抜けない鎖を抜こうとする鎌之介……
(大乱戦じゃねぇか!!どうすんだよ!?)
今の状況に戸惑う才蔵……
「銃の的にならねぇ様に、散開と密集を繰り返せ!!
鎖鎌野郎が、封じられている好機を逃すな!!」
「ほいほい」
「承知!!」
「動きを止めずに、一人ずつ確実に叩け!!」
政宗の命令通りに、成実と綱元は動き回った。それのせいで十蔵は銃を構え狙いを定めようとしたが、狙いが定まらず撃てないでいた
そんな中、与一は鎌之介目掛けてまた矢を放ち、その矢を才蔵はすぐに剣で薙ぎ払った。
(政宗側は、うまく動きやがる!!
こっちはどうすんだ!?オッサン!!)
助けを求めるかのように、幸村の方を見る才蔵……
「六郎、茶!」
「御意」
才蔵達にお構いなしに、幸村は六郎に茶を出すよう命じ知らん顔をしていた。
(テメェ……
茶ぁ飲んでる場合じゃねぇだろ!!采配はどうした、采配は!!
六郎さんも六郎さんだ!!駄目だこりゃ!!)
幸村から目を離し、敵を見る才蔵……
(敵四人のうち、飛び道具が一人、槍が二人……
ただ槍っつっても、短槍の鬼庭と長槍の成実じゃ全く対処が違ってくる。
それに……
御子神典膳……さっきから、全く動かねぇ。
武器も持ってる様子がねぇ……どうなってる?)
「典膳!テメェはいかねぇのか?」
ずっと動かない典膳に、政宗は気になり声をかけた。
「……最後に、立っている者が勝ちなのであろう。
ならば、この勝負私がいる限り、万が一にも負けは無い」
「へーえ……そうかい。
ま、テメェの出番はねぇかも、知れねぇがな」
「あー!!抜・け・ねぇなぁ!!
クソが!!クソが!!」
鎖鎌を引っ張り、怒る鎌之介……
そんな鎌之介に、才蔵は振り向き怒鳴った。
「初っ端から、足手まといなテメェがクソだ!!」
その隙を狙い、綱元が才蔵に突っ込み槍を突いた。その槍を才蔵は体を防避けたが、もう一本の槍が迫っており才蔵は、その槍を間一髪避けた。
その瞬間、才蔵が居なくなったのに狙い、成実が鎌之介に槍を突いた。その槍を、遠くから甚八が槍で押さえた。それを狙い、与一はガラ空きになった鎌之介に矢を放った。その鎌之介に、甚八は足を突き転ばせ攻撃を防いだ。
十蔵が攻撃をしようと、十を構えた瞬間政宗側の敵は皆動き出した。
「止まったかと思えば、すぐさま援護攻撃……そして散開が速い……
巧みな連係だ!!狙いが、定まらん……」
(しかも、鎌之介を庇ったままじゃ、キツイ!!)
「さて、茶が入るまで間があるな……
筧!できるだけ下がって、狙いを那須与一一人だけに絞れ!!」
突然命令を出した幸村……
十蔵は幸村の命に従い、十を構えて後ろへ下がりそれと同時に与一も下がり弓を構えた。
「動けば撃つ!」
「あなたも動いたら死にますよ!」
(飛び道具が封じられた!!)
「才蔵、いったん下がれ!」
「ハア!?」
「綱元!!」
「はい!!」
下がろうとした才蔵に、綱元は槍を突いたがその槍を才蔵は避け、鎌之介を飛び越えて下がった。ガラ空きになった鎌之介に、綱元と成実は今だと思いやりを構え鎌之介に突っ込んできた。
鎌之介の後ろにいた甚八に、幸村は命を下した。
「甚八!!
お主一人で、その二人の槍を防げ!!」
「何だってぇ!?」
「俺等二人に一人でだと!?ナメられたもんだ!!」
「同感です!!」
突いてきた二本の槍を、甚八は一本の槍で防ぎ切った。
「これはちょっと、荷が重てぇなぁ(こういう時、明日花がいれば楽なんだが)」
「うちのを、ナメて貰っちゃ困るな、真田の!!
成実!!綱元!!まずはその男を殺れ!!
槍じゃお前等に、敵はねぇだろ!!本気出せ、コラァ!!」
「ったりめぇだ!!
奥州を切り取ってきたのは、この伊達成実の槍よ!!」
「僕達の槍を、一人で相手にしようなんて……
身の程を、思い知ることになるでしょう!
必ず、討ち取ります」
「ここがテメェの死に場所だ」
「んだと?」
「二人相手では、無理かぁ?」
「やってみなきゃ、分かんねぇだろ!!」
(いや、無茶だろ!!)
「やってみなくたって、分かり切ってんだよ!!」
甚八の前に立ち槍を突く成実……
その攻撃を難なく避けた甚八の背後に、綱元は回り槍を突こうとしたが、甚八は持っていた槍を振り回し、その攻撃を防ぎ綱元の方を向いた。すると後ろから、さらなる攻撃が来て、甚八はそれを避けたがその瞬間、成実の攻撃が甚八の肩にかかっているコートに刺さった。
「なかなかの腕前!
討ち取りには惜しいですが……
殿のために死んでもらいます!さようなら」
コートに槍が刺さり、一瞬動けなくなった甚八に、綱元は目の前へ行き二本の槍を同時に突いた。同時に来た槍を、甚八は一本を腕で払い避けたが、もう一本は肩に刺さった。
「さっきから、黙って聞いてりゃあ……
何でテメェ等に、俺様の死に場所を決められなきゃならねぇんだ!!」
腕で押さえていた槍を甚八は、手で掴み雷を流した。雷に怯んだ綱元はすぐに、その槍を手放した。すると槍は無残にも焼け焦げ使えなくなってしまった。
「槍が!!」
「雷だと!?」
「綱元!!成実!!
隙を作るんじゃねぇ!!押し込め!!」
政宗の命令通り、綱元は残っているもう一本の槍を突き、同時に成実も甚八目掛けて突いた。甚八は槍を分解し、鎖に付いてきた日本の槍を絡ませた。
「動けば、貫く」
「やってみな。
その瞬間、二人共焼くぞ」
「お前も、一瞬で串刺しだぜ?」
鎖から引き抜こうと槍を動かす綱元だが、槍はビクとも動かなかった。
(クッ)
「槍が速いか、俺様が速いか……試してみるか?」
「そうよ甚八!
お主の力は、槍だけではなかろう!」
「何だ何だ!
どいつもこいつも、動けねぇのかよ!」
完全に、敵三人の動きを封じた幸村……
(オッサンまさか……
この膠着状態を狙って、作りやがったのか……)
「見事な采配です、若」
「ホッホッホ!」
「え?今、幸村様凄かったの?
皆動けなくなっただけなのに?」
「んー……
オイラ、よく分かんないや」
「ここまでは良いですが、典膳をどう攻略します?」
「奴の能力までは分からん。才蔵と鎌之介に任すわ」
その時、鎌之介は鎖に刺さっていた矢がようやく抜け、鎖鎌を動かせるようになった。
「抜けた!!」
その横を、才蔵は走り典膳のもとへ駆けた。
(あとは、典膳ただ一人!!)
その行為にムカついたのか、鎌之介は鎖の錘を才蔵に投げつけた。才蔵は後頭部に痛みを感じ、後ろを振り返り呆れた。
「ハア!?」
「俺にやらせろ!!ヒャッハー!!」
足を止めた才蔵を抜かし、鎌之介は鎖鎌を振り投げた。しかし典膳は目を瞑り動こうとはしなかった。
「寝てんのかコイツ!!
楽勝だぜぇ!!」
鎌を振り投げた鎌之介……
すると突然、手から煙の様に鎌が消えた。
「え?」
「……鎖鎌か」
鎌之介の手に持っていた鎖鎌は、いつの間にか典膳の手元にあった。
(へぇ……凄いねぇ、真田の倅の手練れ達は)
どこかの屋根の上から、才蔵達の闘いを観戦する晃三……
杖を手で抱えて、座り込みながらその勝負を観戦しているようだった。
(でも、あの政宗殿の手練れも凄いなぁ……
俺と同じことができるなんて……
さぁて、どちらが勝つか……
見物だねぇ)