BRAVE10S   作:花札

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『うちの守り人は、十人おる』

(あのオッサン!!)


幸村達の部屋から抜け、城壁の上へ移った才蔵……


(死合うだって!?アホか!!

考えてもみろ、絶対ロクな事にならねぇんだ!!

勇士ったって、変な奴の集まりなんだからよ!!特にあの、変態がいるっつーのによ!!


にしても……


オッサンの兄貴が言ってた、優助って奴誰なんだ?

話の流れからして、明日花と何か関係があるように思えるが……)


上田城十番勝負と武田勝負

その頃、信幸に無理矢理跪かされ、正座をしていた鎌之介がようやく意識を取り戻した。

 

 

「誰だが知らねぇが、あんの野郎!!

 

この俺に膝を付かせやがって!!ぶっ殺してやる!!」

 

 

叫びながら、角を曲がろうとした時、誰かとぶつかった。

 

ぶつかった箇所を押さえながら、文句を言おうと顔を上げると、そこにいたのは六郎にそっくりの男だった。

 

 

「おう、小姓!さっき、こっちに変な男来なかったか?」

 

「……」

 

「態度も声もデカイ野郎よ!……あ?

 

テメェ、聞いてんのか!?」

 

 

鎌之介の質問に何一つ答えず、黙り込んでいる男に鎌之介はキレ手を上げた。その瞬間、男は鎌之介の頬を叩いた。

 

 

「不躾な!!

 

汚れた手で、触れるでない!!」

 

「小姓!!」

「おやめなさい!!」

 

 

殴りかかろうとした鎌之介を止めるかのように怒鳴る声……

 

声の方に振り向くと、そこにいたのは本物の六郎だった。

 

 

「は?(え?……小姓が、二人)」

 

「久しぶりですね」

 

「フンッ……

 

しばらく、来ぬうちに上田は、無法者の集まりになったようですね。

 

まあ、主が主なら、そうなるのが必定でしょうが」

 

「海野家が、代々仕える真田の本家ですよ。口を慎みなさい」

 

「いかに主筋といえど、あのような放蕩者……仕えては恥というもの。

 

徳川家も一目置く、信幸様と違ってただの田舎の小侍……

 

私はつくづく思いますよ……

 

 

私の主が、信幸様でよかったと」

 

「それは良かったですね。

 

うちの若より、お行儀が良いようですから」

 

「この」

「オイ!!

 

テメェ等、俺を無視すんな!!

 

そっくりな面しやがって、気持ち悪い!!」

 

「気持ち……」

 

 

「何だ、鎌之介は双子を見たことないのか?」

 

 

鎌之介を止めるかのように、二人のもとへ幸村がやってきた。鎌之介は、幸村の方を向きながら言葉を繰り返した。

 

 

「双子?」

 

「そんなことより鎌之介よ。

 

あそこに才蔵が、潜んでおるぞ?」

 

「お!」

 

「遊ばなくていいのか?」

 

 

城壁にいる才蔵に目を向けながら、幸村は鎌之介に言った。才蔵の姿を見つけた鎌之介は、喜びに満ちた顔をしながらその場から立ち去り、才蔵のもとへ駆け寄った。

 

 

「キャッハー!!才蔵ぉ!!」

 

「オッサン!!」

 

 

駆け寄って来る鎌之介から、才蔵は逃げるようにして城壁から離れ鎌之介と共に、森の方へ行ってしまった。

 

 

いなくなった才蔵達の後ろ姿を見ながら、幸村は鼻で笑った。そして、六郎の向かいにいる男を見た。

 

 

「久しいな、七隈。

 

健在であったか?」

 

「見れば、お分かりでしょう。

 

健在でなければ、上田などに来るものですか」

 

「七隈!!」

「おい!

 

七隈!!帰るぞ!!」

 

 

六郎に怒鳴ろうとした時、後ろから信幸がやってきた。信幸の姿を見た七隈は、幸村にぶつかりながら信幸へ近寄った。

 

 

「信幸様!お話は済みましたか!」

 

「ああ」

 

「では」

 

「……半月後、上田で死合い。

 

分かっておるな?」

 

「分かっております」

 

「死合い?

 

どういうことですか?若」

 

「幸村が上田で安泰だと、大口を叩きおってな!

 

ならば、その護りを試させて貰おうというわけだ。それにいい機会だ。

 

明日花の力も、共に試させてもらうことにした」

 

「信幸様が、この脆弱な上田を叩くのです。

 

堕落した主と、堕落した家臣たち諸共に」

 

「逃げるなよ、幸村!」

 

「分かって……おりますって……」

 

「では、これにて!」

 

 

振り返り、七隈と共に信幸は去って行った。

 

去っていく信幸の背を見届けた幸村は、汗を流しながら困った表情を浮かべた。

 

 

「おー、怖い怖い!

 

のう、六郎」

 

「何がどうなったのか、説明していただけますか」

 

「どうもこうも、今兄上が言った通り!

 

十対十の死合い、そして武田同士の特別死合いをすることとなった」

 

「十対十?

 

まさか勇士を、公に……

 

それより、武田同士の死合いって……」

 

「……ハァ…

 

まずは…布令を出さねばなるまい。

 

 

六郎!墨を持て!」

 

「はい!」

 

 

部屋へ戻り、二枚の垂れ幕に筆で何かを書く幸村……

 

 

「いよーし!!」

 

 

書き終わり、六郎に二枚の垂れ幕を見せる幸村……

 

垂れ幕に書かれていたのは、一枚目には『上田城十番勝負』……

 

そして二枚目には『武田勝負』と書かれていた。

 

 

「は?」

 

「まずは、城下に振れ回れ!

 

出店も考えなければな!民を大勢呼んで、祭りにするぞ!

 

 

六郎!忙しくなるぞ!」

 

「……落ち込んでいたのでは、ないのですか?」

 

 

 

 

上田の森へ才蔵を追い駆けてきた鎌之介……

 

 

「クソ!!見失ったか!!

 

どこに隠れやがった!!

 

 

アイツの隠形は、見破れねぇ……あぁあ、チキショウ!!」

 

 

見失った才蔵をあきらめた鎌之介は、文句を言いながら森を出て行った。

 

 

そんな鎌之介を、才蔵は近くの木の上から眺めていた。

 

 

(ハァ……ようやくあきらめたか…)

 

「さっきまで、大人しかったのにね」

 

 

その声が聞こえ、振り向くとそこに木の枝の上で、コノハの頭を撫でて遊ぶ明日花と、明日花の座っている枝の上にいるアナスタシアがいた。

 

 

「よう、アナ。

 

物見(監視)か?」

 

「……見ての通りよ」

 

「そっか……

 

(……正直、コイツ(アナ)がここ(上田)に残るとは、思わなかった。

 

あんなこと(裏切り)があったんだ……忍らしく、抜けるか自害するもんかと……

 

 

オッサンとの間に、何かあったのか?)

 

 

そういや、お前何でここにいんだ?」

 

「アナの手伝い」

 

「あっそ……」

 

「騒がしいけど、城で何かあったの?」

 

「幸村の兄貴の、信幸が来た」

 

「ああ……信幸様ね…」

 

「俺達十人と、向こうのサンとで死合うんだと。

 

ま、大名同士の腕比べだろ。よくある話しっちゃあ話なんだが……

 

相手に恥かかせるわけにもいかねーし、あしらいが難しいトコだよなぁ……」

 

「ふうん……」

 

「そのために来たの?」

 

「そうらしい。

 

まあ、やるにしても適当にするさ。忍は手の内が、商売道具……

 

明かすわけにはいかねぇだろ。お前(アナ)も数の内だぞ」

 

「あらそう」

 

「そこは『お断り』って、言うとこだろ?お前なら」

 

「そんなこと言わないわ。

 

私を殺さず、ここに置いておく酔狂な男との、約束があるから……」

 

(約束?)

 

「十人て言ってるけど、私は出なくていいの?」

 

「いや、お前は特別死合いに出るんだとよ」

 

「特別死合い?」

 

「武田同士の勝負で、対戦相手が確か優助っていう奴だって言ってたな……」

 

「優助!?」

 

 

才蔵の言葉に驚くかのように、明日花は突然立ち上がり才蔵を見た。

 

 

「何だよ、驚きやがって(らしくもねぇ……)」

 

「あの兄貴、本当に優助って言ったのか!?才蔵!!」

 

「あ、あぁ……そう言ってた(何だ?コイツ)」

 

「誰なの?その優助って」

 

「そうだ、お前知ってんのか?そいつ」

 

「元武田軍隊長だ」

 

「隊長!?」

 

「そうだ」

 

「その隊長さんとお前、どういった関係なんだ?」

 

「簡単に言えば、親族だ」

 

「まさか、そいつも光坂一族の一人なのか?」

 

「一族と優は関係ない」

 

(優って……)




死合いは次第に、勇士達に伝えられ……


「アタシもアタシも!」

「新しい武器を作んなきゃ!」

「神仏の尊さを、教えてやろう!」

「誰かお止めせ何だか……」

「無問題」

「棄権していいか?

俺ぁ酒飲んで、見物してる方が良いんだけどよぉ」
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