東方界縫伝(旧)   作:織葉 黎旺

19 / 53
紅の四。永遠に幼き紅い月VS八雲の一閃

 

 

 

 

「……で、話ってなによ」

 

「いやー、なんというか状況を整理しようかなー……と」

 

 不機嫌そうにこちらを睨むレミリアさん。現在、紅魔館の広い広ーい円卓を、贅沢に二人で貸し切って晩餐を頂いてます。

 

「あ、ジュースおかわりお願いします」

 

「お持ちしました」

 

「ありがとうございます、咲夜さん」

 

 一礼して消える咲夜さん。彼女の能力は“時間を操る程度の能力“だそうで、パシr……ゲフンゲフンメイドとしてとても有能らしい。

 

「…その程度のことでこの館を訪ねて来たのなら、今すぐお帰り頂こうかしら……生憎、そろそろ別の客が来るみたいだし」

 

 耳を済ますと、どこからか爆発音。霊夢さんと魔理沙さんだろうか。二人が戦っているのだろうか。

 

「レミリアさん、霧を出しているのは貴方なんですよね?」

 

「ええそうよ」

 

「で、それを止める気は無い……」

 

「言うに及ばず。ていうか、今更そんなくだらないことを聞きに来たのだったら……本気で殺すわよ?」

 

 刃物の様に、鋭い視線が僕を刺す。それだけで死ねそうな気がした。

 

「一応形式上聞いただけですよ。平和的解決も望めないかなー、と思って」

 

「へえ?ってことは、私と殺る気?」

 

「まあ、そうなりますよね」

 

 殺気を帯びた視線は一転、獲物を見つけた獣の様に静かに微笑む。つり上がった口元から、鋭い牙が覗き見えた。

 

「短絡的ね。そもそも、霧を出すことで人間の誰が迷惑するの?」

 

「紫様が迷惑するそうなんですよ。やめてもらえません?」

 

「なら尚更やめないわ」

 

「あ、それとあれです。さっき吸血された恨みです」

 

「細かいこと気にするわね。貴方は食事をするとき、食べられる食材の気持ちを考える?」

 

「少しは考えますよ?ちゃんと食べた物も記憶してますし」

 

「貴方は今まで食べたパンの枚数を覚えているのかしら?」

 

「一枚足らず。ちなみにカチカチのフランスパンでした」

 

「で?やるの?やらないの?」

 

「やりたくないです」

 

「あらそう。お腹いっぱいだし丁度良かったわ」

 

「そうなんですか、僕は貧血でフラフラしてきました」

 

「ご飯は食べさせてあげたじゃないの?」

 

「あれはあれですよ、あれ。そう、腹ごしらえ」

 

「……人間って面白いわね。それとも違うのかしら?」

 

「一応人間です」

 

 レミリアさんはふと、上を向く。つられて見ると、いつの間にか屋敷の屋上にいて、月は狂う程綺麗な真紅に染まっていた。

 

「――こんなに月も紅いから」

 

「こんなに月が紅いから?」

 

「殺して解体して並べて揃えて晒してあげるわ」

 

「ちょ、人間失格!?」

 

 そう叫んだと同時に、バックステップで後方に飛ぶ。お互いに相手を見据え、言葉と弾幕を交わす。

 

 

「こんなに月も紅いから、遊びで殺してあげるわ」

 

「物騒な夜になりそうですね」

 

「暑い夜になりそうだわ」

 

 なにはともあれ、っていうかこれが最初で最後の戦いになるわけだけど。

 

 異変解決は、もう目の前みたいだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。