「ホホホホ……また勇士が欠けたぞ。
どうする気だ?久久能智神……お主が選んだ勇士達は、役にも立たぬようだな」
「……」
「さて……次の一撃耐えられるかな?」
再生しきった素戔嗚尊は、大剣を振り熱風を才蔵達目掛けて放った。明日花は彼等の前に立ち水の壁を作り熱風を防いだが、伏せきれずそのままその攻撃を喰らった。
「お主等が力を借りた神々など、全て妾が生み落とした者じゃ。妾と素戔嗚尊に敵うわけがなかろ?
妾を抑える根源の力が、足りぬというのに……しかし今までよくもったと誉めてやろう。
しかし終いじゃ」
黒い煙を上げる素戔嗚尊……その時、空から何かが降り立ち素戔嗚尊に攻撃した。
「神槍氷柱(グングニルサスーリカ)!!」
素戔嗚尊に当たった攻撃……それは、氷の柱だった。
「私の氷は厚いわよ」
「アナ!」
「やっと来たか!」
「何じゃ!?
何じゃ、その力は!?そのような力を使う神、妾は知らぬ!?」
「ククク……当たり前だ、伊佐那美」
「!?」
「その神は……この国にはいない神だ。
いたとしても、より小さな力を持った神でしかない……だが、他国の神だったらどう?」
「私が依る神は……最高軍神・オーディン!!」
「アナ!」
「いい女だぜ、全く……」
「アナ……」
「金髪女!!」
氷の槍を作りアナスタシアは、空から雨の様にして素戔嗚尊に向かって振り落とした。
「神矢氷雨(リーヴェニストリエラ)!!
やられっぱなしは趣味じゃないのよ。明日花、水をありがとね」
「どう致しまして!」
(……アナ)
数日前の記憶を思い出す甚八……
夜の湖……船の上で一服していた甚八の前に、白い布を被ったアナスタシアが姿を現した。彼女は笑みを浮かべると、彼の胸にと飛び降りた。甚八は飛び降りてきた彼女を受け止めた。
『……誰だ!?』
『よく分かったね。凄ーい。
変化の術には自信があるのに』
アナスタシアは甚八から離れ、印を結ぶと煙を上げ変化の術を解いた。彼女に化けていたのは百だった。
『何だテメェ』
『あの娘のお願い。
『アンタの力が必要なの』』
『師匠……根津甚八っていう海賊を捜して来て。彼の力が必要になる』
『『今すぐ幸村様の所に駆け付けてあげて』だって』
『……無理だな。
俺様はまだ何も変わっちゃいねぇ。強くなるまではアイツに会わねぇと決めた』
『頑固な男だね。
あの娘が人に頼るなんて、初めてなんだよ。男なら今、それに応えるべきだ。
だって……アナの体はもう……
氷から出ると熱が体を焼いて、数時間で死んでしまうだろう』
その事を思い出しながら、甚八はアナスタシアを見つめた。
「才蔵!!」
「?!」
「素戔嗚尊を倒したら、勝機はあるか!?
つうか、作れ!」
「甚」
「明日花!!手伝えぇ!!」
「応!!」
氷の技を繰り出すアナスタシア。だが素戔嗚尊は一向に倒れようとしなかった。
その時、彼女が差し出していた手の隣に甚八の手が差し伸ばされた。
「凍らせろアナ。あいつを氷の棺に閉じ込めろ。
オメェ独りで、やるこたぁねぇのよ!
俺様が半分、手伝ってやるぜ」
そう言いながら、甚八は穴の額に軽く唇を当てた。その様子に明日花は、呆れた様な顔で軽くため息を吐いた。
「私の神力に当てられたら、アンタの体もたないわよ……馬鹿な男ね」
「素直にありがとうって言えよ。
明日花!!」
「応!!
光阪流木術四方拘束!!」
地面から生えた木の根は、素戔嗚尊の体を拘束した。
「……
ありがとう、甚八。
いくわよ!!」
「応!!」
「絶対零度超伝導!!」
「絶対零度超伝導!!」
氷が放たれ同時に雷が、素戔嗚尊の体に当たった。傷を負った素戔嗚尊は煙を上げそのまま倒れてしまった。
「やった!」
「さっすが……」
「……アナ!?」
深く息を吐くアナスタシア……
「何で、命賭けちゃうかねぇ」
「……約束したのよ……ずっと仕えるって」
「妬けんなぁ」
動かなくなったアナスタシアを、甚八は強く抱きしめた。その背後で、明日花は一滴の涙を流すと二人を見た。
(母さん……甚にも、女出来たみたいだよ)
「ア……ナ」
「可哀想……可哀想な素戔嗚尊」
「お……母さん」
「案ずるな。何も怖くはない……
今一度、この母の元へ還れ。還って母の力の糧となれ。
黄泉稜威母(ヨモツイズモ)!!」
素戔嗚尊の体は黒いオーラへとなり、伊佐那美の体に吸収された。
「己等……もう許さぬ!」
「くう……これまでよりもずっと闇が増してる!」
「……こうなっては、仕方があるまいか……
許せ伊佐那海。
才蔵!!半蔵!!鎌之介!!
今しばらく、伊佐那美を抑え込め!!ここに出雲大社に見立てた社を作り、黄泉への入り口を開く!!
大国主命の力で千木を組め!!佐助!!」
「応!!」
「明日花!!お主が持っている全ての力で、皆を援護だ!!」
「応!!」
甚八の傍にいた明日花は、幸村に返事をした後甚八の手に自分の手を添えた。
「甚……力借りるよ」
「……行って来い」
手から雷を放ちながら、明日花は才蔵達の元へと駆けて行った。
「六郎!!立て!!」
「そんな!!もう兄上は!!」
「御意」
幸村の命令に、六郎は返事をしながら立ち上がった。
「倒せぬなら……黄泉へと還すまで」
力を使い、佐助は伊佐那美の上に出雲の屋根を作り上げて行った。
「押し込め!!」
幸村の声と共に、才蔵達はそれぞれの武器を構え伊佐那美に攻撃を仕掛けて行った。