東方界縫伝(旧)   作:織葉 黎旺

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注意:お粗末な戦闘シーン


萃の三。Stage1一時間を越える一

 

 

 

 

 

「いてっ!?」

 

スキマから乱暴に落とされ、腰を打ってしまった。視界には目を悪くしそうな紅紅紅。腰を擦りながら立ち上がると、とりあえずフラフラと歩き出す。

 

 

「んー、紅魔館ってことはレミリアさんかフランちゃんか……あ、あと美鈴さんかパチュリーさんか」

「残念、私ですわ」

 

音もなくいきなり視界に出現したのは咲夜さんだった。紫様以上に心臓に悪い登場の仕方だと思う。

 

「ビックリしちゃうんでやめてください、その登場」

「言うほど驚いてないし良いでしょう別に?」

「それはただ別の人で耐性が付いちゃってるんでリアクションが遅れるってだけです。寿命は十二分に縮まります」

「寿命なんてどうでもいいじゃない。時間なんてそれこそ無限にあるんですから」

「寿命は有限ですけどね」

 

気がついたときには目の前にナイフが放たれている。が、その程度は想定できていたので咄嗟に体を傾けてかわし一歩離れた咲夜さんに近づく。ナイフといってもくらったら刺さったり切り裂かれたりするような物では無いだろうから被弾覚悟で突っ込みお札を投げつけ貼り付ける。が、人間である咲夜さんに普通のお札を投げつけてもダメージにはならないのでそこは一工夫。次の瞬間、貼り付けたお札は大きな音を立てて爆発する。

 

 

「くっ!?」

 

本来紫様とかその辺を驚かせようと思って作った起爆札だから爆発のダメージ自体は殆ど無い。派手な音はしてもそれはイタズラのため。でも、人間も妖怪もいきなり巨大な音がしたときにそのまま動き続けられる者は少ない。案の定咲夜さんも少しだが隙が出来た。

 

 

「そこだっ!」

 

起爆札はそのまま煙玉の役割も果たす。爆発とともにモクモクと沸き上がる煙は紅の廊下を白く包み込む。これなら時を止めようと、視界が塞がれているのだから動きようがない。その条件自体は僕も同じだ。しかし、僕には見える。良く見える。白煙の中でも身の回りがはっきり。どうやらこれ、この前の妖怪化の副産物らしい。不死身の吸血鬼を助けた偽善者よろしく、あちら側にいってからこちら側に帰ってくるというのは、それなりに体に影響を与えるのだ。要するに、

 

 

「ていっ!」

「きゃっ!?」

 

要するに身体能力が大幅に強化されているってことだ。腕力脚力視力聴力。このくらいの煙ならそれを見極め咲夜さんを見つけることも容易い。キョロキョロと周りを窺う咲夜さんの足元に滑り込み、スライディングの要領で右足を突き出し足をかけて転ばせる。再び煙玉を放ち今度は離れた場所から弾幕を撃ち込む。とどめとばかりに威力の強い爆破札を投げつけ、ドカンと大きな音を聞いて満足。多分一本とれた。さあ帰るか、そう思い振り向くとそこには笑顔の咲夜さんが。

 

 

「えっ」

「最後のヤツ、あれくらってたら明らかに人命が危なかったと思うのだけれど言い訳はある?」

「いや幻想郷なので大丈夫かなーと」

「あらそう」

 

そう呟き咲夜さんはナイフの柄の部分で僕の頭をおもいっきり叩いた。

 

 

「痛ぁぁぁ!?何するんですかぁ!?」

「いやこっちの台詞よそれ」

 

嘆息しながら呆れたように言われた。

 

 

「いきなり侵入してきたと思ったら戦闘になって転ばされてお札投げつけられて散々よ。お札は妖怪に投げるものだし」

「だって咲夜さん悪魔の犬じゃないですか。なんか使い魔みたいだしお札効くかなーって」

「退治も退散もされないわよ私は」

 

ここで何かを思い出したように咲夜さんが急に歩き出したのでそれに着いていく。着いてくる僕の存在に気づいたのか咲夜さんが歩くペースを上げる。急ぎ足でそれに着いていく。咲夜さんが走り出す。つられて僕も走り出す。

鬱陶しくなってきたのか咲夜さんが振り返って困ったように頭を掻き回した。

 

 

「なんで着いてきてるのかしら?」

「暇なので」

「暇潰しで人の館を襲撃するのは良くないわ」

「あー間違えた間違えた。今は武者修行の真っ最中なんですよ。全部終わるまで帰れま10です」

「10人抜きするの?」

「んー、どうでしょう」

 

その辺は僕もよく分からない。紫様が僕に誰を倒させて異変を解決させたいのかは謎である。ただ、まあ……

 

 

「次の相手はレミリアかなぁって」

「その根拠は?」

「そろそろ一緒に遊びたかったから、です」

 

咲夜さんが足を止める。重厚なドアの前に着いた。それがゆっくりと音を立てて開いていく。彼女のことだ、どうせこの先の運命も見据えているのだろう。

一一だが、それでいい。運命さえも越えていこう。今の僕ならそれが出来るような気がする。いやただの思い上がりだけど。

重厚な扉の先には玉座にて少女が待ち構えていた。

 

「よくきたわね、玲亞」

「久しぶり、レミリア」

「ええ。まあ二日ぶりくらいかしら?で、とりあえず……」

 

レミリアの表情に疑問を覚える。少し悲しそうな寂しそうな、そんな表情。どうかしたのだろうか?

そんなことを考えていると唐突にレミリアが微笑んだ。

 

「とりあえず……じゃあね☆」

「ふぁっ!?」

 

感じる浮遊感。スキマが開かれたのだと理解する。あの人僕を何処に行かせたいんだろう。

 

「大丈夫、また会いに来ることになるからー」

「それは重畳ですね!」

 

こちらに手を振るレミリアさんに振り返し、目を瞑って考える。さて、次は誰だろう?

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