「うわぁぁぁぁ!?」
「おい霊夢今なんか落ちたぞ?」
「大丈夫よ。そんなの日常茶飯事でしょ?」
スキマから落ちると、そこは上空。魔理沙さんと霊夢さんの目の前を真っ逆さまに落ちていった。
着地時に腰を痛めた上に軽く足を挫いた。異変解決とか絶対無理だよこれ\(^o^)/
「……イテテテ…」
「おーい大丈夫か?」
「あーもう、めんどくさいわね」
とか言いつつも降りてきてくれる霊夢さんは優しい。
「ほら、大丈夫?」
「はい、まあ何とか……」
「なら大丈夫ね。魔理沙、行きましょうか」
「おう。早くしないと置いてくぜ?」
「いやちょっと待ってちょっと待って!」
「あー? まだ幻想入りしてないネタをやるなよ」
「やるならダメよダメダメぐらいにしなさい」
「多分それもまだ生き残ってますけど……」
いや、エレキテルはもうそろそろヤバイかな…?
「って、そうじゃなくってですね!お二人はこの紅い霧の異変を解決しに向かってるんですよね?」
「ええそうだけど」
「いや、私は紅茶でも出してくれそうな洒落た館を探しているだけだぜ」
なんか一名目的が違うけどそれはスルー。
「あの、僕も一緒に行っていいですか?」
「ダメよダメダメ」
「ここで使うんですか……」
「危ないからダメだぜ。こういうのは専門家に任せて、素人は下がっといた方が身のためだぞ?」
「いやそれがですね。異変解決しないと、おうちに帰れないんです」
「ならホームレスで良いじゃない。自由で良いわよホームレス?折角懸賞の葉書を送っても、商品が届かないのが玉に瑕だけど」
「経験者なんですか!?」
今明かされる衝撃の新事実ぅ!っていうか、懸賞の葉書なんてどちらにせよ当たらないでしょ。
「ここらで真面目な話をしておくとだな。お前は確かに弾幕はそこそこ出来るが、飛べないから足手まといなんだよ」
「あっ……(察し」
「そういうことよ。ま、時間がかかっても構わないなら歩きでも行けないことは無いだろうし、まあ頑張ってね」
そういって浮き上がった霊夢さんは、魔理沙さんと共にあっという間に森の奥へと消えて行った。
「……歩きたく無いよー」
スキマ移動するのが手っ取り早いかもしれないけど、それはそれで疲れるし嫌だ。そうして出した結論は、
「……………Zzz」
その場で横になる、だった。いや、別に寝てないよ?寝てないんだよ?ちょっと休憩してるだけ。そう、羽休めだ。この異変の首謀者におにびを撃って火傷状態にしておいて、徐々に倒して行こうという戦法だ。羽休めは大事だからね、うん。
――とか何とか言い訳を考えているうちに、羽休めから眠るに技が変わった。これで体力全回復だよやったね!
「ねーねー」
ツンツン、とほっぺたを触られてる感触がする。
「ねえねえ」
フニフニ、とほっぺたを右へ左へ伸ばされている感触がする。
「あなたは食べても良い人類?」
「貴方は今まで食べたパンの枚数を覚えているのかしら?」
「ん……?」
二つの声に気づき目を開けると、辺りは少し薄暗くなってきていた。そして僕の顔を覗き込むように見ているのは可愛いリボンのついた金髪の女の子と、面白い形の帽子を被った水色の髪の女の子だった。
「……え、君達は?」
「宵闇の妖怪、ルーミア」
「永遠に幼い赤い月、レミリア・スカーレットよ」
小さいながらも謎の雰囲気を漂わせる少女と、小さいながらも威厳を漂わせる少女。
「……で、君達の関係は?」
「友達?」
「子分よ」
ふふん、と自慢気にいう青髪の少女と、一応友達だという金髪の少女。真剣に謎の組み合わせだ。
「で、僕に何の用?」
「あなたは食べられる人類?」
「貴方の血は何色かしら?」
「無論赤だし食べないで下さいっ!」
起き上がり、駆け出す。ダメだよこの子達完全に危ない人達だお友達にはなれそうにないよ。そう思いながら、とりあえずスキマを開く。この緊急事態なら、別に帰ってきても紫様も許してくれるだろう。
「ん……?」
しかし、異変に気づく。いつもなら見えている、あの不快なたくさんの目がない。スキマの中は、完全に真っ暗でその奥には何も見えなかった。
「逃げちゃダメなのだ」
「あー……なるほど」
納得した。金髪の少女の腕からは何か黒い霧のような靄のような物が見える。恐らく、少女の能力は“暗闇を操る程度の能力“だろう。多分、そのせいでスキマの中が隠されてしまったのだろう。
「逃げないで。別に、取って食おうって訳じゃないわ」
「食う気満々でしたよね」
「吸う気ならあるわよ?」
「食う気しかないわ」
少し落ち着こう、僕。とりあえず、血を吸えば満足してくれそうなレミリアという少女の方が危険度は低そうだ。どちらかと言えば、僕を食べる気満々のルーミアの方が危ない。
「……えーっと、ルーミアさん。弾幕ごっこであなたが勝てたら腕の一本ぐらいはあげますよ?」
「そーなのかー?」
「勿論、レミリアさんも。レミリアさんが勝ったら、血を吸わせてあげましょう」
「ふっ、それは良かった。私があなたに負ける運命なんて、見えないしね」
「そうですね、僕は絶対にあなたに勝てない。だって、僕はあなたと弾幕ごっこをしないから」
「……は?」
「弾幕ごっこをするのは、レミリアさん。ルーミアさん。貴女たちですよ」
「……え?」
「そーなのか?」
少し戸惑っている様子のレミリアさんと、理解しているのかいないのかきょとんとした様子のルーミアさん。
「そーです。僕は、勝った方のお願いを聞くことにしました」
「でもそんなお願いを聞くぐらいなら、私達二人であなたを襲って食べちゃえば済む話よ?聞くメリットなんてどこにも……」
「分かってないですね、レミリアさん。もしも僕が貴女たちと弾幕ごっこをすれば、確かに僕が負けるかもしれない。でも、その時はきっと貴女たちも只では済まない。僕は、なるべく人が傷つかない、平和な選択肢を選びたいだけですよ」
「それっぽいことを言って、私達を惑わすつもり?そんな安っぽい嘘に惑わされたりなんて……」
「面白そうだからいいよ?」
「ちょ、ちょっとルーミア!?」
味方の思わぬ寝返りに、あたふたとするレミリアさん。なんというか、今まで漂っていたただならぬ雰囲気――所謂カリスマかな?――が、一気にブレイクした感じだ。
「だって、レミリアに勝てば私が全部食べれるんでしょ?」
「おもいっきり違う!?」
いや、まあいいか……弾幕ごっこしてる間に、さっさと逃げればいいし。…あれ?なんか段々僕が卑怯者になってる気が……
「待ってルーミア。もうちょっと話し合いましょう?」
「夜符『ナイトバード』」
「ちょ!?」
レミリアさんの話を聞かずに、空中に浮き上がり、スペカを発動するルーミアさん。なんかすごく目が怖い。獣の目をしてるよ……食欲って怖いね。
「ふ、ふふふふふ……この夜の帝王をコケにした、その罪は重いわよ……?」
そう呟き、背中の蝙蝠のような羽根を広げて浮き上がるレミリアさん。
――あれ?そういえば、普通の妖怪ならルーミアさんみたいに人肉を求める筈なのに、なんでレミリアさんは血液なんだろう?
「天罰『スターオブダビデ』!」
そこで僕は、血を求める妖怪が一種族だけあることを思い出した。
――そう、吸血鬼という種族が。