BRAVE10S   作:花札

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互いを見つめ合う、優助と明日花……


膝を付いていた明日花が、刀を握り締めふら付く足で立ち上がった。

明日花を見つめる優助……


歩みたかった道

『紫苑が!?』

 

 

信幸の口から聞いた悲しい報せ……

 

 

紫苑が亡くなった……

 

 

 

 

(あの日、どれだけ気持ちを抑えたか……

 

報せを聞いた時、君にどれだけ会いたかったか……

 

 

泣き叫ぶ君が、どれだけ目に映ったか)

 

 

 

立ち上がった明日花に、優助は刀を振り下ろした。その攻撃を明日花は、転がり避け優助の見た。

 

 

(あの日……

 

会いたかった……

 

 

母さんが死んで、ここ(上田)にいればいつまた、アイツ等が襲いに来るか分からない……

 

だから、上田を出た。

 

誰にも気づかれないうちに……

 

 

でも離れる前に、一瞬でいい……ほんの数秒でいい……

 

会いたかった……

 

会えば胸に突っかかる、これを取り除けると思った……

 

 

 

でも、やっぱり……道が分からなくて、行けなかった)

 

 

優助の後ろへ回り、刀を振りかざした明日花……

 

その瞬間、優助は振り返り刀を突いた。突いた刀の先は、明日花の頬を傷つけ、明日花の振りかざした刀は、優助の肩に浅く傷を付け、二人は背を向かせて互いから距離を置いた。

 

その攻撃を見ていた才蔵は、驚きの顔を隠せないでいた。

 

 

(あの二人……一瞬力を抜きやがった)

 

 

背を向け、動こうとしない二人……

 

 

 

(ずっと会いたかった……

 

 

母さんが死んで、どうすればいいか分からなくて……

 

上田を出た後も、ずっと……ずっと)

 

 

 

その時、明日花の頬から流れ落ちた一滴の血……

 

流れた血と共に、明日花は優助の方を振り返った。振り向いてきた明日花の姿を、優助は顔だけ振り向いた。

 

 

(明日花……

 

やはり君は、何も変わっていなかったようですね……

 

 

あの頃の君と、何も変わっていない……)

 

 

優助の目に映る、明日花の幼き姿……

 

 

振り返り、一瞬で明日花に近付き刀を振り下ろした。その刀を明日花は刀で払い避け、優助の背後へと回り刀を振り下ろした。

 

 

「!!」

 

 

振り下ろした刀は、優助の背中を切り裂いた。背中を斬られた優助は刀の軸を変え、明日花の腕に出来ていた傷をさらに切り裂き攻撃した。

 

腕から血を出した明日花は、腕を押さえて優助から離れた。

 

 

腕から出た血は、ポタポタと舞台の地面へと落ちた。

 

 

(……!?)

 

 

優助は、明日花の腕から流れ出ていた血に目を流しながら、地面を見るとそこから不気味な色をした木の根の先が、生えているのが見えた。

 

その木の根を見た優助は、腰に着けていたポーチから煙玉を二個取り出し明日花目掛けて投げつけた。煙玉は煙を放ち、舞台にいる明日花と優助の姿を消した。

 

 

「何だ!?」

 

(煙玉?!)

 

 

煙玉を投げつけられた明日花は、腕で口と鼻を覆い隠しながら、舞台を歩こうとした時、目の前に優助が現れた。明日花が何かを言い掛けた時、優助は明日花の口を塞ぎ小声で話した。

 

 

「この勝負は引き分けです。

 

明日花、知らず知らずのうちにあなたの技が発動しています」

 

「……」

 

 

黙り込む明日花……

 

優助は口から手を離し、下を向く明日花をしばらく見た後、二人は同時にその場から離れた。

 

 

煙の中から飛び出てきた二つの影……

 

 

幸村側に転がって出てきた明日花と、信幸側に出てきた優助……

 

 

「明日花!!」

「優助!!」

 

 

煙が晴れ、二人が居なくなったに気付いた審判は、慌てて両手を上げた。

 

 

「両者共に舞台から落ち失格。よってこの勝負、引き分け!!」

 

 

審判をの結果を聞いた観客は、盛り上がり一斉に歓声を上げた。声が鳴り響く中、明日花は刀を鞘にしまい幸村と才蔵の方を見た。

 

 

「……言った通りでしょ?

 

負けはしないって」

 

「……みてぇだな」

 

「明日花ちゃん、傷大丈夫!?」

 

「こんなもん、掠り傷」

 

 

伊佐那海にそう言いながら、明日花は槍が突き刺さっている場所へ向かった。

 

その時、目に入ってきた煙草を吸いながら、いつまでも舞台を見る甚八の姿……

 

 

「死合中に、涙流す奴がいるか?」

 

「……」

 

 

小声で言う甚八……明日花は、足を止め甚八に振り向いた。煙草を口から離し、煙を吐き出す甚八はさらに続けた。

 

 

「お前等、遊び過ぎだ。半分遊んでただろ?特に前半」

 

「……やっぱり、バレてた?」

 

「バレバレだ……」

 

 

その答えを聞いた明日花は、若干微笑み槍のもとへ行った。

 

 

 

 

信幸のもとへ出てきた優助は、刀をしまい信幸の方に目を向けた。

 

 

「いったい、どういうつもりだ?」

 

「……」

 

「答えよ!!優助!!」

 

「負けてはいません。

 

それでいいのでは?」

 

「っ……」

 

「鉄棍棒を取りに行くので、僕はこれで……」

 

 

信幸に一礼すると、優助は信幸の前を通り、鉄棍棒が突き刺さっているもとへ行った。

 

 

 

 

槍のもとへ着いた明日花は丁度その時、信幸側から来る優助の姿が目に映った。

 

歩んでくる優助の姿を見る明日花……

 

 

明日花の槍の隣に突き刺さった鉄棍棒を引き抜いた優助は、ふと彼女を見た。

 

 

「……

 

良い目付きになりましたね」

 

 

それだけを言うと、優助は鉄棍棒を握りその場を去って行った。

 

 

 

 

『いつか、明日花と勝負してみたいものですね』

 

『本当!?』

 

『えぇ』

 

『じゃあ、もっと腕あげていつか、父さんと同じぐらい強くなったら、勝負して!!』

 

『良いですよ』

 

『やったぁ!!約束だよ!』

 

『はい、約束です』

 

 

 

 

まだ幼い明日花と交わした約束……

 

 

(まさか、こんな形で勝負になるなんて……)

 

 

去りながら、優助は自分の手を見てその時の事を思い出した。




「それでは十番勝負を開催します!

第五死合い、両者前へ!」

「ほいほーい!

今度はオイラが、勝っちゃうから!!」

「弁ちゃん、頑張って!!」

「まっかせといて!!」


張り切りながら、舞台へ降り立った弁丸……


だがそこに、対戦相手が来なかった。


「あれー?

オイラの対戦相手は?」

「信幸様方の武芸者!早く舞台へ!」


籠を持ち上げようとしているのか、籠を揺らす弁丸の対戦相手……


すると、ようやく籠が上がったかと思った瞬間、その籠は爆発した。


「な!?」

「ええ?ば、爆発!?」

「やったな、ガキ」

「へっへー!

ここに来る前に、籠見つけたからさ。ちょちょいと細工しといたんだー!


ま、戦は先手必勝だよね!」

「うわぁ……」

「さすが、弁丸としか言いようがない」


槍を引き抜きながら、弁丸を見た明日花……


「これは、勝敗どうなりますか……」

「うーむ」


「誰だ!!こいつは!?」


籠を見ながら叫ぶ信幸……

籠の中にいた者の襟を掴み上げながら、信幸は言い放った。


「これは、俺が選んだ武芸者ではない!!

もしや!!」


他の籠を見る信幸……


「幸村様!」


そこへ、町の偵察に行っていたアナスタシアが、姿を現した。




「やっと、出番かよ」


その時、『陸』と書かれた紙が貼られた籠が、中から真っ二つに斬られ、その中にいた者が出てきた。


「よ!真田の!」


中から現れたのは、長剣を担いだ政宗だった。その姿を見た伊佐那海は、才蔵に掴みを身を縮込ませた。


「伊達……政宗!!」
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