「残り・ま・と・め・て、俺が殺ってやる!!」
風を起こし、信幸側にある籠を吹っ飛ばした。
「いきなり……眩しいじゃねぇか!!お前の仕業か!?ああ!?」
向こうから声が聞こえたかと思うと、鎌之介目掛けて突然槍が突いてきた。鎌之介は槍を避け、相手側を見た。その時、鎌之介目掛けて数本の矢が打ち放たれ、鎌之介は壁に激突した。
「ほう……これはこれは」
「おー、お日さんが眩しいわ。
目がしばしばする」
「政宗の血縁にして、伊達家中無双の豪槍を誇る、伊達成実とお見受けするが?」
「いかにも、俺が伊達成実だ。よろしくな」
「下野の那須与一……
騒々しい無礼者に放った矢は、ご容赦願うよ」
「では私も名乗ろうか……
徳川家剣術指南役、御子神典膳」
籠から現れた三人の男……
「那須与一って……
平安時代かよ!」
「弓の名手、那須与一……
下野の那須家は、その末裔です」
「代々の当主が、『与一』の名を継いでおる。
もっとも継ぐのは、名ばかりでなく……弓の技も、まぎれもなく当代随一であろう。
さらに……
伊達家最強の武人、伊達成実……そして
天下に聞こえた剣豪、御子神典膳と来たか……
何とも、偉いものを隠していた物だ」
「姿見せちまったら、意味ねぇよ。
簡単に吹き飛ばされやがって!もうちっと籠の中で、粘れねぇのかよ、成実!!」
「無茶言うな!!」
「あの風はちょっと、無理ですよ殿」
「駒が丸分かりじゃあ、楽しめねぇだろうが!
……!(駒か……)」
何かを思いついたのか、突然怪しげな笑みを溢す政宗……
「殿?」
「チンタラやるより、手っ取り早いか……
おい、真田の!
面子も割れたし、このまま死合い続けても、つまらねぇだろ?」
「……お主が、つまらんのだろう……
で?」
「四対四……
残りの手駒を使って、テメェと俺とで、采配合戦と行こうじゃねぇか!」
(四対四だと!?)
(始まった)
「げっ(四対四!?)」
「何!?」
「……確かに、この場は仕切り直しが、必要であろうな……
良かろう。
二つほど条件がある。」
「何だ?」
「儂が勝ったら……
一つは、今後真田にいらぬチョッカイを掛けないで貰う。
もう一つは、二度と明日花と優助に関わらないで貰おうか」
「おう、構わねぇぜ!
ついでに、兄貴の信幸にも頭下げてやる。
その代わり、俺が勝ったら……
明日花と伊佐那海を貰おうか」
「!!」
(やっぱり、そう来るか……)
政宗の言葉に、怯え才蔵の腕にしがみ付く伊佐那海……
才蔵は、政宗の条件に幸村がどう答えるか、伺った。
「……
承知した」
(こっちもやっぱり、そう来るかぁ!!分かってた……分かってたが……)
幸村は、才蔵にまるで〝任せたぞ”と言っているかのような顔つきでこちらを見た。そんな幸村の顔を見た才蔵は、ため息をついた。
才蔵の様子を見た伊佐那海は、才蔵の腕から離れ、才蔵に無理に笑みを向けた。
「大丈夫だ、バーカ!」
「いたっ!」
無理に笑みを浮かべる伊佐那海に、才蔵は彼女の額を手で叩きながら言った。
「皆下がれ!!
これからの戦いは、舞台に収まらん。巻き添えを喰らうかもしれんぞ。
甚八!」
「……俺様も、数のうちか?
見てる方が、楽しいんだがな」
「お前の、獲物が無くては勝つのは難しいわ。
それにもし儂らが負ければ、お前の大事な右腕が取られるかもしれぬのだぞ?それでも良いのか?」
「……
しょうがねっか」
看板に突き刺さった成実の槍を引き抜き、舞台へと向かう甚八……
その時、壁に吹っ飛ばされた鎌之介は、壁に掛かっていた垂れ幕から出てきて大声を上げた。
「オイ!!
何で、海賊のオッサンが舞台上がんだよ!?」
「喚くな!!うっせ!!」
「俺が戦るっつってんだろ!!」
「才蔵と某も、共に戦うのだ」
「あ!?」
「団体戦だとよ」
「は!?」
八人全員が、舞台へと上がり、互いに挨拶を交わした。挨拶する中、甚八は引き抜いた槍を成実へ投げ渡し返した。
「では改めて、筧十蔵と申す」
「根津甚八だ」
「名乗りとかいらねぇから、さっさと始めろよ!!」
「霧隠才蔵」
「伊達家家臣、伊達成実」
「鬼庭綱元です」
「那須与一」
「御子神典膳」
「さぁ行け!我が勇士達よ!
真田の力を知らしめるのだ!」
「お前らは、この俺が選んだ最強の面子だ!!
遠慮はいらねぇ!!キッチリ葬ってやりな!!」
死合い開始の合図である、太鼓の音が響いた。
「俺が誰の指図も受けねぇ!!
まとめて殺す!!」
風を起こし、鎖鎌を振り回す鎌之介……
鎖鎌に、与一は鎖の穴目掛けて矢を放ち動きを封じた。
「くっそ!!鎖が!!」
「鎌を振り回すだけの、雑で下品な攻撃!!
美しくない戦い方は、嫌いだよ!!死んだ方がいいね!!」
動けなくなった鎌之介目掛けて、矢を放つ与一……
その矢を、才蔵は剣を振り回し防いだ。才蔵の後ろから、十を構えていた十蔵が、与一目掛けて弾を放ち、与一はその魂を難なく避けた。
「ああ!その武器は、美しいね」
「チィ!!
矢が抜けねぇ!!」
鎖を引っ張り、抜こうとする鎌之介に成実は槍を突いてきた。鎌之介の後ろにいた甚八は、鎌之介の膝を槍の束で打ち鎌之介を下げさせた。その瞬間、鎌之介の頭上に槍が通り過ぎ、成実の攻撃をかわした。
するとそこへ、短槍を持った綱元が成実の槍を使って飛び上がり、甚八を攻撃しようとした。綱元の攻撃を阻止するかのように、才蔵が綱元に蹴りを入れその攻撃を防いだ。
(始まった途端、大乱戦じゃねぇか……
どうすんだよこれ!!)