やっと妖々夢終了(のはず)。次回から萃夢想!
「ただいまー……」
玄関の引き戸をゆっくり開け、静かに中に入っていく。特に何かしたわけではないけど何となく、この家に帰ってくるのが辛いというか苦しいというか……
別に疚しい事は無いのに何故か胸が痛い。緊張というか何というか。とりあえず意を決してゆっくりと居間に向かう。
「お帰りなさい」
「ただいまー……ってえっ!?うぇっ!?!?」
めちゃくちゃ動揺する。動揺し過ぎて奇声を上げてしまった。目の前に現れたのは、眠っていたはずの紫様だった。
「あら?どうしたの?幽霊でも見ちゃったみたいな顔して」
「え……いや、だって紫様……寝てたんじゃないですか?」
「狸寝入りよ?」
「え!?」
今明かされる衝撃の新事実!?
「まだ私の出るタイミングじゃないかなーと思ってずっと寝てたわ」
「寝てたわじゃないですよ!!」
ビクッ、と紫様の体が一瞬小さく震えた。感情や心情をあまり表に出さないこの人にしては珍しいと思った。
「全くもう……どれだけの人に心配かけたと思ってるんですか!?春になると起きるとか言われたから異変解決したのに一向に起きる様子が無かったし……本当、何のために異変解決したのかとかよくわかんなくなったし……」
「……玲亞」
心配そうな表情でこちらを見つめる紫様。何故か少し泣きそうな気がした。
「ごめんなさい、心配かけたわね」
「……ぁ…」
ギュッと抱き締められた。紫様の細い腕にこんな力があったのか、というほど強く。強く強く強く強く一一
「っていうか痛い!?痛いです!?」
「あ、ごめんなさい…」
一歩後退り、申し訳なさそうにシュンと俯く紫様を見て、少しクスッと笑ってしまった。そんな僕を見て紫様も少し微笑んだ。
「紫様、その……色々と僕もご迷惑おかけしました。なんか妖怪になりかけちゃってるみたいだし……」
「その、そのことなんだけどね?」
紫様は言いづらそうに帽子を深く被り直した。
「あの異変に貴方を関わらせたのは私のせいでもあるようですし……もし貴方が妖怪になっても、私はそれを受け入れる」
「……え?」
耳を疑った。ルールに公正な紫様はそういう特例は許さないと思っていた。そして紫様はお決まりの決め台詞を呟く。
「幻想郷は全てを受け入れますわ一一一それはそれは、残酷なことですけれど」
「…いや、幻想郷よりも僕は……ッ」
貴方に受け入れてほしくて、それが嬉しかった。とは言えなかった。言おうとすると今度こそ涙腺が刺激されるのを感じた。徐々に目頭が熱くなってきて………
「……紫様……っ!」
今度は僕の方から紫様にぎゅーっと抱きついた。突然の行動に紫様も少し驚いた様子だったけど、抱き返してくれて頭を撫でてくれた。
「……ごめんなさいね、玲亞」
「……紫様」
「何かしら?」
「大好きです」
「あらそう………………え?」
きょとんと言う効果音が聞こえた様な気がした。紫様の間の抜けた表情。そして無意識の内に変なことを言っていたことに気づく。
「あ……いや、いやいやいやいや違うんです!!大好きっていうのはほらその人として好きっていうか人格が好きっていうか思想が好きっていうか!!!そういう意味であって別にそんな………」
「……玲亞」
再び強く抱き締められる。しかし今度はそれでいて何処か優しい気がした。
「……私も………」
「え……?」
囁く様な小さな声は僕の耳には届かなかった。そして聞き返そうとした時に、背後からドサッという何かを落とした様な大きな音が聞こえた。
「「…………」」
一回離れて恐る恐る振り返るとそこには藍さんが立ち尽くしていた。足元には果物や野菜がゴロゴロと転がっている。
「……お邪魔しました」
「いや藍さんちょっと待ってください誤解なんです誤解!そんな別に特に何かあったわけじゃないですはい!!」
「ごゆっくり」
「待ってそんな離れようとしないで!?」
焦る僕と勘違いする藍さん。僕達を見ながら紫様はクスッと笑った。
一一八雲家は、今日も平和(?)です。
霊夢「まとめ方下手くそよね」
言わんといて……