BRAVE10S   作:花札

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約束の半月後……

決戦の準備をする勇士達……


開幕

「オラ、引け!」

 

 

十枚の紙を握り、皆に差し出す才蔵……

 

 

「くじ?」

 

「今日の死合いの、順番決めんだよ。

 

相手方の出方が、分かんねぇ以上いろいろ考えても仕方ねぇ」

 

「だからって、クジ?」

 

「一番公平だろ?」

 

「幸村様は何て?」

 

 

「『そういえばお前、与頭(リーダー)になったそうだな。

 

今度の死合いの順番は、才蔵に任せる』ってさ」

 

 

手袋の紐を結びながら、皆がいる部屋へ入ってきた明日花が、才蔵の代わりにそう言った。

 

 

「わぁあ!明日花ちゃん、一族の服着てる!

 

でも、何か前見た時の服と違うような……」

 

「正装で出ろって身勝手な殿様に言われたもんでね。

 

多分違うのは、あん時は襟巻き巻いてたけど今回は巻いてないし、服も上だけ変えたから」

 

「あぁあ!そっかぁ!」

 

「(あのオッサン……)

 

いちいち意見聞いて、まとまんねぇのも面倒だし、さっさと引いて決めようぜ。

 

アナと六郎さんは、残った順番でいいってさ」

 

「んじゃ」

 

「何番だろう!?」

 

「……」

 

「南無」

 

「では」

 

「ん」

 

「よ」

 

 

才蔵が握る紙を、一人一枚ずつ引いて行った。それぞれが引いた紙を裏返し、書いてある番号を見た。

 

 

「オイラ五番手!」

 

「アタシ四番手!」

 

「六番」

 

「某は……」

 

「……」

 

「拙僧は一番だ」

 

 

清海の言葉に、鎌之介は手に持っていた紙を握り、突然清海に飛び掛かった。

 

 

「ふっざけんな!!

 

何でテメェが、一番なんだよ!!それ、よこせ!!」

 

「鎌之介!!」

 

 

その騒ぎに、傍にいた十蔵が慌てて鎌之介の手を止めた。

 

 

「止さんか!!

 

クジで決まったことに、文句を言うな!!」

 

「うるせぇ!!

 

この半月、俺がどんだけ死合いを楽しみにしてたと思ってんだ!!」

 

「やっぱり、こうなったか……」

 

「久しぶりの殺し合いだぜ!?心置きなく、ぶっ殺せるんだ!!

 

まずは、この俺にやらせろ!!」

 

「拙僧の一番は、神のお導きだ!!譲れん!!」

 

「神ぃ!?

 

んなもん、いるわけねぇだろ!!大人しく、譲れってんだよ!!」

 

「……鎌之介、一度決まったことだ。

 

潔く、受け入れんか!」

 

「何で!!」

 

「十蔵の言う通りだ。受け入れろ」

 

「は!?」

 

「不満言ってんの、アンタだけだよ!」

 

「女々しいと思わんか!!」

 

「女々しいだと!?」

 

(あっ)

 

(言っちゃったよ、禁句……)

 

「誰に向かって、言ってやがる!!」

 

 

怒りから、風を起こした鎌之介……

 

その時、何かを察した明日花は、手で耳を塞いだ。

 

 

「もういい!!

 

テメェ等から、殺す!!」

 

「何を騒いでいるんです!!」

 

 

鎌之介が攻撃しようとした時、障子が開き術を使いながら、六郎が大声で怒鳴り込んできた。その術に、鎌之介は大人しくなったが、傍にいた清海と鎌野介を注意していた十蔵が当たり、三人とも伸び倒れてしまった。

 

 

「危なかった……(巻き沿い喰らうところだった)」

 

「才蔵、与頭としてキチンと皆を纏めなさい!」

 

「は?

 

いや……スンマセン…」

 

「十蔵、とばっちり受けたぞ」

 

「与頭でしょ?才蔵。

 

介抱してあげなきゃ」

 

「は?」

 

「そうね、鎌之介も何とかして頂戴」

 

 

いつの間にか障子に寄りかかり、才蔵に言うアナスタシア……

 

 

「死合いが始まるまで、縛って転がしておけば?」

 

「お願いね!才蔵」

 

「何で俺が!?」

 

「与頭何でしょ?才蔵」

 

 

隣にいた明日花が、さぞ当然のように言った。

 

 

「テメェは、その俺をサポートする副与頭だろ?」

 

「余計な仕事を押し付けないでくれる?頭」

 

「ンの野郎!!

 

関係ないような顔しやがって!!」

 

「何でもかんでも、副に押し付けるな!!

 

だいたい、私はまだ副になったつもりはない!!」

 

「この!!」

 

「お二人共やめなさい!!」

 

 

明日花と才蔵の口喧嘩を仲裁するかのように、六郎は術を使い大声を出した。声が響いた明日花と才蔵は、耳を押さえながらその場に座り込んだ。

 

 

「皆を纏める二人が、喧嘩をしてどうするんです!!」

 

「クッソォ……」

 

「耳が……」

 

「ねぇねぇ、明日花ちゃん」

 

「?」

 

 

耳を押さえながら、座り込む明日花に伊佐那海は覗き込むようにして、近寄り話しかけてきた。

 

 

「そういえば、明日花ちゃんって死合い出ないの?」

 

「さっき、クジ引いてなかったよな?明日花の姉ちゃん」

 

「私は、アンタ達とは違う別の死合いに出るんだ」

 

「別の死合い?」

 

「武田同士の死合いだ。

 

けど、コイツの対戦相手が用事で出掛けてて、帰って来るのが今日何だが、いつ帰って来るかが分かんねぇだとさ。

 

だから、死合いもいつ行われるか分かんねぇだと」

 

「そうなのか?」

 

「らしいよ。

 

ま、私は絶対勝つつもりだけどね」

 

「相手の能力も分からないくせして、よく勝つ気でいられるな」

 

「悪いけど、私対戦相手の能力全部知ってるから」

 

「え?」

 

「一度やり合ったことあるの?」

 

「昔ね。

 

 

けど、八年前に別れてるから、相手も多分腕あげてるよ」

 

「別れたって……!?」

 

 

その時、才蔵はあの時幸村が話した、明日花の父親の事を思い出した。

 

 

『立場上の関係で会えないがな』

 

「(まさか……相手の優助って)おい、明日花」

 

「?」

 

「対戦相手って、まさか」

「その戦い、俺に寄越せ!!明日花!!」

 

 

伸びていた鎌之介が、突然飛び起き明日花に襲い掛かってきた。

 

 

「俺にその戦いを譲れ!!明日花!!」

 

「何でそうなんだよ!!」

 

「いいから、譲れ!!」

 

「譲れるか!!

 

だいたい、戦ったところでアンタなんて、一発で終わりだよ!!」

 

「んだと!!」

 

「アンタじゃ、敵わないんだよ!!」

 

「この!!」

 

「やめなさい!!」

 

 

二人の喧嘩を、見ていた六郎がまた術を使い大声を上げ止めた。鎌之介は伸びまた倒れ込んでしまい、明日花は耳を塞ぎながら、その場に座り込んだ。

 

 

「才蔵、纏めなきゃダメじゃん!」

 

「は?」

 

「あら?与頭なんでしょ?」

 

「!」

 

「ここの片付け、頼みましたよ」

 

「は、はい……(与頭って、なんか損な役割じゃね!?)」




死合い会場へ着いた才蔵達……

上田には、賑わう民の声や、数々の屋台……


そんな賑わう音に、少々キレ気味の才蔵……


「……祭りかよ」

「賑やかでいいだろう!?」

「アホか!!

俺等を晒して、どうすんだよ!!


しかも、何だ!あの大戦表!!俺等の名まで晒しやがって!」

「うるさいのう。

何だ才蔵、覆面なんぞしおって」

「忍が堂々と、顔出せるか!!」


才蔵に近付いた幸村は、才蔵の覆面に手を伸ばし剥がした。


「オッサン!!」

「隠すな!これは絶好の機会だ!


つい先日、兼続の奴が直江丈なるモノを、狸に突き付けおってな。

家康は怒り心頭、今やいつ戦が起きてもおかしくない。

どこもかしこも、豊臣に就くか徳川に就くかで、騒いでおる。」

「だから」

「であればこそ兄上も、このような死合いを仕組んだのであろう。

今ここで、我らを負かせば、徳川派の力を知らしめることができる」

「そして、大名の多くを、徳川に引き入れようってか?」

「だが……

相手がお前らならば、そう上手くはいくまい。


隠すことは無い、その力を世に示せ」

「……」

「ここでの我らの勝敗に、天下の趨勢がかかっておるのだ!」

「……本気かよ、オッサン」

「無論だ」

「……ったく、話がデカくなってきやがったぜ!」

「信幸様!!ご到着!!」


佐助の言葉に、一同は城門に顔を向けた。城門を潜り中へと入ってくる信幸を先頭に、後ろから籠が九個列になって入ってきた。


「来たか……」

「何?あれ」

「籠?」

(アイツはまだ、帰って来てないみたいだな……)


信幸一同が席に着くと、一番手である清海がいつの間にか舞台へ上がり準備していた。


「フハーハッハ!!腕がなるのう!!

初戦は、拙僧に任せよ!!」

「清海!?」

「いつの間に……」

「気の早い輩が、いるようだな……

客を待たず、勝手に舞台へ上がるとは、何たる無礼な!」

「では、この儂が礼儀を教えてやろう」


『壱』と書かれた紙を貼った籠から、その声が聞こえ信幸はその籠に、勝ち誇ったかのような笑みを溢して言葉を返した。


「お頼み申し上げます、義父上(チチウエ)」

「あい、分かった」


返事をすると、籠から手が伸び中から鹿の毛皮を被った大男が姿を現し、舞台へ上がった。


「さぁ小僧、その鼻っ柱叩き折ってやろう」

(義父上だと!?)

(あれって……)

「鹿さんだぁ……」

(面着けといて、正解だった……)

「鹿の角……

まさか、徳川家重臣にして、生涯無傷、天下無双の侍大将……

本多平八郎忠勝!!」

(兄上も本気できちゃった……)
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