カンピオーネ! 縁結びの魔王   作:黑米田んぼ

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仕事が再び動き出していき仕事の日が多くなり執筆時間も短くなる気がしますが頑張って8月までにはこの章を終えたいなぁ・・・


62話

「・・・・・亜衣」

 冷たい雨に打たれながら項垂れている司郎。

「亜衣さん・・・そんな・・・」

 一足遅くやって来た早苗は目の前にいる司郎を見て全てを理解してしまった。

 

「・・・恥ずかしいなァ。何時でも童貞捨てられる境遇と年でべそべそと」

 そう言いながら刺客は人一人の人生を終わらせたのにも関わらずまるで他人事のような表情で。

「所詮神殺しとか呼ばれていても―――――ただの人ってことやなァ!」

 項垂れている司郎の肩を掴みそのまま雨水で浸っている道路に司郎の体を叩きつけた。

 

「―――――なっ!?」

「・・・・・」

 驚愕する早苗。冷たいコンクリート製の大地に五体で盛大にキスをしてもなお司郎の表情は変わらず。虚無の顔で項垂れていた。

 

「はっ!随分と!あの女にご執着しておったんか!どんな!・・・気持ちや!!・・・」

 刺客は無抵抗な司郎の体をスパイクがびっしりついている鉄板入りブーツで蹴り飛ばしていった。

 

「・・・・・・・・・・」

 冷たい雨に打たれて体温が冷えていっても、着ている服にスパイクが引っ掛かり穴が開いていっても常人であれば悶え狂う程の硬度と勢いの蹴りを何度も受けてもカンピオーネである司郎の体はこの程度の事では大した痛みにはならないのだろう。

 

「おら、抵抗してみろや!お前の大切な穴女を台無しにした俺に神様でも殺す程の禁厭というのを放ってみろやチンカスが!!」

 腹部、頭部へと常人であれば危険な部位へと足を振り下ろす。

 

「ッ!貴方いい加減にしなさい!!このような真似をしてタダで済むと思っているんですか!!!」

 早苗が刺客に怒りを込めた声を上げる彼女を知るものからすれば此処まで本気でキレる事に驚き黙ってしまうほどにだ。

 

「ハッ!言うやないかこんな情けない男に体を捧げた女が」

 そう言って刺客は刀を早苗に向けて。

 

「ええわ、お前も反逆者ってことでなます切りにしてやる。あの日和見の爺さんが孫娘の首を見せたらどんな顔をするか楽しみで―――」

 そう言って早苗に切りかかろうとした刺客だが・・・

 

「・・・は?」

 ボトリと落ちる自分の片腕、痛みは無く滴り落ちる赤い液体が雨に混ざり言葉にならない刺客。

 

「・・・・・これ以上俺から奪うなゴミ野郎」

 そう言って司郎は禁厭を使い刺客の片腕を繋げる。

 

「・・・・・なんや、お前喋られたのか」

「・・・さっさと帰れお前らのボスに言っておけ本気で叩きのめしてやるから楽しみにしておけってな」

 

「・・・司郎さん」

「・・・早苗。亜衣を・・・」

 寂しげでまるで迷子の子供のような表情をしながら司郎は早苗にこれからの行動を伝えようとするが。

 

 

 

 

「・・・マテやドブカス」

 刺客が声をかける。

 

「・・・お前に今は話す時間が無い後で地獄を見せてやるから何処へでも失せろ」

 何処までも素っ気なく冷たい司郎の言葉はまるで冷たい氷。路上の石ころにでも声をかけるような口調。最強の魔術師の称号でもあるカンピオーネ高橋司郎の言葉は死刑執行前の処刑人がせめて死の苦しさを紛らわすために麻薬を差し出すかのような優しさでもあったのだ―――――故に逆にそれは刺客の逆鱗に触れた。

 

「ふざけるな!!俺を見ろクソガキ!!」

 刀を構え司郎の首を落とそうと天高く掲げ振り下ろそうとするが―――――

 

「―――――紡げ」

 その刃はあっさりと躱され刺客の唇に司郎の指が刺され。

 

「縁結び―――――」

 地面へと腕を振った瞬間―――刺客の視界はそのまま真っすぐに雨で濡れたコンクリートの大地に口づけを落とした。

 

「・・・・・」

 刺客の事など興味が無いと言わんばかりに司郎の顔は亜衣が居た場所に向けられゆっくりと司郎は新たな禁厭を使おうと指を振るおうとしていたが。

 

「―――――ふざけるな!!俺を見ろ高橋司郎!!」

 プライドが高かったのだろう自分がまるで路上の石ころと扱われている事に怒り再び刀で切りかかろうとしたが。

 

 

 

「解」

 刺客の四肢は四方に散らばった。

 

「―――――は?」

 切断の痛みなど無く勢いのままに再び大地に叩きつけられる激痛のみが彼を襲った。

 

「・・・・・最後の警告だ―――――失せろ」

 そう言って司郎は再び刺客の体を接合させる。

 

「・・・・・なんでや」

 再び接合されていく自身の体に戸惑う・・・否怒りを覚えていた。

 

「何で俺を無視する俺を見ろ高橋司郎!!」

 3度の警告を無視して再び刺客は刀を司郎に振り下ろそうとしたが・・・

 

 

「・・・面倒な奴だ」

「!!」

 振り下ろされた刀は司郎の指で止まり。

 

「―――――我は国生みの王、我が禁厭は森羅万象に轟くと知れ」

 刺客の周りに古き古語が纏わりつき。

「―――――紡げ縁結び」

 そして手を離した瞬間。

 

「何故だァァァァァァッッ!!!?」

 刺客は空へと飛び立った。

 

「・・・司郎さん。何をしているのですか?」

 早苗は分かっている。司郎がやったのは刺客に縁がある場所に飛ばしたのだろう。何かを行っている片手間で抵抗をさせないほどの速度を出した。

 

「・・・亜衣を探す」

 そう言って司郎は虚空にオーロラの扉を作り上げる。

 

「・・・僅かな気配でも分かるんだ。亜衣を連れて帰る例え死体になってもおじさん達に殺される事になっても」

 扉を開けて司郎は言う。

 

「早苗、・・・四季達に言ってくれ人を集めろ―――――戦争だ」

 そうして司郎はアストラル界へと消えていった。

 

 

 

 

 

「ぅっ・・・」

 ここはアストラル界のとある場所。亜衣の周囲には杉の木などの日本の山で見られるような植物が見られる。

 

「・・・体が・・・動かない・・・」

 頭は大丈夫だったが緊張感が抜けたせいで疲労と痛みで身動きが取れなくなっていた。

 

「「「・・・・・・・」」」

 一難去ってまた一難。周囲から大量の獣が亜衣に近づいてくる。

 

「・・・ぶっちゃけ・・・あり得ないよ・・・」

 抵抗も出来ない今の自分に一周回って笑う程に落ち着いていた。

 

「―――――散れ」

 迫って来た獣たちを何者かが一喝し獣たちは逃げていく。

 

「・・・助けてくれるの・・・・・え?」

 力を振るって助けてくれた人の顔を見ようと振り向くが。

 

「こんな所に人間がやって来るとはな。まぁ良い。治療ぐらい直ぐに出来る話は回復した後にすれば良い」

 

 

 

「・・・・・天狗?」

 その顔は仮面でも無い本物の長い鼻を持った天狗が其処にいた。




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