BRAVE10S   作:花札

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阿国に勝利した伊佐那海……


そんな伊佐那海を見ていた才蔵は、明日花に目を向けた。


「明日花、お前か?」

「何が?」

「伊佐那海に、鉄扇の扱い教えたのだよ!!」

「さぁ……」

「この……」

「素直に、褒めてあげれば?」

「……」


武田勝負

「やった……勝ったぁ!!」

 

 

喜びに満ち、大声を上げ喜ぶ伊佐那海……

 

 

「凄いぞ!!あの娘!!

 

可愛いし!!」

 

「伊っ佐那海!!

伊っ佐那海!!」

 

「伊佐那海、お見事!!」

 

 

伊佐那海の勝利に喜ぶ幸村……

 

 

歓声を上げる観客席……

 

そんな観客席に、伊佐那海は一礼をし舞台へ降りた。

 

 

(アタシ、一人で勝てたよ!)

 

 

舞台から降りた伊佐那海の目に飛び込んできたのは、才蔵だった。才蔵は笑みを溢しながら、伊佐那海に話しかけた。

 

 

「勇士初勝利が、オメェかよ。

 

いつの間に、鉄扇の扱い明日花に習ったんだ?」

 

 

そんな言葉を聞いた伊佐那海は、顔を赤くして才蔵に飛びついた。

 

 

「おい!」

 

「……アタシ、凄かった?」

 

「?」

 

「アタシ凄かったでしょ!!才蔵!!」

 

「……

 

あー、ハイハイ。

 

頑張った頑張った」

 

「何よ!!何で、流すのよ!!」

 

「自分から褒めてくれって、強調すんなよ!!」

 

「酷ーい!!

 

明日花ちゃーん!!どうだった!?アタシの鉄扇」

 

「お疲れ様ー」

 

「あー!!明日花ちゃんまで!!」

 

「才蔵!!伊佐那海!!

 

公衆の面前で、何をしておる!!」

 

(若いねぇ……)

 

「ハッハッハ!一気に空気が変わったな!」

 

「若、呑気にしていられませんよ?」

 

「?」

 

 

六郎の言葉に耳を向けた幸村の目の先に、審判と七隈が何かを話すような行為……

 

ふと、信幸の方を見ると、隣には鳥の面を着けた男が一人座っていた。

 

 

(ここで来たか……)

 

 

七隈と話し終えた審判は、舞台へと上がり声を張り上げた。

 

 

「十番勝負の途中ですが……

 

これより武田同士の闘い特別死合いを行う!!両者前へ!!」

 

「!?」

 

 

その名を聞いた皆が、驚き戸惑っていた。そんな中、明日花は槍を組み立て立ち上がり舞台へと上がった。

 

 

「おい、明日花!!」

 

 

舞台へ上がろうとする明日花に、才蔵は声をかけた。明日花は声をかけてきた才蔵に振り向いた。

 

 

「お前、大丈夫なのか?」

 

「何が?」

 

「相手に勝てる見込みがあんのかってことだよ!!」

 

「……さぁ」

 

「おま」

「でも……

 

負けはしない」

 

「……」

 

 

そう答えると、明日花は舞台へと上がった。同時に対戦相手である鳥の面を着けた男も、舞台へと上がってきた。

 

 

二人の異様な格好に、観客席はざわついた。

 

 

「あの二人、何で面何て着けてるのかしら?」

 

「つーか、幸村様側の選手、あれどう見ても子供だぜ?」

 

 

ざわついているのは、観客席だけでなく、幸村達も騒いでいた。

 

 

「明日花ちゃん、大丈夫かな?」

 

「なぁなぁ、明日花の姉ちゃんの対戦相手って、どんな奴なんだ?」

 

「元武田軍隊長、山本優助だ」

 

「た、武田軍隊長?!」

 

「明日花ちゃん、隊長さんと戦うの?!」

 

「な、何かスゲェ……」

 

「オッサン、あの優助って奴どんな奴なんだ?」

 

「明日花の母である、紫苑と互角の力を持った男だ。

 

武田が滅ぶまで、紫苑と優助の二人に右に出る者はいないとされるほどの、実力者だった。紫苑が攻撃し、優助が防御へ入る。

 

数々の戦場で名を上げた侍だ」

 

「侍?」

 

「しかし兄上も、またやりにくい死合いをやるものだ」

 

「やりにくい?何で?」

 

「そういや、明日花アイツとは親族だって言ってたが……」

 

「まぁ、近いな」

 

「……」

 

 

舞台へと目を向ける才蔵……

 

 

舞台に立つ明日花と優助……

 

 

「……」

 

「……戦いと聞いてましたが、まさかあなたとやることになるとは」

 

「こっちだって、もう会えないかと思ってた」

 

「おや、そうですか……

 

 

一つ、約束してほしいことがあります」

 

「約束?」

 

「あなたが得意としている技を使わず、全力で僕と戦いなさい。

 

もちろん、僕も得意な技は使いません」

 

「……いいよ。

 

私からも言っていい?」

 

「いいですよ」

 

「優も全力で来て」

 

「良いでしょ」

 

「特別死合い、始め!!」

 

 

太鼓の音と共に、優助と明日花の姿が、突如舞台から消えた。

 

 

「消えた!?」

 

「いや、違う」

 

 

目を凝らしよく見ると、鉄と鉄がぶつかり合う音が響き、そこには槍を構える明日花と、長細い鉄棍棒を構える優助の姿があった。

 

 

「あの二人の動きが、早すぎるんだ」

 

「明日花ちゃんって、あんな早かったっけ?!」

 

「アイツ、重り外して戦ってるな?」

 

 

明日花の闘いを見ていた、甚八の言葉に一同は甚八の方に顔を向かせた。

 

 

「重り?」

 

「アイツの靴に、確か紫苑が仕込んだ重りが入ってたはずだぜ?

 

けど、動きからして、アイツ外してるな?重り」

 

「甚八、その重りはどれくらいの重さなのだ?」

 

「確か両方合わせて、四十キロだったはずだぜ?」

 

「四十キロ!?」

 

「ちょっと待って!!

 

じゃあ明日花ちゃん、今までその重り着けてあんなに軽々と動いてたわけ?!」

 

「ま、そうだな」

 

「す、スゲェ……」

 

 

戦闘する明日花と優助……

 

 

互いに一歩も譲らず、槍と鉄棍棒がぶつかり合う音が響き渡った。

 

明日花の闘いに、釘着けになっている信幸……

 

 

(あの優助に、ここまでついて行けるとは……

 

紫苑が亡くなったことで、アイツと対抗できるものなど、もういるはずがないと思っていたが……)

 

 

闘いの中、互いがあげた武器が互いの肩を斬り付け、二人は動きを止め一歩引いた。

 

 

「驚きましたよ。

 

僕の速さについてこられていたのは、紫苑だけでしたから」

 

「その血を引いてるんで、私は」

 

 

その答えを聞いた優助は、隙のできた明日花の後ろへ回り鉄棍棒を振り下ろした。すると明日花は、その動きが見えているかのようにその攻撃を避け、優助のガラ空きとなった背中に槍を突こうとした。

 

だが優助は、振り下ろした鉄棍棒を振り上げ、明日花の槍を振り押さえた。

 

 

「スゲェ!!あの二人、互いの攻撃が全部読めてるみたいだ!!」

 

(あの二人、半分楽しんでるな)

 

「一歩も譲らない戦い……

 

こりゃ、長期戦か?」

 

「そうなるかもしれぬな……」

 

 

槍を鉄棍棒で振り押さえられた明日花は、鉄棍棒で自分の槍を押さえる優助を見た。

 

互いに面を着け、素顔が見えない二人……

 

 

明日花を見つめる優助……

 

その面影に、見える紫苑の姿……

 

 

(……紫苑)

 

 

その時、槍を押さえていた優助の鉄棍棒が一瞬緩み、その隙を狙い明日花は槍を振り、優助の顔に突きを入れようとした。しまったと思った優助は咄嗟の判断に、鉄棍棒を振り上げ明日花の顔に突きを入れた。

 

 

“パリーン”

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