「……この先かしら?」
「多分そうでしょうね」
結界の奧に向かってふわふわと飛んでいく。
――っていうか、これはどう考えても世界と世界を繋いでる物だと思うんだけど……果たして、この先には何が?
「着いたわね」
「着きましたね」
結界を抜けると、辺りは少し薄暗く……それでいて薄明かるく?見えた。矛盾しているが実際そんな感じ。太陽なんかは何処にも見えず、そして電灯なんかは何処にも無いのにそれでいて真っ暗ではない。
「何処でしょう……ここ」
回りには森が広がっていて、目の前にはおあつらえ向きに階段がある。登れ――とでも言いたいのか。
「さあ……でも、何かしらの境界を越えた先ではあるでしょうね」
それは僕が何よりも思っていたことだった。何となく、いつも僕が境界を越える時と似た感覚だったから。
「ここが何処なのか……まあそんなのは、この先にいる奴に聞けば良いわ」
「ですね」
プカプカと階段を上っていく。大分飛んだはずだが、まだ階段の終わりは見えない。
と、その途中に障害物が。
「みんなが騒がしいと思ったら……生きた人間だったのね」
「ほら、第一村人発見したじゃない」
「多分村では無いですよ?」
間の抜けた会話に、現れた銀髪のおかっぱ頭の少女は顔をしかめる。
まあそれはそうだろうが。
そして霊夢さんが疑問を挟む。
「……まさかと思ったけどここって…」
「そう…昔は生きていた者が住まう処よ」
「まさかとか思ってなかったよね絶対」
普通にここどことか言ってたしね。
……ん、あれ?
「昔は生きていた者が住まう処……?」
「ここは冥界、死者の国」
「それにしては暖かいわね」
そう、何故か知らないけどここは暖かい。
「ていうか、普通の人間が入って来れたら危ないでしょうが!」
「ちゃんと結界が張ってあったでしょうに……『入るな』っていう意思表示でしょう」
「むしろ『この先異変の犯人在中』って感じだと思いましたけどね」
うん、絶対そんな感じ。わざわざ結界を張ってるぐらいだしそういうことだよね?
「…人間がここ白玉楼に来ることは、それ自体が死のはずなんだけど」
銀髪の少女が何やら物騒なことを呟いた。
え、マジで……!?
「ご覧の通りよ」
「多分元気ですよね!足ありますし!!」
「……まあいいわ、あなたたちの持ってきたなけなしの春で、西行妖は満開になる」
「え?なけなしの春?」
「あ、これのこと?ふうん、これ春の元だったの」
霊夢さんが持っているのは桜の花弁の様な物。なんでまだ咲いてないのにそんなものを……
「黒幕と猫と楽団をぶっ飛ばしたら手に入ったわ」
「戦利品だった!?」
「大人しくそれを寄越すなら、その命は貰わないでおく」
「……あげないって言ったら?」
「当然奪う」
「っていうか西行妖って?」
「ああ、それって……」
「知ったかぶらないで下さい霊夢さん」
「うちの妖怪桜よ」
「へー、妖怪桜ですか。龍が宿ってたらドラゴン桜ですね!」
「絶対にそれはないわね」
んー、でも何にせよ一目見てみたいよなぁ、それ。まあ危ない物なんだろうけど。
「……玲亞、先行っていいわよ。っていうか行きなさい」
「え?」
霊夢さんが珍しいことを言ってる。自分がでしゃばって異変解決(ドヤァ
ってするかと思ったのに。
「何か嫌な予感がするから、後は任せた」
「僕をスケープゴートに使っただけだった!?」
まあ妖怪桜とか如何にも危なそうな物、確かに近付きたいとは思わない。
……いや、ちょっと見てみたいけど。
「行かせるか!」
「霊符『夢想封印』!」
霊夢さんの十八番、夢想封印が飛ぶ。今のうちに行け、とでも言いたげにこちらを見つめる霊夢さん。
「ありがとうございます!」
はよ行け、って感じでしっしっと手を振られた。お辞儀をしてから全力で階段を上っていく。階段の終わりは、もうそこに見えた。
「足止めとは小癪な……でも、あんな人間一人でお嬢様に勝てるはずが無い」
「大丈夫、あなたを倒してすぐに私も追いつくから」
「……妖怪が鍛えたこの桜観剣に、斬れぬものなどあんまり無い!」
咲夜さんを出すタイミングとは←