コードエクスギア・二人の復讐者   作:巫臨也

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凄い久しぶりの投稿です。まだ二話目なのに自分でも驚愕するほどの更新ペースの遅さ、どうにかせねば……


第一章
出会いとは必然なり


「えりゃっ!……チェストォ!………」

 

 模擬戦の途中とは思えない奇妙な唸り声に合わせて乱舞の様に振り回された木刀が、カンッカンッとオレの握る木刀と何度も当たり如何にも戦闘しているという空気を作り出す。

 直後、さっきのお返しと言わんばかりに攻撃者の木刀を大きく上部に弾き上げたオレの木刀が、対戦相手の首に接触するかどうかの所まで接近する。

 しかし、読まれたかの様に弾いたはずの木刀が首とオレの木刀のギリギリ数センチというぐらいの所に不意に出現する。

 互いに「ふっ」と微笑を見せると相手と距離を取るかの如く、バックステップを取り後退する。

 

「やりまーすねー。とても、ブラボーです!岩動(いするぎ)(はく)

 

「……お決まりの外国人のマネか?オマエの乱舞なんて当たってたまるか。ただでさえ木の棒は痛いんだから」

 

 カッコつけた言種で再度戦闘態勢に入る青年――――幼馴染で同学年の月下(げっか)(こう)は左足をゆっくり左斜め前に歩みを進めながらオレとの距離を確かめると、少し和らげな声で文句を垂れてきた。

 

「仕方アリマせーん、ウッドスティックソードの使い方なんて教わった事ないのデスから」

 

 日本人特有の黒がかった髪――日本人は基本黒に近い色だが――ではなく、まるで外国の人間のマネをするかの金色に近いこげ茶の髪を後ろで短く縛るコイツとは、幼少時代からの親友で普通なら小学校に通うであろう年代から此処『エクスギア学園』で共に苦楽を共にしてきた。なぜ香が黒髪に染め上げないのかは知らないが昔からこんな感じで、好きでマネてるのか元々の色なのかは絶対に教えてはくれない。分かる事をあげろと言うならば感極まった時にだけ何故かオレの事をフルネームで叫ぶという事ぐらいだ。

 その香が後ろ髪を結ぶのを確認すると、木刀を投げ捨て手首に巻いてあるバングル『エクスギア』に触れると固有の詠唱を呟く。

 

「紫苑なる剣に我が意思宿りしとき、紫雷姫(しらいき)の双剣よ此処に顕現せよ!!」

 

 詠唱の終曲と同時にエクスギアが紫色の閃光を発し、手首から消え去る感覚が腕を通じて脳に伝わる。閃光の中エクスギアが形状を変化させ、弐本の剣に変身するのを感覚的に感じ取り紫閃光の中に両手を勢い良く突っ込む。日本刀に酷似した長剣が双剣として手に収まる。

 唖然としているだけかと思っていたが香も何か固有の詠唱を呟くと、木刀を足元に置き、同じ様にエクスギアの形状を銃『火縄銃型』に変身させ、キメポーズ――決して凛々しい恰好ではない――を披露する。

 

「これで、五分五分デスね」

 

「いや、明らかにこっちが条件的に不利だ」

 

 捨て台詞のようにポツッと吐くと、右足に力を入れ瞬発的に力を後方に蹴流すと同時に香の懐めがけ俊足する。

 相対する香も火縄銃、名称『銃電雷(エレクトリシティバレット)』を猪突猛進中の珀に向かい三段連射(トレーズショット)するが、珀が身体に装着している赤白で装ったローブ『日本和装紅白(こうはく)』を正面に回し、放たれた三連弾を無力化する。はなたれた弾丸は実弾ではなく普通のゴム弾なので、至近距離で頭部や腹部に受けなければ死亡することや後遺症が残ることは殆どない。

 しかし、至近距離での被弾時の威力の程はプロボクサー並みのパンチ力があり、普通の人間なら気絶、運悪く当たり所が悪ければ死ぬことだってあり得ない話じゃない。

 珀は、銃弾回避に使った白ローブを脱ぎ捨てると、香との距離を極端に縮める。

 

 ――――これで四メートル。

 

「……はぁっ!」

 

 甲高い声で叫ぶと共に、大きく香へ跳躍し切りかかる。最初の俊足の効果も出ているのか低い姿勢からの高機動能力は失わずに接近に成功した。

 タイミングを読んだように上段から双剣を振り下ろす、キィーン!と気持ちいいほど耳障り金属音が双剣と銃電雷の接触により広大な草原フィールドに響き渡り、銃剣からは炎色の火花が散る。

 

「ここまで接近されちゃどうにもならねぇだろ。オレの勝ちだ……諦めろ………」

 

「いやデース…此処で負けを認めたらナイトの情けでもかけてくれますか……?」

 

「………それ武士の情けな……残念だがそれはないっ」

 

 力任せのつばぜり合いの中、和気藹々とした言葉を交わすが断ち切るように珀は双剣を下段に振りぬく。過度な力の集中により片方の雷色剣は刃芯にひびが入り、もう片方の紫色の剣にも極小だが刃先が破片となって飛び散った。

 それでも、攻撃はまだ終わりを迎えない。下に振り切った長双剣を手首のスナップを効かせ、漫画で出てくる忍者がクナイを持つように逆さまに持ち直すと再度切り上げる。

 合計四回の連続斬撃によって、香が両手持ちしていた銃電雷は見事真っ二つに壊れ、発砲するのが困難な状態まで持ち込むと紫雷姫をバングルに戻し腕に装着する。

 

「…オレの勝………利、じゃないか……」

 

 一瞬は勝利を確信したが、現状況に目を向けると自分が如何に無知で無策だったかがよく分かった。

 香は、手元で二つに壊れた銃電雷をそのまま捨てるかの如く手から離すと同時に足で木刀を蹴り上げ掴み、珀の首もとへやった。

 どんな人間でも頭と胴を切り離されれば死ぬ、それは確かな事で変えようのない世界の理でもある。もし仮にこの模擬戦が他国との戦争で実際に起こりうる場面と想定した場合、珀は間違いなく首を切られ死んでいただろう。

 自分でも内心死んでいたであろう事を理解しながら、諦めの様な表情を浮かべると首の左側に当たっている木刀を手で下方に退かす。

 

「ミーの勝ちデスね」

 

 小さくガッツポーズを決めた香が、軽く笑みを見せると、右手に握った木刀をゆっくり下ろす。

 誰かが戦闘終了を確認したのか地平線として見ていた背景の草原が、ガラス片を落とし砕けたように透けた青色のポリゴンになり消え去っていく。

 この現象が表わすものはエクスギア学園第三十九体育館で行われていた近接戦闘を模した、模擬訓練の終了を示しており、勝者は後片付けを敗者に任し帰り支度を早急に済ませて寮に帰宅する事が許される。敗者側も暫しの補修を日本軍兵士兼学園の先生から受け、まるで砂漠に単身放り出される様な地獄の体育館全てに及ぶ、大掃除を他の敗者と共に無言でやらされるペナルティをクリアした後なら寮への帰宅が許可される。

 それがこの『エクスギア学園』に最近広まり始めた文化らしい。

 そして、その問題の学園にはこの様な全校生徒約三万人を導入できる施設が二ケタ以上配置されているから驚きである。

 訓練結果に満足したのか香が不意に木刀を珀に投げ渡した。

 

「それじゃ今日も、これからもそのソードの後片付けをお願いネ」

 

「……ちっ、しゃーねーから今日もやってやるけど来週は香にやらせるからな。覚悟しとけよ」

 

「オーケイネ~、でもミーに一度でも珀がウィナーしたことが有りますか?」

 

 何の言葉のなかった。

 実際の所これまで嫌になるほど戦ってきてはいるが、その回数だけ敗北も味わってきている。一手を使い、尚それの先を読む父親からそう教わってきてはいた。が、それでも勝てない、まるで合衆国の戦闘兵器を相手にしているかの様な戦だった。

 P14に騙され小国への追いやられた日本の人型兵器『清姫』をオリジナルとし、合衆国によって改良が加えられた戦術人型兵器『オラシオン』、そのものだ。

 日本が所有するデータでは、『清姫』にはヴァリアブル鉱石が簡易加工され始めて、動物以上、人間未満の機体性能が発揮できる。しかし、合衆国はヴァリアブル鉱石の扱い方を知らない。それなのになぜ『オラシオン』を発明、軍事利用することが出来たのか、導き出される結論は一つ。

 

 P14が日本を裏切り合衆国と手を組んだ、それ以外に答えは存在しない。

 現に日本はP14との同盟を結ぶ時一つの条件を承諾したうえで、同盟を結んだはずだったからだ。

 

 『ヴァリアブル鉱石の扱い方、加工方法』これが同盟関係を結ぶ上に必要な条件。『清姫』もこの頃を原点とし開発され、合衆国との戦争に浮き足立っていた日本も必死だったのか『清姫』の造設技術を更なる向上、進化を求めてP14に提供している。

 

 それが、P14(やつら)の本当の狙いだと知らずに……な

 

 木刀を投げ渡された珀は、指定の木刀用保管庫に向かうと敗者が群がる人波の中をいつも通りすいすいと、すり抜けると、二刀を壁際に立てかけその場を後にした。

 

 

 

 あれから三時間が経ち、補修がやっとこさ終わりを告げ、帰路に立っていた。

 すっかり日は落ちて殆どの生徒が寮に戻り、各部屋で今日あった事のおさらいをしているだろう。

 今日の授業内容は、主にエクスギアの機能や種類、レベルと言った基礎的なモノだった。例えば、エクスギアは使用者の身体能力や精神力、経験が特に関係しており、所有者の身体能力が高ければ近接戦闘向きの武器に変化したり、させたりすることが可能である、とか、平均値が人並を超えていたりすると段階分けされたりする。

 最低ランクがBランク。エクスギア学園に通う生徒が全員これに該当し、訓練を受けた軍人と同じくらいの能力、知識を所有している。次がAランク。Bランク人間が三十人以上でやっと互角の勝負ができるくらいの身体能力の持ち主がこれに該当する。Bランクの人間に対し、Aランクの人間は約三分の一と言われ、エクスギア学園にも十人いるかどうかという稀少度で大概の生徒はAになれるかどうかの所まで行き、軍に配属になるケースが多い。そして最終ランクの特Aと呼ばれるレベルがこれまた人ならざる力を持ち、一人いれば小国なら軍事的にも、政治的にも、経済的にも崩壊寸前にまで追い込む程の能力があるらしく、日本に実在した特A者は『ラル』と呼ばれた日本に反旗を翻す小国を一夜にして滅ぼしたと記述に残っている。

 しかし、エクスギアは万能ではない。

 エクスギアは通常、大人は使用が困難な仕組みに設計されている。理由は単純、エクスギアの使用には過度な負担が肉体的、精神的にかかり、大人はそれに耐えることが出来ないからだ。その一方で子供が使用すると、潜在能力が極端ではあるが引き出されると成っている。それと、幼き少年少女たちにはまだまだ能力の伸びしろがあるが、大人になると今後の伸びが期待するに値しないと研究結果で証明され、ヴァリアブル鉱石も稀少な為か、製造を中止しているとか。

 オレは、道端に落ちているどこにでもある小石をけっ飛ばした。理由はないが、蹴りたくなったからだ。小石は予測不可能な軌道で学内に設置されている座椅子型のベンチ付近に転がり動きを止めた。

 すると、誰かが座っているのに気がついた。

 

「……こんな所でなに…やってるんですか?」

 

 珀は、和ベンチに静かに座り静寂と一体に成っている少女を見つけ、恐る恐るちょっと低い地声で話しかける。

 

「…………」

 

「返事がない。ただの屍の様だ、状態ですか」

 

「…死んでないわよ、勝手に殺さないで」

 

 ダーク・ヘアーショートのその少女は、ゆっくりと閉じていた目を開き、何もかもに興味が無くなったかの表情で珀を見つめた。

 

「何か、用?」

 

 とても深く色鮮やかな紫眼の奥には密にしたい何かがあるような気がするのだが、それよりも先に視界に映るその華奢な姿をおがんでいるとなんだか自然と頬が緩んでいくのを感じた。

 これが『一目惚れ』なのか? 『いやでも、そんなことは……』と自問自答を脳内で繰り返す内に、一つの言葉が頭に浮かんだ。

 

「結婚してください」

 

「えーっと……」

 

 ――ヤベー、何言ってんだオレ!

 確かに可愛くて背丈も平均、胸が驚くほどこれからの希望に満ち溢れストライクゾーンド真ん中の女の子が突然現れ上目遣い込の『何か、用?』なんて質問をされれば答弁には困るかもしれないが、それはない、それはないぞっ!!オレェ!

 

「じょ、冗談。別に用はないけどこんな所なにやってんのかなっと思っただけだから。幾ら学校の敷地内でもとっくに帰寮時間が過ぎてるのにおかしいだろ?あはは……」

 

「………そうね」

 

 小さくそう呟くと再度、静かにまぶたを閉じる。

 珀も同様に気恥ずかしさを隠しながら無言で前を通り過ぎる。

 

「……まって」

 

 何故か、停止の言葉をかけられる。

 やはり先の事か心臓の鼓動がゲームのコントローラーボタンの連打で有名な名人の十六連射なみに速くなるのを身をもって痛感させられる。

 このままだと完全セクハラ野次で訴えられかねないと思った珀は、人生の終わりを悟り冷たく坦々続くコンクリート床に正座し額を目にもとまらぬスピードで当てると『奥義・スライドイン土下座』を勢いよく繰り出した。

 その行動に少女はただ一言。

 

「バカなの」

 

 と心地良くなるくらい冷淡に呟いた。




まずはじめに読んでいただき有難う御座います。これから先少し長めになるのでご了承いただける様お願いいたします。私は、後書きを先に読んでしまう派なのでそんな方々に簡潔に物語説明をさせていただきますと、近世の日本と昔の時代背景を彩るような和風なコードギアスを目指し描かせています。ぶっちゃけた話、エクス『ギア』とか、『岩動』とかはそこから名取っており、それならオリじゃなくルルの方を書けよと思う方もいるかもわかりません。
しかし、恥ずかしながら基に決まっているキャラクターの言い草、仕草と言った独特の言い回しを自己流にアレンジし構成するのは少々難ありと感じ似せたオリ作なら長期を経てなら頑張れそうと思った次第に御座います。

気分屋ではございますが、習慣的にしていきたいと思っているのでもう一度オリジナル作品の中にコレを見つけたら是非読んでいってくださいねっ!
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