東方界縫伝(旧)   作:織葉 黎旺

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春雪の四。気がついたら冥界入り

「……この先かしら?」

 

「多分そうでしょうね」

 

 

結界の奧に向かってふわふわと飛んでいく。

――っていうか、これはどう考えても世界と世界を繋いでる物だと思うんだけど……果たして、この先には何が?

 

 

 

 

 

 

「着いたわね」

 

「着きましたね」

 

 

結界を抜けると、辺りは少し薄暗く……それでいて薄明かるく?見えた。矛盾しているが実際そんな感じ。太陽なんかは何処にも見えず、そして電灯なんかは何処にも無いのにそれでいて真っ暗ではない。

 

 

 

 

 

「何処でしょう……ここ」

 

 

回りには森が広がっていて、目の前にはおあつらえ向きに階段がある。登れ――とでも言いたいのか。

 

 

 

 

 

「さあ……でも、何かしらの境界を越えた先ではあるでしょうね」

 

 

それは僕が何よりも思っていたことだった。何となく、いつも僕が境界を越える時と似た感覚だったから。

 

 

 

 

 

「ここが何処なのか……まあそんなのは、この先にいる奴に聞けば良いわ」

 

「ですね」

 

 

プカプカと階段を上っていく。大分飛んだはずだが、まだ階段の終わりは見えない。

と、その途中に障害物が。

 

 

 

 

 

 

「みんなが騒がしいと思ったら……生きた人間だったのね」

 

「ほら、第一村人発見したじゃない」

 

「多分村では無いですよ?」

 

 

間の抜けた会話に、現れた銀髪のおかっぱ頭の少女は顔をしかめる。

まあそれはそうだろうが。

そして霊夢さんが疑問を挟む。

 

 

 

 

 

「……まさかと思ったけどここって…」

 

「そう…昔は生きていた者が住まう処よ」

 

「まさかとか思ってなかったよね絶対」

 

 

普通にここどことか言ってたしね。

……ん、あれ?

 

 

 

 

「昔は生きていた者が住まう処……?」

 

「ここは冥界、死者の国」

 

「それにしては暖かいわね」

 

 

そう、何故か知らないけどここは暖かい。

 

 

 

 

 

 

「ていうか、普通の人間が入って来れたら危ないでしょうが!」

 

「ちゃんと結界が張ってあったでしょうに……『入るな』っていう意思表示でしょう」

 

「むしろ『この先異変の犯人在中』って感じだと思いましたけどね」

 

 

うん、絶対そんな感じ。わざわざ結界を張ってるぐらいだしそういうことだよね?

 

 

 

 

 

「…人間がここ白玉楼に来ることは、それ自体が死のはずなんだけど」

 

 

銀髪の少女が何やら物騒なことを呟いた。

え、マジで……!?

 

 

 

 

 

 

「ご覧の通りよ」

 

「多分元気ですよね!足ありますし!!」

 

「……まあいいわ、あなたたちの持ってきたなけなしの春で、西行妖は満開になる」

 

「え?なけなしの春?」

 

「あ、これのこと?ふうん、これ春の元だったの」

 

 

霊夢さんが持っているのは桜の花弁の様な物。なんでまだ咲いてないのにそんなものを……

 

 

 

 

 

「黒幕と猫と楽団をぶっ飛ばしたら手に入ったわ」

 

「戦利品だった!?」

 

「大人しくそれを寄越すなら、その命は貰わないでおく」

 

「……あげないって言ったら?」

 

「当然奪う」

 

「っていうか西行妖って?」

 

「ああ、それって……」

 

「知ったかぶらないで下さい霊夢さん」

 

「うちの妖怪桜よ」

 

「へー、妖怪桜ですか。龍が宿ってたらドラゴン桜ですね!」

 

「絶対にそれはないわね」

 

 

んー、でも何にせよ一目見てみたいよなぁ、それ。まあ危ない物なんだろうけど。

 

 

 

 

 

「……玲亞、先行っていいわよ。っていうか行きなさい」

 

「え?」

 

 

霊夢さんが珍しいことを言ってる。自分がでしゃばって異変解決(ドヤァ

ってするかと思ったのに。

 

 

 

 

 

 

「何か嫌な予感がするから、後は任せた」

 

「僕をスケープゴートに使っただけだった!?」

 

 

まあ妖怪桜とか如何にも危なそうな物、確かに近付きたいとは思わない。

……いや、ちょっと見てみたいけど。

 

 

 

 

 

 

「行かせるか!」

 

「霊符『夢想封印』!」

 

 

霊夢さんの十八番、夢想封印が飛ぶ。今のうちに行け、とでも言いたげにこちらを見つめる霊夢さん。

 

 

 

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

はよ行け、って感じでしっしっと手を振られた。お辞儀をしてから全力で階段を上っていく。階段の終わりは、もうそこに見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「足止めとは小癪な……でも、あんな人間一人でお嬢様に勝てるはずが無い」

 

「大丈夫、あなたを倒してすぐに私も追いつくから」

 

「……妖怪が鍛えたこの桜観剣に、斬れぬものなどあんまり無い!」










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