BRAVE10S   作:花札

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戦場で兼続の兵を待つ政宗……


「あ・ん・の野郎!!!

兵動かしといて、何チンタラしてやがるんだ!!」

「落ち着いてください。

逸って腰を上げれば、相手の思う壺ですよ」

「今頃、あの直江が意地悪ーく笑っているのが目に浮かびますね」

「ちっくしょ!

こんな暇なら、真田との勝負捨ててくんじゃなかった」

「ほう……」


政宗の隣にいた小十郎は、政宗の発言にキレたのか凄い剣幕で、政宗を睨んだ。

その様子を見た成実は、慌てて政宗に話した。


「失言!今のは失言だ!

な!政宗!」

「ああ!?

失言じゃねぇよ!心のままに言っただけだ!」

「なるほど……


殿は、この奥州の一大事に、国を開けても問題ないと、そう仰いますか……一国の主ともあろうお方が」

(こ、怖ぇ……)

「大丈夫だろうよ。何のために、お前残してると思ってるんだ?」

(ほう)

「そう言われて『殿は私に全幅の信頼を置いて下さるのだ』と喜べと?

生憎ですが、『全部押しつけやがって、この野郎』と思っております」

(うわぁああ!!)

「小十郎!!」

(それにしても……何で動かないでしょうね…)




その頃兼続は……


「今頃、腰を上げてうずうずしてるでしょうね……あの泥鰌(政宗)」

「あの……兼続……このままでよいのか?」

「良いのです。

殿は何もご心配なさらぬよう(まだまだ、真の戦ではありませんよ)」


兼続は不敵な笑みを溢しながら、戦場に立っていた。


苛立ち

上田城……

 

 

幸村の部屋から出てきた清海と伊佐那海……

 

 

「伊佐那海を、酷い目に合わせた奴が、勇士とは何とも解せん!!

 

伊佐那海!」

 

「は、はい!」

 

 

後ろを振り返り、自分の名前を呼ぶ清海の声に、伊佐那海は顔を上げ慌てて返事をした。

 

 

「あんな男が、場内にいたらさぞ怖いだろうが、いつも兄ちゃんが付いているからな!」

 

「うん、ありがと……

 

(けど、アイツ(服部半蔵)もだけど……

 

あの才蔵は怖い……

 

鎌之介と初めて戦った時に似てる……あの眼……

 

 

それに、あの明日花ちゃん……

 

まるで、出雲でアイツと戦った時みたい……あの眼……

 

 

空気が、ピリピリする……)」

 

 

 

 

「何の御用ですか?一体」

 

 

本を読みながら、優助は口を開きどこかにいる者に話し掛けた。すると、天井が開きそこから、半蔵が姿を現した。

 

 

「もうバレてたんですか?

 

さすが、武田軍隊長さんですね」

 

「それ以上口を動かすのなら、その口を斬り落としますよ」

 

「おぉ、怖い怖い。

 

 

あれ?あなたの、娘さんは?」

 

「明日花なら、今は別の所にいます。

 

で、何用でここへ?」

 

 

読んでいた本を閉じ、優助は半蔵を睨んだ。

 

 

「あなたの娘さんにをからかいに来たのですが、いないのならいいですよ」

 

「あの子を怒らせて、何がしたいのですか?」

 

「娘さんの正体、ご存じなんでしょ?

 

だったら、その力使うべきなんじゃないんですか?」

 

「使えば、どうなるか分かっているのですか?」

 

「いいえ。

 

ただ俺は、娘さんの闇の力を手に入れたいのです。

 

 

!!」

 

 

突然何かに押され、壁に叩きつけられた半蔵……

 

座っていた優助は立ち上がり、部屋から出て行き半蔵の前に立った。

 

 

「あなたの様な輩がいる限り、あの子(明日花)の恐怖や怒り、憎しみが消えることはありません……

 

それに、あなたにあの子の闇の力を、扱うことはできません」

 

「娘さんと、同じ言葉を発するんですね。さすが親子……いや、親子じゃないか。

 

言っときますが、俺はもう、闇の力なんざに興味はありませんから」

 

「口を慎みなさい。

 

 

ようが無ければ、もう消えてください。

 

あなたの様な者の顔など二度と見たくありません」

 

「そうですか、分かりました」

 

 

立ち上がり、服に付いた土を手で叩き掃った半蔵は、笑みを浮かべて優助の前から立ち去った。

 

 

半蔵が居なくなってしばらくした後、明日花が帰って来て庭に立っている優助のもとへと駆け寄り、恐る恐る声を掛けた。

 

 

「父さん?」

 

「……」

 

 

何も答えず、ずっと一点を見つめている優助……

 

明日花は怯えながら、優助の手を恐る恐る掴んだ。その感触で、ようやく我に返った優助は明日花の方を向いた。怯えている明日花の顔を見た優助は、笑みを浮かべて明日花が掴んでいた手で、明日花の頭を撫でてやった。

 

 

「そんな怯えなくとも、大丈夫ですよ」

 

「だって……」

 

「少し、気が立ってたんです……

 

さぁ、中へ入りましょう」

 

 

優助に釣られて、明日花は部屋の中へと入った。

 

 

 

 

川に顔を浸ける才蔵……

 

 

(クソ!!クソ!

 

何もかも、煮え切らねぇ!!

 

十番勝負も、弁丸の事も、半蔵の事も!)

 

「水浴びにはちょっと、寒いんじゃない?」

 

 

川から顔を上げる才蔵の後ろから、アナスタシアが話しかけてきた。才蔵は、濡れた顔で彼女の方を向いた。

 

 

「酷い顔してるわよ」

 

「お前もな……」

 

 

才蔵の言葉に、少し笑みを浮かべたアナスタシアは、濡れた才蔵の顔に手拭いを投げつけた。

 

 

「……幸村様は……

 

半蔵を仲間にしたでしょ、何事もなかったかのように」

 

「あぁ」

 

「で?アンタは、一人で憤ってるってわけ?」

 

「お前だって!!

 

お前、分かってたのか……オッサンがああするって」

 

「アンタも分かってたでしょ」

 

「半蔵見て、あんなにブチキレてたくせに」

 

「だって、完璧に殺ったと思ってたんだもの……

 

氷の柱に閉じ込めて、もう二度と会うことは無いと……甘かったわ」

 

「……

 

 

訊いていいか?」

 

「何を?」

 

「俺達『忍』は、雇い主のために働く……

 

そう里で教え込まれたし、そういうもんだって思って生きてきた。

 

 

だからお前が『反間』だったことも、半蔵に命じられて、六郎さんを襲ったことも何とも思わねぇ……

 

ただ……

 

オッサンが、お前をここに残した。そしてお前もここに残った。

 

その理由を知りてぇ」

 

「私がなぜ、自ら命も経たずここにいるのか……

 

そうね、不思議でしょうね……」

 

「俺は……オッサンが何を考えてるのか、分からねぇんだ」

 

「そう……迷ってるのね」

 

「……」

 

「いいわ……教えてあげる」




『何……ですって?』

『言葉の通りだ。


今まで通り、勇士として生きよ』

『……』


幸村の前に座り、命を聞いたアナスタシア……

部屋の前では、煙草を吸いながらアナスタシアとの話を立ち聞きする甚八……


『何で……

どうしてそうなのよ!!


何て酷い男!!!』
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