カンピオーネ! 縁結びの魔王   作:黑米田んぼ

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オハコンハロチャオ、皆様出来上がったので投稿です。短い物ですが気が向いたらどうぞ楽しんでいってください。


59話

「―――――何これ?周りが変っていく?」

 周囲の地形が変っていくありふれた通学路の周りにこの辺りでは見ないような手入れがされていない場所でなければ生えていないような植物が生えてきた。

 

「ちょっと!貴方何を考えているの!?こんな大通りで魔術なんて」

 亜衣の足は突然の出来事に後ろに下がり肩にかけられていた竹刀袋に力が入る。

 

「気にせんで良いで、この術式な人払い所かこの場所は隔離されるんやどれだけ暴れようとお外にはな~んの影響が起こらないんやで」

 正体不明の閉じこめる結界の禁厭を使った術師は状況に飲み込めない亜衣に関西混じりの口調で簡単にこの状況を説明し始める。

 

「本来ならこんな大規模の術を使わなくても良かったけど。自分らあの神殺しに施してもらっているんやろ?まともに神具や神様の加護みたいなものと相手をするは骨が折れるんでな封じるための効力もあるってことや」

 

「うっ・・・嘘・・・」

 またしても大国主の禁厭による加護を封じられる事に驚愕する亜衣。

 

 

 

「―――――あり得ない。あり得ませんわ!!あれは神の権能その一かけら。神祖ならいざ知らずここまで強固で封印。いえ、供給を断つほどの効果があるなんて」

 同じように大国主の禁厭による加護を封じる結界に閉じ込められたアリサもまたこの御業に驚愕する。

 

「確かにな拙僧もまた驚いた。このような大規模な秘術などそうそう無い。故に我らもまたかの神殺しと敵対するにあたり用意は十全にしたつもりだ」

 アリサの元に現れた刺客は大振りな薙刀を持ちながら渡された術式について感想を述べていた。

 

「・・・それだけじゃない。この世界は世界とアストラル界を繋ぐ大規模な結界術。人間技じゃない―――――」

 霊視による信託が来たのか怪訝な顔を見せながらもアリサは広がりきる直前に呼び出した槍と斧を刺客の前に構え戦闘準備を整えた。

 

 

 

 

『―――――へぇ、やるじゃないか何で分かったのさ』

 一方ウィンがいるマンションにもまた大国主の禁厭による加護を封じる結界・・・否異界構築と呼ぶほどの結界内に閉じ込められたこの異界でウィンに放たれた刺客は式神を通してアリサとは異なる経験による推理でこの結界を看破したウィンを褒めたたえる。

 

「―――――ついこの間にも似たような状況に遭遇したんだよ。・・・だからこそ聞きたい。どうやってこんなあり得ない術を作り上げたんだ!!」

 二匹の猟犬を引き連れて胸元にはヤドリギの枝が沢山刺さったポーチとオークの杖を握ったウィンは式神の向こうにいる刺客に問いた。

 

『さぁ、僕らは爺様達から渡されただけさ・・・さぁ、始めようか狩人狩りだ!人を殺すのは久しぶりなんだ楽しませてくれよ!!』

 その言葉が聞こえた瞬間にウィンの目の前に一本の矢が飛んできた。

 

「正気!?・・・僕たちを襲うどころか殺したらシロウだけじゃない僕たちの組織にも敵に回す事になるんだよ!?国際問題だ!!日本の立場がタダでは済まないよ!?」

 まともに当たれば肉が抉れるほどの鋭利な鏃を見て明確な殺意の籠った一撃と判断し猶更困惑するウィン。ウィン達は言わば他国の大企業が他の国に送った役人。行動次第では組織にとって引いてはその国、民族の立場が危うくなるものだ。

 

『・・・知らないよ。老人たちからすれば僕たちの意に従わない化け物と化け物に尻尾をふる犬なんかなんて必要ないってことさ』

 ウィンに襲撃している刺客は再び弓に新しく矢をつがえウィンに向けて発射した。

 

「―――――ッ!」

 再び迫る強矢をウィンは杖で弾くが先ほどとは異なりその速度、一撃は先の矢とは比べるものでは無く弾いたウィンの手は痺れた。

 

(―――本気だ。本気で僕を)

 明確に殺意を向けている刺客に冷や汗を流しながら部屋の中に逃げ込み位置を把握しにくいようにカーテンを閉めて部屋の奥へと避難する。

 

(・・・それにしてもなんて術式だ。僕が住んでいるマンションは3階建ての低層マンション、高さ12メートルだぞ。その上相手が狙撃した場所はこのマンションとそんなに変わらない高さ。そう考えるとこの術式の効果範囲はざっと100~200m以上学校一つを包めるほどの効果範囲の上この場所をアストラル界と変わらないレベルの異界化させて僕たちがシロウから受けている権能の加護を封じるなんてとてもじゃないが人間技じゃない!明らかに神祖クラスの何者か作った術だ)

 異界となった自室を腰の低い姿勢で慎重に足を進めるウィンと猟犬達。

 

「部屋の中に隠れちゃったな。・・・まぁ、良いやどうせ炙り出せば良いし」

 姿が見える窓際から部屋の奥へと移動したウィンに大弓を担いだ刺客は舌打ちを打ちながらも大弓をまるで弦楽器を引くかのように弾きながら何かを口ずさむ。

 

「みなかたの、かみのみちから、さずかれば・・・・・」

 紡がれるのは司郎が倒した大国主と武御雷にとって因縁のある神タケミナカタの祝詞、元寇を二度も撃退したとされる『神風』はこの神の加護であるとして有名であるがかの神は戦と狩猟の神格も持ち合わせるアテナ等と近しい『蛇』の神なのだ。

 

「かむながら、たまちはえませ、いやさかましませ・・・いざ夷敵を打ち抜かん!!」

 祝詞を唱え終えその効力を宿らせた矢を放つ。

 

(―――――ッ!?)

 手持ちの手札では長距離で狙撃している敵を倒す事は出来ないからこそ先ずは近づかないといけない。そう考えたウィンの目の先にはウィンを射殺せんと矢が飛翔して来た。

 

「ッ!!」

 先ほどの弾いて手が痺れる程の一撃とは異なりこの矢は追尾性を重視したいのかウィンがはたき落してもウィンの手にはそこまでの反動は無かった。

 

「・・・アイネごめんけど先頭任せていい?」

「・・・わん」

 刺客の指を捌きながら玄関前に着いたウィンは二匹の猟犬達に顔を合わせてそっと扉を開けてアイネに先行させる。

 

「―――――」

 問題無いと判断したウィンは玄関から階段へと走り出そうとしたが―――――。

 

「はい、お終い」

 そんなありきたりな考えは刺客には見抜かれており初手の矢を射た後にウィンが住む部屋の玄関を狙撃できる場所へと先回りされており刺客の目の先には胸を一本の矢で射抜かれて血を流していたウィンの姿があった。

 

 

 

 

 

「―――――何を言っているんですかお爺様。一体何の理由があって司郎さんを害そうとするなんて、それだけじゃありません一般人だった亜衣や他の魔術結社の関係者であるアリサさんやウィンさんを害そうとするなんて正気じゃありません!こんな事表沙汰になればタダでは済みません!各国の魔術結社の非難もシャレじゃないですし・・・こんな事何で四家が動いていないんですか!?」

 石護に詰め寄る早苗、その剣幕は大人しい淑女のそれでは無い。むしろ、好きな人をそして共に高橋司郎の寵愛を受け神殺しと神々の戦場に挑む仲間を殺害しようとしていると知らされて普段の調子を保てる人間は少ないだろう。

 

「・・・早苗、随分と好いているんだな。儂を相手にそのような顔を見せるとはな」

 怒れる孫娘相手であっても日本魔術会の政治に生きていた老人は落ち着いた様子、・・・むしろ自分を相手に感情を露わにさせた孫娘の変化に嬉しさを覚えていた。

 

「お爺様!!」

 何も言わない祖父に更に詰め寄る早苗。それに対して石護は相も変わらず澄ました顔で早苗を見ていた。

 

「・・・済まぬのお前からすれば怒り心頭だろう。・・・だが、儂でさえ所詮『公家』の一家に過ぎん儂よりも影響力があり求心力のある平家の人間達相手ではどうしようもないんだ」

 

「しかし、それはあくまでも京都、近畿地方であれば影響力は絶大でしょうが中枢である東京、四家の影響力に比べれば比べられるものではありません・・・なのになぜ?」

 そう、『公家』は正史編纂委員会に置いて重要な立場を持つ家系は多いがそれでも一地方の重役の家と組織の上層部である四家の影響力の方が強く尚且つ影響力を持ち始めた個人を討つなどと集まる事などあり得ないだろうと予想出来るだろう。

 

「・・・それなのだが、何故か四家の連中はだんまりを決めている。草の者を通して調べてもまるで何者かに介入するなと釘を刺されているのではないかと思うほどにだ」

 

「―――――何ですかそれ、まるで四家には司郎さんと神殺しと戦争になっても問題無い理由があるって言うんですか・・・」

 組織はもう役に立たない。そう判断した早苗は大急ぎで司郎に連絡を取らなければと電話のある部屋に走りこんだ。

 

「・・・・・乙女は恋を知って女になるかの・・・果たして我らはどうなるか・・・いや、それは既に決まっておるか結末がどうなるかだけだ」

 一皮むけた孫娘の後ろ姿を見届け石護は雨降る外に視線を向けてそう言った。




この話を書いてて思ったのですが原作の天叢雲剣編は良くやるわと呆れていたりします。アテナの一件で恨まれる理由があるエリカは兎も角リリアナは結構組織としては厄介なのでは?とも考えてしまいます。スサノオがバックに居なければ絶対にやらないよなって思います。
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