体が自由となった佐助……
そんな佐助に、小太郎は腕の刃を振り回し攻撃したが、佐助はそれを避け次なる攻撃にを足で留め、ガラ空きと練っていた足の刃を蹴り小太郎を倒した。
倒れた小太郎に、佐助はクナイを投げつけた。小太郎はクナイを手に握っていた刀で防いだ。その時腕に着けていた刃がクナイに当たりその衝撃で、刃は折れてしまった。
「風魔の刃を折った!」
「スッゲェ!!」
(……あの眼だ。
あの野郎、馬鹿みてぇに眼がいいんだ。
あの風魔の刃全てを瞬時に捉える……
まるで……
獲物に狙いを定めた鷹の目のように!!)
「侮るな、猿飛!!」
刀を振り回す小太郎……
小太郎の顎に、佐助は蹴りを入れた。蹴りを受けた小太郎は、吹っ飛び倒れその場に座り込み、息を整えた。
(あの猿……
体術だけで、倒しやがった!!)
立ち上がろうとする小太郎……
「(立てん……体が……ままならぬ)
こ、小僧……」
「お前、哀れ。
守るもの、無し。故に弱い。
己のためだけに、振る舞う刃……虚無。
ゆえに脆い、故に折れる。そこに強さ、ありはしない。
我の刃は、守りの刃。
上田、守る。幸村様、守る。故に強い、誰にも折れはしない」
「よーう喋りおるわ」
「……守るもの…か。
そんなもの……失くした。
全てがいつかは、滅び去るのだ……」
「探しておるのではないのか?」
小太郎に話しかける幸村……そんな幸村に小太郎は目を向けた。
「お主のその刃、求めているのは血ではなく、守るものではないのか?
求めるものを、違えておるから乾きが癒されぬ……違うか?」
その言葉を聞くと、小太郎は舞台から飛び立ち、会場の出入り口の屋根の上へと降りたった。
「ここで引かせて貰う。
料金分は働いた。貴殿のために、命を捨てる義理もない」
「……」
それだけを言うと、小太郎はその場から立ち去った。
「勝者、猿飛佐助!!」
「やったぁ!!」
「凄いよ!!完勝だよ!!」
「っ……」
「ようやったの、佐助」
幸村に褒められた佐助は、顔を真っ赤にした。
「も、もったいないお言葉……
わ、我、怪我人の治療、手伝う!!では!」
顔を赤くして、佐助はその場から立ち去った。
「照れ屋だのう……」
佐助の闘いを見た伊佐那海は、隣にいる才蔵に近寄り話した。
「才蔵ぉ、佐助の事信頼してるんだね!」
「はっあ!?誰が!?」
「いっつも喧嘩してるくせに!
アタシ、感動しちゃった!
聞いたわよ。『アイツは真っ直ぐな奴なんだ。守るっつったら守る』って!」
「ふ、ふざけんな伊佐那海!!
俺はあの猿が、アホだって言っただけだ!!」
「んふふふー、またまた!」
「何がまたまただ!!」
「伊達殿に一勝しましたね」
「フフン……」
「ま、しょうがねぇよなぁ……
流れ者てのは、あんなもんだよな。
でも、場は温まったろ?良い感じによ!」
「ふむ……その様だな」
「こっから先は、もっと面白いことになるぜ?
侍なら、やっぱ命懸けねぇとなぁ!」
「第七戦!!両者前へ!!」
審判の声と共に、銃の入った筒を肩にかけ立ち上がった十蔵……
「幸村様、筧十蔵行って参ります」
「うむ!」
幸村に一礼した十蔵は、舞台へと登って行った。
「どう戦うつもりだ?十蔵の奴」
「火縄だと、いろいろ不利だよねぇ。
間合いつめられたら、どうしようもないし」
「そもそも一対一で、使う武器じゃねぇよ。
相手の得物にもよるだろうが……無理だろ、普通に考えて」
「何を申すか、才蔵!!
某を侮るな!!」
「ゲッ、聞こえてたか!」
「後で説教してやるから、覚悟して置け!!
この死合い……生きて戻れたならばな」
「!筧さん……」
「見事なお覚悟ですね」
『漆』と書かれた紙が貼った籠が、中から二つに斬られ十蔵の対戦相手が出てきた。
「僕の相手が、ひとかどの侍の様で嬉しいです」
籠から出てきた男は、舞台へと上がり一礼をした。
「伊達家家臣、鬼庭綱元。
よろしくお頼み申し上げます。」
「某は真田家家臣、名を筧十蔵と申す」
「鬼庭綱元?」
「伊達家にその人ありと、称される武将です。」
「鬼庭……
数多の命を捨てた戦働きによって、今日伊達家の礎を築いたという……忠臣よ」
「おお、よく知ってんな!
戦わせたら、アイツは凄いぜ?
風魔なんかとは、覚悟が違うからな!」
「貴殿の名は聞き及んでおります。
貴殿と戦って死ねたら、武士として本望!」
「過分な賛辞、何とも恐れ入りまする。
あなたの様な士のお相手ができるとは、僕こそよい敵を見つけた思いです!
殿のために、心置きなく命を捨てられます!」
互いに挨拶し合う十蔵と綱元……
「何だアイツ等?
互いに負け宣言か!?」
「お前にはまだ分からんか」
「ああ!?」
「あの二人は、死ぬ覚悟があったから、生き残ってきたのだ」
「楽しませろよ、綱元!」
「無論です!」
政宗に答えながら、綱元は持っていたケースから束の短い槍を手に取りだした。
「何だあの槍……随分短ぇな……」
槍を構える綱元に対して、十蔵は肩に担いでいたケースをなぜか後ろへ置いた。
「琥珀……
見守っていてくれ」
(火縄使わねぇの!?
束、また銃に名前付けてるし……)
「某、今回はこれで参る!」
そう言いながら、腰から小型の銃を取り出した十蔵……
「いざ!!」
掛け声と共に、十蔵は綱元に銃弾を打ち放った。次々に撃ち放ってくる弾に、驚きながら綱元は槍で防ぎながら避けた。
「何だ!?あの銃」
「うわぁ!!小型連射!?
何あれ、超カッコいい!!」
「ありゃあ、雑賀衆がふざけて作った短筒じゃねぇか。使えたのか……」
「雑賀!?カッコいい!!」
「あんな短筒は、初めて見るのう」
「面白い!」
すると、才蔵達が座っていた長椅子が突然揺れ、何かを察した才蔵は伊佐那海と弁丸を自分に引き寄せ、その場から離した。その直後、突然椅子下から巨大な風が渦巻き、椅子を壊し中から鎌之介が出てきた
「この風は…」
「あぁん!?」
「いつまで待たせてんだぁ?ああ!?
一死合い一死合い、長ぇんだよ!!
テメェらいくのに、どんだけ時間掛かってんだ!!チャッチャと終らせろよコラ!!
俺が今から、速攻でテメェらをいかせてやる!!まとめてな!!」
鎖鎌を振り回しながら言い放つ鎌之介……
「うわぁ……」
(超面倒くせぇ……)
怪我人が置かれている場所へ着いた佐助……
小松とアナスタシアは、七隈の治療を行い、その他の者は小太郎にやられた怪我人の治療を行っていた。
その奥で、一人優助の治療をする明日花……
佐助は、薬を受け取り明日花のもとへと駆け寄った。
優助の治療を行う明日花……
意識を集中させながら、胸に出来た傷口を自分の技で治していった。優助はすでに意識が無くなり眠っていた。明日花は自分の体にできた傷をお構いなしに、ずっと優助の治療に専念しているように、佐助には見えた。
「……明日花」
「……」
静かに呼びかける佐助……
だが明日花は、佐助の声が聞こえてないのか、治療の手を止めなかった。