モンスターハンター 狩人の戦い   作:凡人Mk-II

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第二話 反撃

彼は未だに痛みが残る体を引き摺るようにしてキャンプへと到着した。

 

「っはぁ!」

 

ベースキャンプに到着するなり痛みと疲労に負けるようにうつ伏せに倒れる。今回の依頼、ランポスなどの肉食竜がいないのは運が良かった。もし居たとしたら帰り道に喰われて餌になっていただろう。

 

とりあえずは傷の治療と体力の回復を優先しなければと、彼はアイテムポーチから道具を取り出そうとして、袋が湿っている事に気付く。

 

火球と尻尾の一撃のせいで回復薬が入っているビンが何個か砕けてしまったようだ。無事なビンをうつ伏せのまま手探りで探し当て、起き上がる。

 

ビンの蓋を開けて一気に中身を呷る。薬独特の苦味が口内に広がり、彼は顔を顰めた。

 

「な、慣れねぇ…」

 

自慢ではないが、彼は薬というものが大嫌いだった。正確には苦過ぎるものが嫌いなのだ。

 

「はぁ…」

 

溜息が出る。まさか飛竜と相対して戦う事への興奮よりも恐怖の方が勝るとは思ってもいなかった。

 

こんな事、初めてリオレウスと戦った時以来。初心に戻ったような、情けないような気分になり、ペイルカイザーを地面に下ろして、大の字に寝転がる。鎧がまだ熱を持っていたのか、湿った地面に当たった瞬間、ジュっと音を立てた。

 

寝転がりながら現状を確認する。体の方はまだ痛みがあるが、捻挫や骨折などはしていない。十分に大剣を振れる。

 

アイテムポーチにあるものは、回復薬三つに閃光玉五個、それとペイントボール八個に砥石十個。

 

あとのアイテムはベースキャンプに置いてある。キャンプにあるアイテムは、回復薬グレート5個にシビレ罠に落とし穴。それとトラップツール二つにネット一つとゲネポスの麻痺牙その他諸々。

 

これだけのアイテムであのリオレウスを倒しきれるか。しかも後ろにはリオレイアも控えているのだ。

 

全ての道具をリオレウスに使っては後の狩りに支障が出てしまう。一応支給品ボックスに応急薬などが届くかもしれないが、そちらにはあまり期待を抱かない方がいい。

 

「秘薬でも持ってくればよかったかねぇ……」

 

秘薬とは回復薬よりも遥かに効果が高い薬品だ。残念ながらここには調合材料であるマンドラゴラが生えていない為、調合は不可能だが。

 

無い物を強請っても仕方ないと、彼は立ち上がりキャンプに備え付けられているテントの中にある木製のベットへと倒れこむ。もう少し体を休めてから再開だ。

 

テントの天上を見ながら彼は体が十全になる間の暇つぶしに、どうしてこの依頼を受けた経緯を思い出す。

 

 

 

 

 

「緊急依頼?」

 

依頼と酒場、ギルドを兼ねている大衆酒場で、ギルド嬢から呼び出された話の内容がそれだった。

 

別に依頼が名指しで入るのは悪い事ではない。それだけ自らが知名度と信頼度が高いのを示すからだ。

 

「そう、貴方宛にご氏名よ」

 

青を基調としたメイド風のギルド御用達制服に身を包む女性が依頼用紙を彼に見せる。一体どんな危険な依頼なのやらと、目を通すと内容は拍子抜けとも言えるものだった。

 

リオレウスとリオレイアの番の討伐。

 

普通のハンターなら苦戦どころか達成するのも難しい依頼だが、彼は普通のハンターではない。並み居るハンターの中で一線を画す存在であるGクラスのハンターなのだ。

 

「何で俺に?挑戦したい奴らなら沢山いるだろ」

 

不満があるわけではないし、名指しされるのも悪くは無い。しかし、この依頼がそれほどまでに危険なものなのかと疑問に思う。

 

緊急依頼として張り出されるなら分かるが、名指しをしてまで依頼するほどのものか。彼が言うように飛竜の代表格に挑みたいという気概を持ったハンターならば沢山いる。そういった人間に任さればいいと思う。

 

「それがね…」

 

ギルド嬢が手招きをして、彼は息が掛かるぐらいまで彼女に近づく。

 

「この依頼、もう何度も失敗してるのよ。しかもギルドナイトまで派遣しても」

 

「マジで?」

 

コクリと神妙にギルド嬢は頷いた。その目に偽りは無い。彼は依頼状にもう一度目を通す。今度は狩猟対象ではなく、依頼主まで。

 

依頼主は牧場の主からで、近くに棲息した番の夫婦を排除して欲しいとの事。

 

既に牧場から数十にわたる家畜に被害が出ており、これ以上の被害拡大を防ぎたい。書いてあるのはそこまでで、自分を名指しした文章は書いていなかった。

 

「ギルドからの名指しとは光栄だね」

 

依頼主が指名をしていないのならばあとはギルドがこちらを指名してきたはずだ。ギルド嬢を見ると、ポケットから地図を出して彼がいるテーブルに広げた。

 

「ここが牧場。それと、ここに小さな村があるのよ。意味、『貴方』なら分かるわよね?」

 

「成る程、ね。だから俺にギルドは依頼して来たのか」

 

餌が周囲に無くなった飛竜が次にどうするかなど彼には簡単に想像出来る。腹が減った飛竜は人里を襲う。竜にとって人間は美味い食料なのだ。

 

「そうよ。受けてくれるかしら」

 

返事は決まっていた。

 

「いいぜ、受けよう」

 

依頼状に自分の名前を書いて、この依頼を受諾した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ぅ」

 

意識が浮上する。どうやらいつの間にか寝てしまっていたようだ。キャンプから出ると、日が高く上っていた。朝ほどに着いたのだから、二、三時間ほど睡眠を取っていたらしい。

 

屈伸をして体の調子を確かめる。もう体は痛む箇所は無い。腹部を見るとまだ赤いが、あれだけの攻撃を喰らってこれで済んだのならば安いほうだ。

 

次に武器を詳しく見る。地面から拾い上げて火球が当たった表面は少し焦げが付いているが手で払うとすぐに取れたので問題は無い。

 

「刃が潰れてる」

 

おそらく、最初の攻撃で相手のあまりの堅さに刃が潰れたのだろう。砥石をアイテムポーチから取り出して刃面に当てる。

 

「(毎度思うが、この砥石ってどんな素材使ってんだろ)」

 

市販の物もそうでない物も、十数回研げば元の切れ味を武器が取り戻すと言うのだから、とんでもないよなと彼は武器を研ぎながら思う。

 

「おっし、完了」

 

潰れた刃が元通りになるのを確認し、グゥゥと腹が鳴った。

 

「…肉でも焼くか」

 

戦闘用の物とは別に持ってきていた袋から塩漬けにしてあった生肉を取り出す。現地で調達した方が早かったのだが、それも手間だと生肉を持ってきておいてよかった。

 

草食竜がいない中で生肉の調達は出来ないからだ。彼は肉焼きセットを取り出して生肉をセットする。

 

「~~♪~♪」

 

辺りに彼の調子っぱずれな歌が響く。肉が焼けて油が滴り落ち、数十秒で黄金色に肉が焼ける。

 

相も変わらずこの肉焼きセットの火力はすごい。彼は歌を口ずさむのを止めて、肉にかぶり付く。

 

熱々な肉は腹が減った状態で食べると尚更美味い。

 

「さて、これからどうするか」

 

肉を食べながら今後の事を考える。。尋常じゃないあの威圧はその内慣れるとしても、鱗と甲殻の堅さは脅威だ。

 

龍属性と、高い切れ味を持つペイルカイザーの一撃を易々と弾いたのだ。

 

なら比較的鱗や甲殻が薄い箇所を狙うしかない。そうなると脚の腱と脆い頭、腹か。

 

「尻尾が邪魔か…」

 

相手が牽制のつもりでもこちらは一撃喰らえば致命傷に成りかねない。懐に潜り込むにしても尻尾を切り落とさないと危なくておちおち安心して剣も振るえない。

 

「と、なると」

 

置いてあるアイテムポーチからシビレ罠を取り出す。落とし穴では尻尾が埋もれて隠れてしまうので切り落とす事が出来ない。

 

とりあえずの方針が決まれば後は実行するだけ。いくらリオレウスと言えど、切り落とされた尻尾を再生するには数日の時間を要する。

 

彼はシビレ罠を持ち、ベースキャンプを出た。

 

 

 

 

 

 

「④だな」

 

数時間以上効果が持続するペイントボールは今尚相手の場所を臭いとして教えてくる。依然としてリオレウスは動いていないようだ。

 

最初と同じように②から③へと抜けて、④へと入る。

 

ペイントボールの臭いが示す通り、空の王者は其処に居た。唸り声を上げてこちらを威嚇してくる。

 

「わりぃな、今度はそう簡単にビビッてたまるかってんだ!」

 

彼は最初とは違い、臆さずに真っ直ぐに王者へと走る。リオレウスは胸を反る。

 

「(ブレスッ!)」

 

リオレウスの口から赤い閃光が漏れる。

 

次の瞬間、特大の火球が放たれた。

 

「いっ?!」

 

その有り得ない火球の巨大さに彼は驚き、本能が警鐘を鳴らす。思いっきり右に身を投げ出すように跳ぶ。後ろで火球が岩に直撃し、熱風が背中を撫でる。その威力にゾッとした。

 

おそらく最初の火球は手加減されていたのだろう。もし、あの時今と同じ威力の火球が直撃したら鎧ごと燃えていたかもしれない。

 

起き上がり、リオレウスを見る。その目には、まだやるか?と試しているように映った。

 

「上等だ、ハンターを舐めんなよ」

 

リオレウスを睨みつける。その挑戦を受けるかのように空の王者は大きく吠えた。

 

「来いっ!!!」

 

言うと、リオレウスは両翼を惜しみなく使って空中へと飛び、大きく口を開いた。火球が再度放たれる。彼はそれをひたすらに走って避ける。自分の背中が熱で熱くなるのをゾッとしながら走りまくる。

 

本来、リオレウスの火球の連発最大数は三発であるはず。だが、この個体は既に六発の火球を撃ち出している。勢いは尚も止まらない。

 

「うぉぉぉ!!」

 

八発目で、思いっきり前転する。追撃が来ない事から八発が限度のようだ。上を仰ぎ見てリオレウスの位置を確認しようとして、

 

――まずいものが視認出来た。

 

その口内が激しく発光している。比べ物にならないくらいのブレスが来る。本能的に悟った彼は④の入り口近くの岩陰まで全力疾走する。

 

「っはぁ!」

 

岩陰に入るのと、リオレウスが火球を撃つのは同時だった。地面にブレスが着弾すると、辺り一帯に灼熱が撒き散らされ、周囲を蹂躙していく。

 

岩越しからでも分かる凄まじい振動と熱。大樽爆弾Gを凌ぐほどの衝撃と音が響き渡る。

 

「洒落になんねえぞおい!!」

 

思いっきり愚痴を口に出す。音と熱が収まると、彼は岩陰から出る。

 

先程まであった光景は無かった。地面に多い茂っていたはずの草は全て焼き払われ、地面は炭化している。

 

「すげぇ…」

 

恐怖よりも、強大な相手への歓喜よりも、感動が勝った。これほどの現象を数十秒で成してしまう悠然と空に佇む王者に純粋に敬意を抱いた。そして、それはすぐに闘争心に変わる。

 

彼は笑った。その笑みをリオレウスはどうとったのかは分からない。だが、空中で吠え、更に体中に力を漲らせる。

 

リオレウスが赤い闘気を纏う。まるで炎龍テオテスカトルの炎鎧のようだ。

 

リオレウスはブレスではなく、滑空してこちらへと迫る。両脚の先端の爪には毒があり、もろに喰らえばそのまま天国へ直行する事になる。

 

「オオォォ!!」

 

だが、それに対してこちらも真っ直ぐに直進する。それが意外だったのか、リオレウスは怪訝な顔をしたように見えた。

 

「(狙うはカウンターッ!)」

 

あの鱗と甲殻は牽制を伴なった半端な一撃では意味を成さない。加えて全力で斬撃を数度放っても砕けてはくれないだろう。

 

だが、それは自分の力だけだった場合。相手の体重を加算すれば、一撃であろうとも鱗を裂き、甲殻を砕く事が出来るはず。

 

自身よりも遥かに巨大な赤い影が迫る。体中の血が、緊張と恐怖で凍りつく。

 

地面を這うように体勢を低くし、抜刀。斬撃はリオレウスの顎下から腹部、尻尾の先端までを通過する。

 

肩と肘に圧倒的な重量を斬った反動が来る。常日頃の研鑽のお陰か、肩が外れるような事は無かった。

 

「ゴァァァ!!?」

 

空の王者が驚愕の声を上げて陸へと失墜する。尾を引くように砕けた鱗と甲殻が散らばった。

 

「今のでその程度のダメージかよ…。全く呆れた頑丈さだ」

 

鱗と甲殻が砕けたとはいえ、微々たる物だ。それらがあまりない腹部には薄っすらと赤い線が出来ているが、ダメージと言うにはあまりにも軽微だ。

 

彼の言葉に、リオレウスは顔を顰めて唸った。お前が言うな、とでも言いたいのだろうか。

 

もう一度、リオレウスに接近する。この個体相手では何をしてくるかは分からないが、それでも基本から逸脱した体の構造に反した動きは出来ないはずだ。

 

この状況ならば相手の攻撃は限られる。獲物が正面から突っ込んでくるならば、飛翔するか、体当たりで吹き飛ばすか、尻尾で牽制するかのどれかのはず。

 

ブレスの可能性も否定出来ないがあれは撃った後に数秒の硬直がある。頭がいいこいつはそんな愚挙は犯さないだろう。

 

何をしてくるか、リオレウスの一挙一動を見逃さずに駆ける。しかし、予想に反して何の予備動作も見えない。突進をしてくるにしても多少体に力が入るはず。

 

それが無い。迷っていても仕方が無い。ペイルカイザーを抜き放ち、上段から下段へと振り下ろす。すると、また彼の経験に無い事が起こった。

 

ガキィンと言う鉄と鉄が擦れ合った音。その原因は

 

「なっ?!!」

 

リオレウスがペイルカイザーを強靭な口の力で捉えた。咥えられた大剣とリオレウスの牙がせめぎ合う。

 

有り得ないと何度この狩りの最中に思った事だろうか。確かに大剣の斬撃の軌道は直線だ。

 

だからと言って飛竜が人間の一撃を見切ったように口で止めるか?

 

「っぐ!」

 

当然ながらこんな状態になってしまえば竜の方が圧倒的に有利だ。

 

武器を放してしまえばハンターは丸腰になってしまう。彼は大剣を放すまいとして両手に有らん限りの力を込めて拮抗しようとする。

 

リオレウスは武器を噛み砕こうとでも思ったのか、顎に更に力を込めるが考えていた以上に頑丈なようで、ペイルカイザーから迸る龍属性に鬱陶しいように顔を歪める。

 

「こんちくしょうがぁ!!!!」

 

彼は大剣から片手を離して、アイテムポーチへと手を伸ばす。中から取り出したのは閃光玉。

 

「喰らえ!!」

 

ほぼ零距離で閃光玉が炸裂する。

 

「ギャガァァァ!??」

 

これには流石の王者も予想外だったのか、視界を真っ白に塗りつぶされて悲鳴を上げていた。口が開き、大剣が開放される。

 

「お返し、だっ!」

 

下からすくい上げるようにリオレウスの顎を打ち上げる。龍属性がリオレウスの体内に浸透し、苦しめる。

 

が、大して効いているようにも見えない。視界が見えない事で自棄になったかのように尻尾を振り回し、彼を近づけまいとする。

 

やはり、尻尾が邪魔だ。荒れ狂う暴風のようなリオレウスから一旦離れる。シビレ罠を設置しようにもこれでは懐に入ろうとしても少々難しい。

 

問題はこの規格外サイズ相手にシビレ罠が何秒拘束してくれるか。

 

予想では十秒程度。下手をしたらそれ以下。

 

「(数秒でいい。頼むぜシビレ罠さんよ)」

 

ポンポンとシビレ罠を労うように触りながら暴風へと突っ込む。

 

右から左へと方向変えてくる尻尾の一撃を体を逸らし、前転で躱しながら何とか一撃ももらわずに両脚の間に入り込む。

 

地面に仕掛けるとシビレ罠は正常に作動し、リオレウスの動きを止めた。その間に尻尾へと近づき、大剣を振り上げる。

 

「(でけぇ!)」

 

今まで見た事が無いような規格外サイズの尻尾の大きさ。切り落とすのは手間取りそうだ。

 

一撃、振り下ろす。

 

首や体ほど堅くないのか、鱗と甲殻が弾けた。

 

二撃、振り上げる。

 

柔い肉を大剣が抉り、属性が更に浸透し、肉が切れる。

 

三撃、横に薙ぐ。

 

横に大剣を薙ぎ、今までつけた傷に当てて体勢を立て直す。

 

「ッ!」

 

バチリとシビレ罠が壊れる音がした。それと同時にリオレウスが麻痺から復帰する。まずい、まだ尻尾に十分なダメージを与えていない。

 

「仕方ねぇ!!」

 

まだ一撃入れる隙がある。横から薙いだ反動を利用し大剣を振り上げて、彼は自分の奥の手を発動させる。

 

闘気が爆発する。彼は赤いオーラを纏う。

 

それは鬼人化と呼ばれるもの。

 

本来双剣でやるべきであるはずの奥義を大剣で発動させた。一時的にだが彼の身体能力が爆発的に上昇する。

 

「ゼアァァァ!!!!」

 

気合一閃。ペイルカイザーが一筋の蒼い残光と化し、尻尾へと喰らいついた。

 

鱗と甲殻、肉を切り裂き、押し進む。それでも刃が尻尾の半ばで止まってしまった。

 

「ガァァ!!!!」

 

しかし、鬼人化した彼の膂力はそれだけでは止まらなかった。

 

人間では考えられない力を発揮し、一度止まってしまった刃を強引に押し込み、骨を断ち切り尻尾を切断した。

 

王者が狩りが始まって以来、初めて苦痛を含んだ悲鳴を上げた。

 

「どんなもんよ!」

 

大剣を背中に背負い、震える手でアイテムポーチからペイントボールを取り出して、痛みにもがくリオレウスに当てた。そして彼は一目散にその場を後にした。

 

 

 

 

 

「いっつ…」

 

④を出て、エリア③に着く。まだ安心出来ないので、南方向に走りエリア②で入り口の近くにある木の根元に座る。

 

手がプルプルと重度の筋肉痛にでもなったかのように震えている。先程の鬼人化の代償だ。

 

本来、武器の中でも軽い部類に入る双剣でするはずの技を、最も重い部類に入る武器で体現したのだ。この代償はあって然るべきものだ。

 

代償は大きいが、威力の方は見ての通りで、リオレウスの尻尾を切り飛ばした。

 

「ちょっと、休まないと駄目だなこりゃ」

 

回復薬を飲み干して、休憩するためにベースキャンプへと戻る。リオレウスに与えたダメージは回復してしまうだろうが、尻尾はそうはいかない。たかが二、三時間で再生する事はない。

 

次の方針はどうするか。それを考えながら彼はキャンプへと足を進めた。




どうも凡人Mk-IIです。

さてさて、主人公の若干の人外っぷりが発揮された回でした。

あと二、三話でこの話は完結しますので、それまでお付き合いしてもらえると幸いです

では

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