「ご馳走さまでした♪」
「ご馳走さまでした」
「ご馳走さまでしたっ!」
「お粗末様でした」
と、いうことで朝ごはん抜きは僕でした。
「玲、すまないな……私が三人分、と言ってしまったから……」
「いえいえ。もし言われてなくても三人分作ってたと思うし、大丈夫ですよ」
「いえ、私が帰ってきたのが悪いんです!昨日マヨヒガに泊まって今朝の朝食を自分で作れば……」
「……え?私も自分のせいにした方が良い流れ?」
一人戸惑っている紫様と自分に責任を押し付けようとする三人。なんだこれ。
「えっと、じゃあとりあえず、これから神社に行く……んですか?」
そもそもなんで神社に行くのかが謎なんだけどね。
「神社の素敵な巫女がスペカの素となるカードを持ってるのよ。久々に悪戯が出来るわね……」
何処と無く邪悪な笑みを浮かべている紫様はスルー。ていうか、この人結構Sだよね……
「……え、スペカって何ですか?」
「スペルカードルールといってな、妖怪と人間の決闘の方法があって―――」
藍さんが分かりやすく説明してくれた。要約すると、一定の回数相手の放った弾幕に当たるかスペカを使いきると負けらしい。
何よりも、競うのは"美しさ"。絶対に避けられない弾幕等は無し。それ以外は基本自由だそうで。
「あー、一応藍も来てくれない?霊夢と弾幕ごっこを実演して欲しいんだけど……」
霊夢、というのは神社の素敵な巫女の名前だろうか。
「大丈夫ですが……まだ少し仕事が残ってるので、それを終わらせてから向かいます」
「んー、分かったわー。それじゃあ、練習も兼ねてスキマ移動しちゃいましょうか」
「早く使いこなしたいんで望むところなんですけど……。今の僕の実力じゃ、変な所に飛んじゃう気が……」
「大丈夫よ。問題ないわ」
「それをフラグといいます」
出来れば回収したくない……
「もし変なところに飛んでも、私が迎えに行くから大丈夫よ。
じゃあ、私が先に行くから、私のいる場所を思い浮かべてそこに飛ぶイメージで、境界を越えてみなさいな」
「分かりました。やってみます」
「じゃあ、また後でねー」
紫様がスキマの中に潜っていった。
「えっと、イメージする……んだっけ」
式になったからか、何となく紫様のいる場所が分かる感じがする。
「昔みたいに闇雲に突っ込まずに、紫様のことを思い浮かべながら……」
……境界を――――越える!
「えいっ」
「……え?きゃあ!?」
境界を越えた先は……紫様の目の前だった。
……まあ、冷静に考えたら紫様のことを思い浮かべてたんだからこうなるよね。
バランスを崩した僕は、そのまま紫様にもたれかかった。
……失礼、語弊があった。紫様もバランスを崩して、僕が紫様を押し倒す感じになった。
「――す、すいませんごめんなさいわざとじゃないんです申し訳ありませんでしたっ!」
「……それはいいのだけれど早く退いてくれないかしら?」
「あ……すいませんでした」
急いで立ち上がった。
嫌われたかな……嫌われちゃったかなぁ……!
「―――玲亞。顔をあげなさい。そんなに気にしてないから大丈夫よ?式の失敗は主の責任よ。今度から気をつければいいわ……」
「は……はい」
許してもらえたようで良かった。
「やっぱり、紫様は優しいですね」
「!?」
ビックリしたのか、紫様は目を大きく見開いて僕のことを見つめた。
「…そんなことは……ないわよ。だって私――――」
「何よ……騒がしいわね」
神社の奥から、巫女服姿の少女が出てきて、会話は遮られた。特徴的なのは腋の部分が空いていること。なんだこれ。
「あら。霊夢、久しぶりねー」
この人が霊夢さんなのか。紫様の言いかけてたことが気になったけど、とりあえず会話を続けた。
「何しにきたのよ、紫……あと、その子は?」
「あ、名雲玲亞といいます」
「見てのとおり、最近幻想入りしたばかりの外来人よ」
「最近っていうか三日前ですがね……」
ていうか、霊夢さんがすごくめんどくさそうにしてる。紫様のことを見たときにもこんな顔してたなぁ……。めんどくさがりやさんなのかな。
「私は玲亞のために、スペカをもらいに来たのよ。はいお賽銭」
「はいこれスペカよ!
さすが紫、野口を入れるなんて分かってるじゃない!」
さっきとはうって変わって紫様のことを崇めるような目で見ている。
……若干霊夢さんのテンションがおかしくなってるな。そんなにお賽銭が嬉しかったのかな……
「あ、玲亞……だっけ?」
「はい。何ですか?」
「あなた、今は人里で暮らしているの?」
「あ、いや。今は紫さm「ええそうよ!ここに来る途中で道に迷ってたから私が案内してあげたの!」
「(……え、紫様どうしたんですか?)」
「(いいから話を合わせて)」
心の中で会話出来るなんて、式と主人って便利な関係だなぁと思う。
ていうか、このままだと霊夢さんを弄る以前に霊夢さんに弄られる予感……
「そうなんですよー。紫さ……んが案内してくれたお陰で助かりました」
危うく紫様といいかけたけど何とか誤魔化した、かな?
「……ふうん?なんか怪しいわね……」
霊夢さんが僕達をじろじろと睨む。勘が鋭そうだし、すごくバレそうな気がする。
「あ、紫様。それに玲」
鳥居を抜け、藍さんがやってきた。危ない助かった……
「(藍が来たから話題を変えられるわね。助かったわ。ナイス藍)」
紫様も僕と同じことを考えたようだったけど、それを藍さんにも伝えなかったのが間違いだった。
「ねえ藍。紫と玲亞ってどんな関係よ?」
「え?昨日から式と主人だが。うちに居候してるし」
「ぷ……ぷぷ……ぷはははははは!
こんな可愛い子が紫の式?勿体ないわー。博霊神社で働かせたいぐらいだわー。さて、とりあえず魔理砂に報告しなきy「……はいお賽銭。「樋口!?これで半年は持つわ!さすが紫!!分かってるわね!!」
霊夢さんのお財布事情はその脇の開いた巫女服のように寒かったようで、とりあえず、紫様は霊夢さんの口止めに成功したようだ。いや、そもそも何で口止めしたいのか分からないんだけど……
「(だって、なんか恥ずかしいじゃない?)」
「(うん、まあそれはそうですよね…)」
「(え、そうですか?)」
三人で心の中で会話する。明らかに霊夢さんが蚊帳の外だけど気にしちゃいけない。
「あ、そういえば玲亞はまだ弾幕ごっこをしたことがないのよね」
「はい。いや、でも弾幕の出し方とか分からないんですけど……」
「じゃあ初戦だし、私が少し手伝ってあげていいかしら?」
「げっ、紫!?それはセコいでしょ」
霊夢さんがすごく嫌そうな顔で紫様を見つめた。紫様は弾幕ごっこが強いのかな?
「大丈夫よー。アドバイスする程度だから」
「……まあそれぐらいならいいけど」
「じゃあ決まりね。とりあえず玲亞、弾幕を出してみなさい」
「いきなり無茶ぶりじゃないですか!?」
見たこともないし出しようがない。というか、弾幕ってそもそも何? 弾なの??
「ようやく私の出番が来たようだな…」
「あ、藍さん。」
「あら藍じゃない」
「誰だっけ?」
「とりあえず霊夢は後で殴るぞ?」
「お賽銭くれるならいいわ」
「まさかの了承!?」
どんだけ守銭奴なんだろう、霊夢さんって……
「……まあそんなことは置いておこう。
じゃあ、私が少し玲に弾幕のイロハを教えてくるから待っててくれ」
「分かったわ。早くしなさいよ?」
「待ってるわねー。霊夢お茶頂戴」
「くつろぐ気か!嫌よ!」
「お賽銭あげたでしょ?」
「お茶請けは何がいいかしら?」
……霊夢さん、態度変わりすぎでしょ。
「まあ、あの二人は放っておこう。あっちの森で少し弾幕の勉強をしようか」
「お願いしますー」
こうして、藍さんのパーフェクト弾幕教室が始まった。