンを白枝騎士団を傘下に入れても良いと言う事でもある。
・・・それは良い白枝騎士団からすれば神殺しのカンピオーネに関係を持つことは悪い事ではない。王の傘下に入る事は王の庇護下を得られる事にもなるそうすれば他のアイルランドの魔術結社から一目を置かれるようになり尚且つアイルランドを始めとする欧州でのまつろわぬ神や他の神殺しの王との問題が起きたときに問題を解決してもらえるかもしれない。メリットは大きいだろう。
だが、逆にデメリットもまた大きい。傘下に入ると言う事は同じ傘下の組織と水面下で権力闘争をしてしまう事がある事だ。王の庇護をより大きく得たいがために他の魔術結社を追い落とすような事も起こるのかもしれない。
高橋司郎の傘下にある組織は彼の母国日本のを正史編纂委員会。北欧でその名を知れている黄昏の十字結社の二つ中々格式の高い組織だ。
高橋司郎は元々はフリーの魔術師・・・いや、魔術使いが正解なのかもしれない。どちらにせよ元は日本に住んでいるノラの術師なのだろう。そして神殺しになった瞬間彼の国は彼に接触した当たり前だ。神殺しの二つ名の一つは魔王まつろわぬ神々同様手を間違えたらその力は自分達に向く。
「・・・・・何事も無いと良いな」
冷めたホットミルクを飲みながらウィンは呟く。各組織の主な活動拠点は日本、北欧、欧州それなりに距離もそれなりに離れて丁度良いと思っているがそれを果たして他の組織がどう思うのだろうかと。
「―――――いらっしゃい」
カランカランとドアにあるベルが客の少なく静かに伝統的なアイルランド音楽が流れるアイリッシュパブに新しい客がやって来たと合図を鳴らしたのだ。
「隣良いかい?」
バーに入って来た客こと司郎はバーで酒を飲んでいた客ことアレクに話しかける。
「・・・・・・」
「あ、良いのね。じゃあよいしょっと」
「いや、何故そうなる」
沈黙を了承と受け取り隣に座る司郎にアレクは文句を垂れる。
「空いているんだから別の席に座れば良いだろうが」
「別に良いだろう俺が何処に座ろうとあ、すみませんポテトフライ一つ後ジンジャーエール」
店員が司郎の注文を聞き受け奥に入っていく。
「何の用だ。こんな所までやって来て」
アイリッシュウイスキーを飲んでいた手を空にしてアレクは司郎に問いただす。
「別に。あの場に居たのも大方情報が漏れたか俺達が来日するから何かあるって足を運んだって所だろう?」
「・・・・・そうだ。おかげで面倒に巻き込まれた」
舌打ちをしながらアレクは残ったウイスキーを飲み干す。
「好奇心は猫をも殺す。確かこのことわざの語源はイギリスだっけ?」
「そうだ。Curiosity killed the cat 猫は九つの命を持っているとされ容易に死なない猫が容易に死ぬのが好奇心とされる過剰な好奇心は身を滅ぼすという戒めの言葉だが貴様に言われるのは癪で仕方ない」
「そりゃ悪いが俺からすればアンタ見事にババ掴まされたからなそりゃそうなるとしか言えないよ」
出来上がったのかことりと置かれたフライドポテトとジンジャーエールに司郎は視線を移す。
「ふん。済まないがサイダーとソーセージを」
これ以上話したくはないとアレクは次の注文をする。
「サイダー?何だよウイスキーがきつくてジュースに逃げたのか」
フライドポテトを食べながら司郎はアレクに問う。
「違う。サイダーの意味は」
アレクがサイダーの意味を言おうとすると。
「アイリッシュパブなどで置かれているサイダーとはりんごや洋梨を使って作るフルーティーだが度数の高い炭酸飲料だ。私も夏の夜にアイリッシュの酒場でよく飲んだものだ」
再びベルが鳴りスミスが入って来て司郎の隣に座る。
「貴様まで何しに来たんだ」
更に面倒な奴がやって来たとアレクは若干苛立っていた。
「大した事は無い新しいチャンピオンに改めて話してみようとしただけだ。済まないがエールとナチョスを頼む」
「ナチョス?」
「チーズを溶かしてかけたトルティーヤ・チップスだよ」
スミスの注文の内容が分からなかった司郎にスミスは答える。
「メキシコ料理かそういうのもあるのか」
「お前たちの国がクロケットを魔改造してコロッケにしたりハッシュドビーフをハヤシライスにしたりするだろう。他の国が交流を持ちそこで得た料理が他の国に輸入されこうしてその国のパブで出されるようなものだ」
出来上がったソーセージの皿にフォークを刺しながらアレクは言う。
「・・・・・所で話を変えるがMr.シロウ君はアステカ神話の神を倒しているようだね」
そうスミスは問う。
「ああ、アンタからすれば思う事があるだろうがケツァルコアトルだ」
「・・・・・そうか。やはりそうだったか。戦っている最中私のテスカトリポカの権能が疼いていてねそれで聞きたかった」
「まぁ、自分の権能と宿敵の権能を持っている奴が居たら反応するよな」
「そう言う事だ・・・来たようだね」
出来上がったのだろうスミスの近くにエールとナチョスが入った皿が置かれる。
「その仮面で食べられるのかよ」
「奇遇だな俺もそう思った」
考える事は同じだったのか意見が合った二人はそこのところどうよ?とスミスに問う。
「ふ、それぐらい動作も無い事よ」
そう言ってスミスはあっさりとナチョスを口に入れエールを飲む。
「いやはや、とんだマジックだ。一体どんなトリックを使っているのやら」
「生憎と答えるつもりは無いな」
三人の神殺しの会話は少しずつ減っていきもう良いと思ったアレクは部屋を出ようとする時に司郎に一言言った。
「そう言えば貴様はクー・フーリンを倒したが権能は手に入ったのか?」
「クッ、それこそ答える必要があるかよアレクサンドル・ガスコイン?」
「フン、そうかじゃあな」
パブのドアのベルが鳴りアイルランドの夜に消えていく英国のカンピオーネその後姿を見てスミスは言った。
「私もおさらばさせてもらうよ。さらばだニッポンのチャンピオン出来る事なら我がステイツには余り関わらないでもらいたいものだ。君は穏便なチャンピオンなのだろうがだからこそいざって時が恐ろしいからね」
そう言いスミスもまたアイルランドの夜に消えていった。
「・・・・・おう、次も味方であるように祈っておくよ・・・祈る神がいるかはさておきな」
二人のカンピオーネに別れを告げた司郎はあの時の事を思い出していた。
「――――――あーこれで終わりか。ま、しゃあねぇよなお前は生き延びて俺は死ぬしょうがねぇものだ」
「・・・冗談よせよこの傷簡単に治らねぇんだが」
胴体を切り落とされ横たわるクー・フーリンを見ながら司郎は必死で大国主の権能が帯びた薬を使って抉られた場所を直している。
「そりゃそうさ。なんたって俺の槍には回復殺しの効果がある・・・て言ってももうじき俺が死ぬから効力が無くなっていくさ」
そう言ってクー・フーリンは引き抜かれたゲイ・ボルグに古代文字を描いた。
「・・・・・何のつもりだ」
生太刀を掴み攻撃態勢に移ろうとしている司郎に対してクー・フーリンは言った。
「大したことじゃないさコイツは俺を正面から打ち倒したテメェへの祝福って奴さ」
消えゆくクー・フーリンの体が呪力となり魔槍に集まっていく。
「誓え神殺しコイツはくれてやる。ついでに俺からのゲッシュもくれてやる。・・・俺と会うまで絶対に死ぬな。戦って負けても必ず生き返ってそいつをぶっ倒して強くなれ。何十年でも何百年経ってでも俺はまたこの現世に舞い戻ってお前に挑んでやる」
「・・・・・・負けるなじゃなくて死ぬなか」
「おう、死ななければ良いんだ。お前ら神殺しは戦っていく定めだどの道戦いからは避けられないどうだ悪くわないゲッシュだろう?」
恐らくこんな
「―――――『良いぜ』乗ってやる。玉座でアンタを待ってやるよ」
魔槍を引き抜く司郎莫大な呪力が司郎の体を覆いそして染み込んでいく。
「おう。良い覚悟だ。それこそ俺を倒した男。じゃあな坊主・・・ああ、確か高橋司郎だったか?それと嬢ちゃんウィン・マクガヴァンだったか達者でな俺の親父光にして百芸の神ルーグの輝きがあらんことを」
「―――――あばよランサー兄貴遠い未来でまた会おう」
アイルランドの夜に消えていく司郎をパブのドアのベルが見送っていった。
振り返ると大分五年前のプロットとは大きくかけ離れたなって思いました。
過去編ありヒロインは短髪で銀髪ボスはクー・フーリンはそのままでしたが過去編は蛇の神獣を何とかしてアイルランドの街で戦車戦をやる予定が型月作品を始めに知識を増やしていってメイブやケルヌンノスだすわ丁度スミス出せるわと思ってアーシェラ出すわ近いしどうせ来るだろうと思ってアレク出したりしました。
グィネヴィアは本当はクー・フーリンに刺されて敗走していく予定でしたが異界までいけば届くわけないよなぁって思ってそのまま取り合えず出すみたいな感じでした。
ウィンも昔はヴォバン侯爵の過去の逸話で出て来た当時主流だったと呼ばれる火薬と銃を元に拳銃使いの設定でしたがケルト要素を増やしていったせいで強い使い魔と飛ばないが違うのに結構リリアナ似になってしまったなぁって乾いた笑いが出ました。
次回第六章果たして私が30歳になるまでにこれが完結するのでしょうか(笑)どうか皆様時間が余っていただいたらお付き合いください。