過程を省いて結果だけ言わせてもらうと、レミリアさんの圧勝だった。それこそ、ぐうの音も出ない程の。
「……ぐー」
「寝てる!?この状況で寝たの!?」
図太いというかなんというか……色々すごいな。実は大物なのかも?
「……ふう」
「あ、お疲れ様です」
「ありがとう。ふー、なんか喉乾いちゃったわね」
「ジュースでもお持ちしましょうか?」
「ありがとう。気が効くわね♪」
「いえいえー。……ん?」
んん?
「あのー、レミリアさん?僕の首を掴んでどうかしましたか?」
「ほら、その方が血を吸いやすいじゃない?」
「あー、なるほど。……え?」
「えっ?」
「あ、忘れてた!?」
血が吸われちゃうぅ!?
「待って待って待ってくださいっ!」
「だが断るっ♪」
「ぎゃー!?」
レミリアさんの鋭い牙が僕の首筋の皮膚を貫き、溢れ出る鮮血を啜っていく。
「ひゃんっ……うっ………」
「ふー……ご馳走様でした♪」
「………」
お粗末様でした、とはとてもじゃないけど言えなかった。
一気に血が抜けたせいか、視界がチカチカする。思わず、その場に寝転んだ。
「ご馳走様でした。……確かに頂いたわよ?」
「……え?」
レミリアさんの方を見ると、空中をただじっと見つめているだけだった。
「……あのー、レミリアさん?」
「……よし、そろそろ終わったかしら」
「あのー、レミリアさん??」
「あ、まだいたの?」
「レミリアさん!?」
え、ちょっと酷くない!?
「もう貴方に用は無いから何処にでも行っていいわよ。私は忙しいの」
「なんですかその扱いの違い!?」
上げてから下げる、って一番傷つくことだと思うんです。
「じゃあね」
「ちょ、待ってくださいよ!?」
レミリアさんはその蝙蝠の様な羽根(翼?)を羽ばたかせ、空へと飛んでいった。
「……うー」
どうしよう。完全に今、黒幕居たけど見逃しちゃったし…ていうか僕なんかがあんな人に敵う筈が無いし…
「諦めるのかしら?」
「ゆ、ゆゆゆ紫様!?」
スキマから突如現れる紫様。こういう沈んでるタイミングで来られると色々困ります。
「いや、だってその……僕なんか、霊夢さんや魔理沙さんと違ってただの人間だし…勝てるはずがないです。勝負にすら、なるかどうか…」
「特別な人間なんていないわ。人も妖も関係は無い。今の貴方に必要なのは、信じる心」
思い出しなさい。貴方は私の式なのよ?と、不敵な笑みを浮かべる紫様。
「大丈夫。心配はいらないわ。私も、見守ってる」
「……紫様」
「っていうか、そもそも紫様がレミリアさん倒せば良くないですか?」
「出来る物ならさっさとそうしたいわよ!」
「物騒ですよ!?」
「……失礼、取り乱しましたわ。でも私がやるわけには行かないわ。私はこの物語には不要な出演者。これは、貴方達の物語なのだから」
優しく微笑む紫様。
「さあ……行きなさい、名雲玲亞。自分勝手な吸血姫に、文句を行って来てやりなさい」
「……はい」
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「そんな訳でショートカットしてレミリアさんの部屋の中です」
「ええええぇ!?」
目の前のレミリアさんもびっくり仰天。種明かしすると、普通に境界を越えてきただけだ。紫様曰く、「ちょうどあいつが玲亞の血を吸ってくれてたおかげで居場所が分かってよかったわ。皮肉なことにね」とかなんとか。ちょっと意味は良く分かんなかったけど。
「ふん、まあいい。お前が異変を解決しにきたというなら、残念ながらそれは叶わない。これは私のーー悲願なのだから。邪魔するお前は、ここで散れ!」
「あー、ストップストップ。ちょっと待ってください」
「……は?」
「少しだけ、お話ししませんか?」