「……で、話ってなによ」
「いやー、なんというか状況を整理しようかなー……と」
不機嫌そうにこちらを睨むレミリアさん。現在、紅魔館の広い広ーい円卓を、贅沢に二人で貸し切って晩餐を頂いてます。
「あ、ジュースおかわりお願いします」
「お持ちしました」
「ありがとうございます、咲夜さん」
一礼して消える咲夜さん。彼女の能力は“時間を操る程度の能力“だそうで、パシr……ゲフンゲフンメイドとしてとても有能らしい。
「…その程度のことでこの館を訪ねて来たのなら、今すぐお帰り頂こうかしら……生憎、そろそろ別の客が来るみたいだし」
耳を済ますと、どこからか爆発音。霊夢さんと魔理沙さんだろうか。二人が戦っているのだろうか。
「レミリアさん、霧を出しているのは貴方なんですよね?」
「ええそうよ」
「で、それを止める気は無い……」
「言うに及ばず。ていうか、今更そんなくだらないことを聞きに来たのだったら……本気で殺すわよ?」
刃物の様に、鋭い視線が僕を刺す。それだけで死ねそうな気がした。
「一応形式上聞いただけですよ。平和的解決も望めないかなー、と思って」
「へえ?ってことは、私と殺る気?」
「まあ、そうなりますよね」
殺気を帯びた視線は一転、獲物を見つけた獣の様に静かに微笑む。つり上がった口元から、鋭い牙が覗き見えた。
「短絡的ね。そもそも、霧を出すことで人間の誰が迷惑するの?」
「紫様が迷惑するそうなんですよ。やめてもらえません?」
「なら尚更やめないわ」
「あ、それとあれです。さっき吸血された恨みです」
「細かいこと気にするわね。貴方は食事をするとき、食べられる食材の気持ちを考える?」
「少しは考えますよ?ちゃんと食べた物も記憶してますし」
「貴方は今まで食べたパンの枚数を覚えているのかしら?」
「一枚足らず。ちなみにカチカチのフランスパンでした」
「で?やるの?やらないの?」
「やりたくないです」
「あらそう。お腹いっぱいだし丁度良かったわ」
「そうなんですか、僕は貧血でフラフラしてきました」
「ご飯は食べさせてあげたじゃないの?」
「あれはあれですよ、あれ。そう、腹ごしらえ」
「……人間って面白いわね。それとも違うのかしら?」
「一応人間です」
レミリアさんはふと、上を向く。つられて見ると、いつの間にか屋敷の屋上にいて、月は狂う程綺麗な真紅に染まっていた。
「――こんなに月も紅いから」
「こんなに月が紅いから?」
「殺して解体して並べて揃えて晒してあげるわ」
「ちょ、人間失格!?」
そう叫んだと同時に、バックステップで後方に飛ぶ。お互いに相手を見据え、言葉と弾幕を交わす。
「こんなに月も紅いから、遊びで殺してあげるわ」
「物騒な夜になりそうですね」
「暑い夜になりそうだわ」
なにはともあれ、っていうかこれが最初で最後の戦いになるわけだけど。
異変解決は、もう目の前みたいだった。