東方界縫伝(旧)   作:織葉 黎旺

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やっと弾幕ごっこするのかー……


日の三。弾幕ごっこ、初陣。

 

 

 

 

「まず弾幕というのはだな」

「はい」

 

 移動した森の中で藍さんのパーフェクト弾幕教室が始まった。

 

「まあこんな感じで適当に念じれば出る」

 

 そういって、藍さんはそこら辺の木に手から出した光球をぶつけた。当然、木は折れました。

 ……弾幕って危なくない?

 

「実戦ではあれが大量に飛び交い、速度も更に速い訳だが……」

「それなんて無理ゲーですか」

 

 どこも『ごっこ』で済むような遊びじゃないよ……

 

「まあ、基本的に能力の使用は自由だから大丈夫だろ?玲の能力は役に立つんじゃないか?」

「と、言われてもまだ使いこなせてないんですがね……」

 

 難しい能力なのだ。乱用するとすごく疲れるし。

 

「むう……越えるだけとは行っても境界を開く、というだけでも体に負荷がかかるんだろうな」

「ご丁寧な解説ありがとうございます。あと、読心術を使うのはやめて下さい」

「お前が分かりやすすぎるだけだと思うぞ?あと、式同士だからある程度読み取りやすいのさ」

 

 ……そ、そーなのかー

 

「……まあそんなことはどうでもいい。そういえば、肝心のスペカを見せてなかったな」

「あ、お願いしますー」

 

 スペカってどんなのなのかな……自分のを作るときの、参考にもしたいな。

 

「じゃあやるぞ?式輝『狐狸妖怪レーザー』」

 

 そういって、スペカを発動させた。

 ……なんかいきなり森が半壊した。どうしてこうなった。

 

「と、まあざっくりこんな感じかな……」

 

「人間には無理ですよ!」

「え?霊夢とか魔理沙とかはもっと酷いことが出来るぞ?」

 

 ……人間じゃないな、その魔理沙って人も霊夢さんも。

 

「……で、なんかイメージは出来たか?スペカの」

「い、いや……全然出来ませんでした……」

「じゃあ後はやりながら身につけるしかないかな……」

「僕、この戦いが終わったら告白するんだ……」

「フラグを立てるな。ていうか、相手がいないだろ?」

 

 ……相手?流れで言ったからそんなこと考えて無かったなぁ……

 

 

 

 

 

「……紫様、とか?」

「ぶっ!?」

「おーい玲。顔が茹で蛸みたいに真っ赤になってるぞ?大丈夫か?」

「ちょ、いきなり変な冗談言わないで下さいよ!」

「あながち冗談じゃないんだが……まあいいか」

「…? なにか言いましたか?」

「いや、なにも?そんなことより、霊夢と紫様が待ってるぞ?逝ってこい。スキマ移動で」

 

 物凄い爽やかな笑顔で言う藍様。

 

「…さっきフラグ乱立しまくったし、回収しそうな気が…」

「大丈夫だよ。逝ってこい。責任は私が取る(紫様を玲が押し倒した場合の)」

「……逝ってきます」

 

 あ、誤変換しちゃった。これは終わるな。

 そう思いながら、スキマを開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ていっ、と。お?」

 

 今度はちゃんと神社の境内に着地出来たようだ。フラグを回収せずに済んで良かった。本当に良かった。

 

「……やっと来たの?」

 

 少し不機嫌そうな霊夢さんが出迎えてくれた。

 

「すいません、ちょっと色々弾幕ごっこの怖さについて学んでて……」

 

「ビビってるようじゃ私には勝てないわよ? これでも、幻想郷で1、2を争う実力はあるんだから」

 

「じゃあ1番は私ね」

 

「なによ。なんなら弾幕ごっこで決める?」

 

「私は構わないわよ?」

 

 ……なんかすごい険悪な雰囲気になってきた…

 

「あのー、お二方。僕の弾幕ごっこは……」

 

「ちょうど良いじゃない。玲亞を紫の代理として戦わせるってどう?」

 

「その話、乗ったわ。絶対勝つのよ、玲亞♪」

 

 そのときの僕の顔は、威圧する霊夢さんの笑顔と底知れぬ紫様の笑顔に挟まれて完全にひきつっていたそうだ。

 

「どうせなら賭けをしましょうよ。霊夢が勝ったらさっき無かったことにした私と玲亞が同棲してるって話を天狗に売りつけてもいいわよ?

 でも、その代わり玲亞が勝ったらさっき渡した諭吉と樋口と諭吉を返して貰うわ」

 

「ええいいわよ。どうせ私、負けないし」

 

「…自ら同棲っていうと余計に誤解を生む気が……」

 

 ……そういえば、幻想郷の通貨って円なんだね、と今さらながら思った。

 

「あのー、もうそろそろ始めていいですか?」

 

「いいわよ。先行はハンデとして譲ってあげるわ」

 

「っと……じゃあ行きますよ!」

 

 僕は駆け出して、とりあえず通常弾幕? を放ってみる。

 

「……へえ。稲妻の形かー。綺麗ね」

 

 僕の放った弾幕は、稲妻のように空気中を不規則に変化しながら走り、霊夢さんの元へ飛ぶ。

 

「だけど甘いわ!」

 

「え、飛んだ!?」

 

 比喩ではなく、霊夢さんの体が実際に宙に浮き、僕の弾幕は当たることなく消滅した。

 

「弾幕っていうのはねえ……こうやって、撃つのよ!」

 

「うわっ!?」

 

 霊夢さんの放った光球は、大小様々に僕の元へ飛んでくる。何とかその隙間を潜り抜けながらかわしつづける。

 

「玲亞ー!スペカを使うのよー!」

 

 縁側から紫様が叫んだ。というか、何でだろう。紫様に縁側でお茶を啜る姿が妙に似合うのは。

 

「……後で覚えておきなさいよ?」

 

「ちょ、何で怒ってるんですか!?」

 

「喋ってるなんて、随分余裕そうね?

 じゃあこれならどうかしら?霊符『夢想封印』!」

 

 今度は大きな光球が何個か束になって飛んできた。でも、大きい分逆に隙間が大きくなり避けやすい。

 

「本命はそっちじゃないんだけどね!」

 

 よく見ると、隙間にも小さなお札や光球が何個も交じっていた。

 しかも避けたはずの光球も不規則な動きで僕を惑わす。

 

「うっわ避けにくっ!?」

 

 それでも何とかかわすことが出来た。

 

「安心してていいのかしら、ねえ?」

 

 霊夢さんが不敵な笑みを浮かべていた。

 

「玲亞、後ろよ!」

 

「ちょ、え!?」

 

 さっき避けたはずの光球が追いかけてきていた。

 

「ホーミングアミュレット…あなたは逃げ切れるかしら?」

 

「無理ですよ!」

 

 そして何故霊夢さんは若干悪役っぽくなっているのか。なんか似合ってるし……

 

「うるさいわね!霊符『夢想封印・散』!!」

 

 霊夢さんにも心を読まれた!?

 そして、さっきのような大きい光球が飛んできた。

 

「同じように避ければっ!」

 

「甘いわ!」

 

 さっきと違い、一回隙間が広がったと思いきや、光球が僕を中心にして集まってきた。後ろからは追尾する光球。挟み撃ち、絶体絶命だ。

 

「玲亞!」

 

「分かってます!」

 

 主人の言わんとすることを察し、僕は能力を使った。

 目指すは霊夢の背後!

 

「終わったわね……」

 

「まだだ!」

 

 勝ったと思い完全に油断している霊夢の背後からスペカの発動を宣言する。

 

「境符『疾風迅雷の電光石火』!」

 

 霊夢さんに向かって、さっきのように稲妻が空を翔る。

 

「さっきと何も変わらないじゃない!」

 

「それはどうでしょうね?」

 

 スペカを発動した時に空中にいた僕は、当然重力に従い落下を続ける。

 だけど、地面に叩きつけられる寸前でもう一度スキマを開いた。

 

「ちょ……え?」

 

 驚くのも無理はないだろう。僕は再び霊夢さんの前に現れたんだから。

 

「自滅するつもり?」

 

 確かに、このままだと自分の放った弾幕に当たってしまうことになる。

 

「そんなわけ、ないでしょう!」

 

 ここで、もう一度目の前で霊夢さんに向けて稲妻を撃ち、境界を越える。

 今度は、霊夢の後ろへ。

 

「!?」

 

 咄嗟に放たれた目の前の弾幕を、霊夢さんはグレイズしながらかわす。

 

「まだまだ!」

 

 霊夢さんの背後から稲妻を放ち、即スキマ移動。霊夢さんの右から、左から、斜めから。とにかく撃ちまくる。怒涛の勢いで。

 

「くっ………」

 

 

 苦戦しながらも、霊夢さんは弾幕を避け続けた。そして、スペカの効力が切れて、霊夢さんは逃げ切ることに成功した。

 ――――かのように見えたけど。それさえも伏線でしかない。

 

「ふう。次は私の番よ!霊符、」

 

 ピチューン、と被弾音が響く。霊夢さんに弾幕が当たり、勝敗が決した。

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