ソードアート・オンライン 〜黒い悪夢〜 作:Hiroto115
学校にあるベンチに座り、茜色に染まった空を見上げる。
この空を見るとアインクラッドのことを思い出す。
あの世界が崩壊を始める時、俺はアスナと一緒にこの空と崩壊する鉄の城をただ見守った。
遠い昔のことを思い出すように思いに老けていると突然声をかけられた。
「キリトくん、話って何?」
視線を空から目の前に立つ人に移す。
そこに立っていたのはアスナだった。
俺はユイにあの影の正体を調べることを頼んだあとALOをログアウトし、携帯でアスナを呼び出したのだ。
「ぁあ、ちょっと相談事があってな。」
「キリトくんが相談事なんて珍しいね。」
アスナがまるである得ないとでも言うかのように少し驚く。
「俺だって悩みくらいあるさ…。」
「それで、相談事って何かな?私の出来る範囲なら助けてあげられるけど…?」
夕陽が沈みかける。空は青と茜色が混じった色に変わる。学校というのに人気はない。
「……アスナ…。」
「ん?」
「もし、もしも。アインクラッドで失った人が…自分を恨んでいる人が悪夢として生き残った自分を責めてきた時、アスナならどうする?」
一瞬訪れる沈黙、それもそうだ。
俺のこの相談事はズルいものだ。アスナだって思い出したくないことがあるはずだ。
「…私…は…。」
その表情は此方からは伺うことができない。しかし、身体微かに震えているのがわかる。
「ごめん…。俺…アスナのこと全く考えてなかった。」
「ううん…、大丈夫だよ。…そうだなぁ。」
アスナが空を見上げる。空に輝くまだ少ない星々が瞳に映る。
彼女は思い出しているのだ。あの鉄城に置き去りにしてきた思いを、己の掌からこぼれ落ちた誰かの命を。
「私だったら…ホッとするかな。」
「え…。」
彼女からの回答は自分が予想していた答えとは違うものだった。
「悪夢ってその人の嫌な思い出だけどね。それは自分が受け止めなきゃいけないって思っているからだと思うの。だから、あの世界に置いてきた、救えなかった人たちが悪夢として出てきたら、『ぁあ、私はちゃんと覚えているだなぁ…。ちゃんと向き合おうとしているんだな』って思うんだ。」
その言葉を聞いて思わず感心する。
「アスナは強いなぁ……。」
その一言を聞いたアスナがフフッ、と笑う。そして此方に顔を向け、
ううん、私は強くなんてないよ。キリトくんの方がずっと強いよ
と言った
また予想外な言葉に目が点になる。
「だってキリトくん、受け止めるだけじゃ無くて立ち向かっているんだもん。」
立ち向かっている?俺の何処が…?
俺はただ痛みから逃げるために闘っただけだ。そこに立ち向かっているなんてことは何一つない。
「だって、悪夢なら負けてもただ目が覚めるだけでしょ?悪夢から逃げたいって言うなら、痛みから逃げたいって言うなら一瞬の痛みに耐えればいいんだもん。」
「俺は…。」
はい、そこまでっとアスナの細い人差し指が否定の言葉を放とうとした俺の口を閉じさせた。
「キリトくんならきっと悪夢を…過去を受け止めて、勝てると思う。ううん、そう信じてる。それにね、彼女…サチさんもそう信じていると思うよ。」
サチ…。彼女は俺が殺したようなものだ。だから、後悔なんて今まで何度やったか数え切れない。しかし、アスナの言葉には何か信じさせるものがあった。
「ぁあ…そうだな。」
それを聞いてアスナは納得したのかベンチから勢いよく立つ。
「はい、これで相談は終了!もう暗くなったし帰ろっか。」
それを見て思わず苦笑する。
「そうだな。送るよ、アスナ。」
「送りはいいかな。この時間はとっくに門限だし。お母さんにはちゃんと話したけど、門限過ぎにキリトくんと一緒に帰ると色々言われちゃうから」
アスナのお母さんはとてもキツいことを思い出す。それに俺があまりよく思われていないのはわかっている。
「そ、そうだな。」
校門まで色んなことを話し、校門のところで別れる。
「それじゃあね。キリトくん。」
「ぁあ、今日はありがとな。アスナ。」
結末は後で教えてね
とアスナは最後に言い。
俺とアスナは分かれた。
アスナと分かれ自分の家へと向かう途中、ポケットに入っていた携帯が鳴り出す。
それはユイが調査を調べ終わったとの報告だった。
SAOの三期の可能性大と聞いてとてもホッとしています。
早く動くユージオとアリスが見たい!