二人の傷の手当てに、信幸と小松、アナスタシアと明日花は会場を出て行った。
再び十番勝負を再開する幸村と政宗……
第六死合い、風魔小太郎対猿飛佐助の戦いが始まった。
舞台の上に立つ小太郎……
「守る……ね。
おめでたいな」
「!?」
「人一人で、国一つを守れはしない。
教えてあげよう」
腕に着けている刃を振り回し、小太郎は佐助に攻撃した。佐助はその攻撃を避け、身に着けていた爪で防ぎ、蹴りを入れた。だが小太郎は、その攻撃を難なく避け、佐助と小太郎は距離を置いた。
(速ぇ!!)
小太郎の速さに驚く才蔵……
「(あの二人(明日花と優助)と同じぐらいに速い!!
それに、あの刃……)
いくら、避けても必ずどこかは捕まる……
(猿といえども、接近戦は不利……どう戦う!?)」
「伊達殿伊達殿!」
信幸側にいた政宗に、死合いを観戦していた昌幸は手招きした。
「ああん?」
「そのようなところに、立っておらんで、どうぞこちらへ。
ささ」
先程まで自分が座っていた座敷を進める昌幸……
「客人のもてなしも、できぬとあれば一国の主として、民に笑われてしまいますのでなぁ」
「んじゃあ、遠慮なく」
「ホッホッホ。
まぁ、ゆるりとお過ごしくだされ」
「アンタは見に行かねぇのかい?」
「老人は、退散させていただきますよ。民も連れてのう」
「……この俺が、せっかく風魔っつー手練れを雇ってまで、盛り上げてやろうってのにか」
「ここからの戦いは、民にはあまりに刺激が強かろう。
いやー、儂もぜひ最後まで、見たかったがのう……
うちの倅が、龍を喰らうところを」
「っ!!」
「ホッホッホ!
では幸村、客人に粗相のないようにな。
さあさ皆の者、参ろうか!
城で、甘味など振る舞おうぞ」
「皆、城へ参れ!」
昌幸に連れられ、観客席にいた民は皆、会場を出て行った。
「何だ?何だ?
ゾロゾロと捌けやがって!せっかくの見せ物をよぉ!」
「良いではないか!
これで儂とお主、心置きなく殺り合えるだろう……
お望み通りな」
「……フッ」
政宗の望みを全てを見通しているかのような顔つきをする幸村……
そんな幸村に、政宗は鼻で笑い舞台の方に目を向けた。
鉄と鉄が叩きあう音が、鳴り響く中佐助は小太郎の攻撃を防ぎながら、戦っていた。
蹴りを入れようとした小太郎の足を手で留め、それを大に小太郎の顔に膝を喰らわせようとした。だがその攻撃は小太郎の腕に着けていた刃で防がれ、さらに佐助はその刃で足に傷を負った。
バランスを崩しながらも、小太郎から離れた佐助だが、小太郎はそんな隙を与えまいというかのように、降り立つ佐助の前へ行き傷を負った佐助の足を打った。
そんな二人の戦闘を見る才蔵は、少々焦りつつも何やら面白がっているような笑みを溢していた。
「才蔵?」
そんな才蔵に、伊佐那海は声をかけその後隣に座っている弁丸たちの様子を見た。
「凄い、二人共」
「速え戦いだな」
「……
皆、佐助が心配じゃないの?」
(建前だけの、つまらねぇ勝負と思ってたが……
こりゃあ、久しぶりに滾る!!)
二人の対戦を見る才蔵……
(あの得物を相手に、どう渡り合うつもりだ、あの猿……)
佐助に腕の刃を振り回す小太郎……
佐助はその攻撃を避け、隙が出来た小太郎の前へ出て、爪を振り上げようとした。
その時、小太郎の膝に付いた刃が佐助の喉寸前まで上がってきた。その攻撃を佐助は、慌てて避け後ろへ下がったが、後ろには、小太郎が手から出していた針が付いた紐を巡らせ、佐助を捕らえた。
「俺の間合いに入ることは、確実な死を意味する……
捕らえたぞ猿飛。守り切れるかな?」
「っ!!」
紐を引っ張りその衝動で佐助の体に刺さる針……
「行くぞ」
「佐助!!」
(猿!!)
刃を振り回してきた小太郎の攻撃を、佐助は何とか避けたがその衝撃で体に刺さっていた針が、さらに食い込んだ。その瞬間小太郎は、避けた佐助の体を殴り、さらに足の刃を回し蹴りした。
その攻撃を佐助は、また避けその動きに合わせて、小太郎は紐を引っ張った。
体に響く痛みで、バランスを崩し、ついに小太郎の攻撃を許してしまった佐助……
「佐助ぇ!!」
肩を斬られた佐助……
小太郎はさらなる攻撃を喰らわせようと、腕の刃を振り下ろした。
その攻撃を佐助は瞬時に、体をひねり避け小太郎から離れた。
「体をひねってかわしたか」
「……何がおかしい!」
「旧主、北条家は堅城に籠り続けて、ついには滅んだ。
守るだけでは、勝てはしない。
貴様も……
守りは堅いようだが、いつまでかわせるか?
フフフフ……
この体の刃は、貴様の血を求めている……攻めて攻めて喰らい尽くす。
そして、証明してやろう……
圧倒的な、力の前では守りきれるものなど無い」
「もうヤダぁ!!佐助が死んじゃう!!」
「死ぬか!!
アイツは、アホみたいに真っ直ぐな奴なんだ。守るっつったら守る!!」
振り下ろしてくる小太郎の刃……
その刃を、佐助は体に刺さっている針を気にせず、後ろへ下がりその下がった力により、その紐は切られた。
「俺の間合いから、逃れただと!!」
「よし!守り切ったぜ!」
「佐助!」
「討って出ろ!!佐助!!」
「応!!」