「……ん、こんなんでいいかな」
出来上がった物を少し味見してみた。久々にしては上出来かな。
「紫さんー、ご飯できましたよー」
「待ちかねたわ」
居間では、紫さんが卓袱台に頬杖をつきながら待っていた。
「お口に合うか分かりませんが…どうぞ」
「いただきますわ」
スプーンで玉子とチキンライスをバランスよく取り、口に運んでいる。
「……どうですか?」
「うん、美味しい。玲亞は料理が上手いのね、私の親友がこれを食べたらすぐに雇うと思うわ」
「あはは……それぐらいしか、取り柄がないので」
「もしかすると、私の式より上手いかもしれないわね……」
……式?
「式って、式神ですか?」
「ええ。尻尾のキュートな、家事仕事万能の式神よ」
家事仕事万能って……まあ、紫さんは自分でやるような人には見えないしね。
……ん、あれ?
「……尻尾?」
「ええ。それがどうかした?」
「え、いや、その……どんな人なんですか?」
「いや普通に狐だけど――
――あ、そうだったわね。妖怪は嫌いだったっけ……」
むぅ……と、紫さんが卓袱台の上に頬杖をつきながら考えてくれているようだった。食事中ということを考えると行儀が悪いが、何分自分のことを心配されているので注意出来ない。
や、そもそもどんな状況だろうとこの人に注意なんてしないだろうけど。
「……あのー、紫さん?僕なら大丈夫ですよ…心配なさらなくても」
確かに妖怪は嫌いだけど、だから会わないというんじゃ食わず嫌いをしているような物だ。それに、紫さんの式だというのならきっと安心だ。……いや、会ってまもない人をなんでそんな簡単に信用してるんだろう僕。
「ん…そう?それならいいのだけれど……」
紫さんはまだ少し心配してくれているようだった。人に心配をかけるのは、あまり好きではないのだけれど。
「紫さんは、優しいんですね」
「……え?」
驚いたのか、紫さんの声色が急に上がった。
「優しい……私が?」
「ええ。だって、出会ったばかりの僕にも親切にしてくれてるじゃないですか。今までも、能力がある人を幻想郷に呼び寄せてたりしたんですよね?それって、居場所を与えてくれてる……ってことじゃないですか」
僕は能力のせいで疎まれてきた。だから、孤独の辛さとやり場のない怒りは分かる。
幻想郷のように、自分の能力を受け入れて認めてくれる場所がある……というのは、とても良いと思う。
「……幻想郷は全てを受け入れるのよ……それはとても、残酷なことだけれど」
紫さんが何処からか扇子を取りだし、口元を隠しながら言った。
「……コホン。とりあえず、今日はここに泊まりなさいな。これからのことは、また明日決めましょう」
「はい」
夜ご飯の前に、食べ終わったら今後のことを話す……と言ったのに何気に先伸ばしになってるけど、まあいいか。
「じゃあ、お休みなさい」
「はいっ。……え?」
紫さんがニコッと微笑んだ瞬間、足元に浮遊感を感じた。
「じゃあまた明日お会いしましょう♪」
「うわぁぁぁ!」
暗いスキマの中に、僕の絶叫が木霊していた。