と言う訳で新章開始です楽しんでいってくださいね。
57話
「―――――揃ったな」
日本のとある場所に老年な声が響く。
「さて、議題は件のこの日ノ本に生まれた6人目の神殺し高橋司郎についてだ」
歴史のあるだろう木造建築には何人もの人たちが集まり話し合っていた。
「昨年あの若造は海外で大きく暴れているようだ。バルカン半島のヴォバン侯爵を負かし。アイルランドではまつろわぬ神を倒したそうだ。それは良い事だ。海外の魔術師達も我々の事を高く評価するだろしな・・・しかしだ。あの若造はここ最近の行いは余りにも行き過ぎている」
「―――――然りですな。虚鉄殿。かの王は我々に忠を示そうとせず地元のガキ共と戯れているばかり」
「それだけではありません。かの王は他国の魔術師の娘たちと共に行動している護国の任を放置して他国の色婦と戯れて度し難い」
「東京の四家は何をしているのでしょうか!?今すぐにあの若造を罰せないのでしょうか!!」
「ああ、全く何故あのような民の魔術師に我々『公家』を越える力など持っているのでしょうか!!」
1人の老人の言葉が建物にいる者たちの口々に司郎への罵倒が飛び交う。
「もはや一行の余地もありません裁くべきです我らに従わぬ平民など裁きを下すべきなのです!!」
「然り然り!我ら呪術界の正史編纂委員会の力を持って魔王討伐を成すのです!!」
もしこの場に後の正史編纂委員会の重役を務める男装の麗人が居たら笑いを堪えきれないだろう蛮行。徳川幕府が倒れて100年以上権威を持った『公家』の『家柄』だけは良い者達の熱意は大いに燃え上がっていた。
「―――――随分と盛り上がっておりますが皆さん。御身らは本気でかの神殺しに戦を挑もうとしておられるのか?」
燃え上がる熱意に一つの水が投げ込まれる。
「何を・・・ああ、石護殿でしたか。そうでしたなァ。御身の孫娘は確かかの王を制するために差し出されたのでしたな」
視線が石護と呼ばれた老人に集中する。大勢に囲まれていてもなお石護は表情一つ変えずに説いた。
「あの子を通して件の神殺しの力は私が良く理解しております。大規模の魔術でさえ弾きそんじょ其処らの刃物は殺しきれない頑強な肉体。嵐を呼び神の劒を振るいしまいには殺しても回生する生命力そんな豪傑を一体どのように倒すおつもりで?下手をこけば東京の四家に家ごと切られこの京都の守りを『武家』の連中に塗り替えられてしまっても不思議ではありませんぞ?」
石護の言葉は審理であり孫娘である早苗が作成している司郎に関しての報告書を正史編纂委員会が閲覧していない正確な情報を知りえている男の言葉は周りの者達を黙らせた。
「―――――無論倒せる方法が無ければこのような場を設けてなどおらぬわ」
虚鉄が一つの厳重に保管された箱を見せつける。
「これはとある寺院で発見された呪物でな霊視によって鬼の腕だと分かったそしてこれを正しい手順で儀式を行えばこの腕の持ち主が顕現する事が発覚した」
「おお、つまりは!!」
「然り、神殺しの羅刹には鬼をまつろわぬ茨木童子を呼びかの王にぶつける算段よ」
「素晴らしい!我ら呼び出した鬼は正に日ノ本を正す護国の鬼と言う訳ですな」
「ならばこそ然るべき時にてかの王の端女達を誅しあの若造を討つ狼煙にしましょうぞ!!」
再び盛り上がる人々に石護は頭を抱える。
「正気か貴殿ら!!まつろわぬ鬼など御すことなど出来やしない。ましてや関係の無い娘らに害をなそうと言うのか!!」
もっともな意見、しかし栄光という狂気に囚われた者たちの耳に石護の言葉など届く訳が無かった。
「・・・ああ、安心なされよ石護殿御身の孫娘は手は出さない御身もまた我らの同士なのですからね」
「ええ、残念でしょうが彼女にも新たな縁が訪れるでしょう・・・もっとも、あの若造が最初に倒した神は縁結びの神良縁が残っておればよいでしょうが」
「・・・・・・・・はぁ、愚かすぎるぞ貴様らは」
疲れ果て布団に横になっている石護の視線には自身の子供そして、孫たちの写真があった。
「―――――と言う訳で亜衣18歳誕生日おめでとう!!」
パン!パパパンン!! クラッカーの音が部屋中に鳴り響いた。
「ありがとう皆!!」
紙吹雪に包まれて楽しそうに笑う亜衣。10月のワイルドハント未遂事件から7ヶ月経ち現在5月の中頃にて司郎達は清水亜衣の18歳の誕生日を祝っていた。
「アイおめでとう」
「アリサちゃんありがとう!」
「アイちゃんお誕生日おめでとう」
「ウィンちゃんもありがとう!」
7ヶ月という長い時間は良くも悪くも変化を起こす。司郎達の通う学校に新しくウィンが転校してきた。当然ながら新しい美少女がやって来た事に匿名希望のS氏は騒ぎの火中になってしまったのは言うまでも無い。もっとも、本人はそれはそれで笑っていたが。
「・・・・・亜衣俺からのプレゼントだ。受け取ってくれ」
皆からのプレゼントを受け取っている亜衣にS氏もとい司郎もまたプレゼントを渡した。
「へぇーちょっと、開けても良い?」
「勿論ちゃんと喜んでもらえるような物を選んだんだぜ」
「ふーん・・・これは・・・」
プレゼントの箱を開き中身を確認する。
「・・・・・!あ、これは可愛い!良い趣味してるよ司郎!」
プレゼントの中身は薄く青空のような水色のヘヤリボンだ。
「ふふっ、ねぇ司郎。私にコレ結んでよ」
リボンを司郎に渡し亜衣は後ろを向いた。
「やれよー司郎!」
「シェロ!殿方なら女性の頼みを断るのはナンセンスよ」
「あー分かっているよ!!ちょっと待て結び方調べるから」
周りに揉まれながらも司郎は携帯で調べながらショートヘア用のリボンの結び方を検索する。
「皆さん。料理が全部できましたよ」
大きな皿を持ちながら早苗が最後の料理をテーブルに運んだ。
「あ、見てみて早苗ちゃん司郎からのプレゼントだけどどうかな?」
亜衣は後ろを振り向き水色のリボンで結んだショートボブを早苗に見せる。
「あら、似合いますよ亜衣さん司郎さんも良いプレゼントを用意しましたね」
「ああ、当たり前だろうコイツとは長い付き合い何だからな」
楽しそうに笑う一同それを見て司郎はこれからもこのような関係を続けていきたいなと心の中で思った。
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