BRAVE10S   作:花札

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舞台へ上がった六郎と七隈……


「そっくり!

ねぇねぇ!あの人、六郎さんにそっくりだよ!」

「あ、ホントだぁ!」

(今頃気づいたのか、コイツら)

「七隈……信幸様の小姓」

「確か、六郎の双子の弟……だったよね?佐助」


振り向いて再確認しながら、明日花は佐助の方に振り向いた。佐助は彼女の質問に、頷き答えた。


「双子!?

初めて見たぁ!」

「服が同じだったら、どっちがどっちか分かんないね!」

「どちらも、真田に使える術士の家系ってことは……」

「七隈も六郎と同じ能力を持ってるかもね」

「そんなんで、決着つくのかよ」


青の継承者

「一つ……提案があります」

 

 

七隈は六郎を指差しながら、そう言い出した。

 

 

「この死合いでは、お互いの術を禁じ手としましょう。

 

容易く想像、出来ますよね?」

 

「分かりました」

 

「(やっぱり同じ能力か……

 

確かにここじゃ、観客も巻き込むだろうが……)

 

じゃあ、それ使わねぇで、どう戦うんだ?」

 

「どうするであろうなぁ?」

 

「勝算あんじゃ、なかったのかよ!!オッサン!!」

 

「ああ!あるさ!

 

うちの六郎は、七隈如きには負けん!」

 

「如き、ですと!?」

 

 

幸村の言葉が癇に障った七隈は、六郎を睨んだ。六郎は澄ました顔で、七隈を見ていた。

 

 

「いつまでも、澄ました顔を……」

 

「第三死合い、始め!!」

 

 

審判の声と共に、太鼓が鳴り響き始まりの合図が送られた。

 

 

合図の音と共に、七隈は六郎に攻撃をした。六郎はその攻撃を難なく避け、それと共に六郎の服の裾が切れた。避けた六郎は、背中がガラ空きになった七隈の背に攻撃をした。攻撃を喰らった彼の背には、何かで斬られたかのような切り傷が出来た。

 

 

その攻撃をした六郎は一歩引き、七隈もまた一歩引いた。

 

 

そんな六郎達の攻撃を見た伊佐那海は、驚いた表情を浮かべながら才蔵に質問した。

 

 

「何で服が切れるの!?

 

触っただけなのに!」

 

「あー、お前には見えねぇのか。

 

六郎さんの手元、よく見て見ろ」

 

「手元?」

 

 

才蔵に言われた通りに、伊佐那海は六郎の手元を見た。手には鋭い針のようなクナイが仕込まれていた。

 

 

「小さな剣みたいなものがある」

 

「あれは、隠し武器の一つ寸鉄だ」

 

「意外だな。六郎さんは、接近戦タイプには見えねぇんだが」

 

「その通りだ才蔵」

 

「六郎の技は、確か寸鉄だけじゃないはずだよね?」

 

「明日花の言う通りだ。

 

まぁ、見ておれ」

 

 

さらに攻撃をしてきた七隈に、六郎は服についていた鎖の様なものを手に取り、突進してきた七隈に振り回した。七隈はその攻撃を避け、危うくバランスを崩しかけたが、何とか持ち応え立った。

 

その時六郎は、服の中から次々に鎖の一部一部を取り出し、それを繋げていき、鎖の鞭を作り上げ七隈に攻撃した。

 

 

「どうしたのです?

 

私の表情を崩すのでは?」

 

「!!

 

いちいち、癇に障る!!」

「何をしておる、七隈!!」

 

 

信幸の大声に、六郎はビクつき信幸の方に顔を向けた。

 

 

「早々に片をつけよ!!

 

我が陣営は、十勇士とやらに、一勝も許してはならんのだぞ!!」

 

「承知しております!!」

 

 

答えると七隈は、服に仕込んでいた布を引っ張り出し、鎖を繋ぎ合せ鞭を作り出した。

 

取り出した鞭を、七隈は容赦なく六郎に攻撃をした。

 

 

「す、凄いなぁ……」

 

「あの二人、長得物の間合いが、よく分かってやがる」

 

「じゃあ、長期戦?」

 

「いや……

 

必ず、どちらかが相手の得物に捕まる時が来る……

 

一瞬の隙が、勝負を分けるだろう」

 

 

(早く、早く終わらせねば!!

 

 

信幸様に、恥をかかせてしまう!!

 

小姓としてこの死合い、万が一にも負けられぬ!!

 

でなければ、私は!!)

 

 

 

 

『六郎に『水紋』が出たか!』

 

 

二人がまだ、信幸と幸村に出会う前……

 

 

『おお……これは確かに、海野家の『水紋の眼』。

 

そうかそうか……

 

 

どちらに出る者か分からぬゆえ、双子をどちらも生かしておいたが……

 

これより六郎が、海野家の後継ぎとなる!』

 

 

六郎に差し出された、一つの箱……

 

中には、青い球が一つ入っていた。

 

 

『これを六郎……お前に授ける』

 

それは!!

 

『海野家一子相伝、神玉……蒼玉髄』

 

(同じ双子なのに!!なぜ、私ではなく、兄上が!!)

 

『七隈』

 

 

『これよりお前は、六郎の『影』として生きよ。よいな?』

 

……はい(なぜ!!なぜ私が影なのだ!!なぜ兄が、全てを持っていくのだ!!)

 

 

 

 

『六郎、七隈よ。このお二人が、真田家の若さまであられる』

 

 

六郎と七隈を初めて見る信幸と幸村……

 

 

『へぇ、面白い』

 

『どちらが優れておるのだ?

 

私は、優れておる方を召し抱えよう』

 

『それでは、兄の方の……』

『あー、待った待った!

 

それはズルい!』

 

『ズルい!?』

 

『いつも兄上が先に選ぶ!

 

紫苑と優助の時も、兄上が先に選んだではないか!

 

 

たまには儂にも、選ばせてくれ!』

 

『二人には既に子供がいたであろう!お主あの時、紫苑と子供は自分が引き取ると言い出したではないか!!だから俺は優助を選んだのだ!それで、何を申すか!』

 

『それくらい、よいではないか。それに兄上が先に優助を選んだのではないか』

 

『……』

 

『懐が狭いぞ?』

 

『……良かろう』

 

『それでは、この二人に選ばせようではないか!

 

兄か弟、どちらに仕えるのが良いか!』

 

(そんなの……

 

兄の方に、仕えたいに決まってる!)

 

『恐れながら……

 

わたくし、六郎は幸村様に仕えとうございます』

 

 

六郎の発言に、その場にいた者皆が驚いていた。六郎はそんな皆に構わず、話を続けた。

 

 

『見たところ信幸様は、しっかりなさっていて、大変ご立派な方とお見受けいたします……

 

が、幸村様は全く違っていらっしゃる!

 

 

まずはその髪!どういう結わえ方をしたら、そうなるのですか!

 

そのお召し物も、崩し過ぎです!何ともだらしない!

 

 

私がお仕えしたなら、キチンと直して差し上げます』

 

『プッ……ワハハハハ!!こりゃ参った!

 

そうかそうか!この幸村の様が、見ておれぬから仕えて正すと!』

 

『はい』

 

『面っ白い!気に入った!

 

 

六郎は儂が貰う!異論はないな、兄上!』

 

『う……うむ…』

 

では……私は!

 

 

信幸の使いとなった七隈……しかし信幸の顔は、納得のいかないような表情を浮かべていた。

 

 

(あぁ……私は『優れて』いないから……)

 

 

 

 

(だから!!)

 

 

攻撃の手を止めない七隈と六郎……

 

 

(私は今まで、信幸様の恥にならぬよう励んできたのだ!!

 

絶対に負けるわけにはいかぬ!!)

 

 

針が付いた先端を、六郎の右眼目掛けて投げつけた。

 

 

(そっちは、六郎さんの死角!!)

 

 

その攻撃を、六郎が咄嗟に手で針を防いだ。それを狙ってか、七隈は振り回していた六郎の鞭を引っ張った。引っ張られた拍子に、六郎はその場に倒されてしまった。

 

 

「ズルいぞ!右眼が見えないからって!!」

 

「戦闘にズルいは関係ない。ましてや、ルールが無ければね。

 

いかに、そこを庇いながら攻撃して相手にばれぬ様にするかだ」

 

「けど!」

 

「負ければ(死ねば)、それで終わり。己がいかに弱かったかだ(激しい兄弟喧嘩……)」

 

 

倒れた六郎に、七隈は寸鉄を投げつけ動けなくした。

 

 

「勝負あったな!」

 

 

二人の戦闘を見ながら、信幸は勝ち誇ったかのような笑みで幸村を見た。

 

 

舞台の上で倒れ、動けなくなった六郎を見下ろすかのように見る七隈……

 

 

「過日、右眼を潰したそうですね。

 

そちらは見えぬのでしょう。

 

 

あらゆる物事を記憶する眼……それを失くしたあなたは、もう優れてはいない」

 

「何を」

 

「だってそうでしょう?

 

水紋の眼のおかげで、蒼玉髄を手に入れたのですから……

 

 

しかし、その眼がない今、あなたは私と同じ……

 

なれば、私が継いでもいいはず!!」

 

 

七隈は腰から、小太刀を抜き取り六郎に向けた。

 

 

「この死合いに勝って、蒼玉髄をいただきます!!

 

蒼玉髄があれば、私こそ海野家が正統!!

 

 

信幸様により相応しい小姓となれる!!」

 

 

獲物を捕らえたかのように、七隈は倒れている六郎目掛けて振り下ろそうとした。

 

その時、六郎から只ならぬオーラが発動した。

 

 

「何だ!?」

 

「残念ながら、渡せません……

 

 

これはもう、私のものですから」

 

(右眼に、蒼玉髄!!)

 

右眼に巻いていた包帯を取りながら、立ち上がる六郎の右眼には、蒼玉髄が入れられていた。




城下町……

町の一角に民が集っていた。


「うわ……こりゃ酷いな……」

「追い剥ぎかい?」

「それにしちゃ、随分やり方が……」

「刀持ってるよ、この人たち。

お武家さんじゃないかい」

「ホントだ」

「誰がこんなことを……」


(何かしら?)


騒ぎに気付いたアナスタシアは、屋根から飛び降り民が集っている所へ向かった。


(こんな時に、城下で刃傷沙汰?)

「ズタズタじゃねぇか」

「誰か早く、お医者を!」

「一、二……全部で六人だ」

「六人も!?」

「ちょっとごめんなさいね」


集まる人混みの中を、アナスタシアは通りその現場を目にした。


そこは、血だらけになった武士が虫の息で、何とか生き延びている状況だった。


「(このやり口……

肩や腕の剣を斬って、相手を動けなくしている……

それも一瞬で、全員を……)

何か、入り込んだわね」
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