東方界縫伝(旧)   作:織葉 黎旺

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何故か紫様がすごくドSだけど可愛いから良いんだ。


萃の四。Stage2一斬撃を越える一

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予め落ちると分かっていれば覚悟が出来るし受身が取れる。ということでスキマから落とされた瞬間に華麗に(?)くるくる回転して衝撃をいなし、そのまま着地点に寝転がる。少しふかっとした草の感触がした。

空は快晴。何となく飛び上がれちゃいそうな気分。いやもう普通に飛べるのか、忘れてた。

 

「うーん……」

 

寝返りを打って、ゴロゴロと周りを見渡す。視界に入ってきたのは日本風の大きな武家屋敷、その庭の大きな桜。どうやらここは白玉楼の様だ。じゃあお相手は……?

 

 

「む、侵入者」

「違いますちゃんと招かれました」

 

何処からか颯爽と現れたのは妖夢さん。確かに現れ方が良くなかったけどさ、剣の切っ先をこっちに向けるのは怖いからやめてほしい。

 

「え、本当に?」

「本当ですよ」

「うーん、幽々子様から聞いていないんだけど」

「幽々子さんには招かれてません」

「え、じゃあ何に招かれたんですか?」

「……風に?」

「侵入者ですね斬り捨てます」

 

全くもう、乱暴なのは嫌いなんだけどなあ。なんでこうなるんだろう。……っていうか、妖夢さん峰打ちにしてくれるよね?本当に斬らないよね?切り捨て御免★とか言われてもヤだからね?

 

「いざ尋常に、勝負!」

「お手柔らかにー」

 

まずはお互いに距離を取り、弾幕の飛ばし合い。っていうか今思ったんだけど、斬撃を飛ばすってすごく怖いんですけど。当たったら切り刻まれる気がする。普通の弾幕の数倍の恐怖です。

え?普通の弾幕に当たるとどうなるかって?あははー、弾が爆発したりしなかったり食らった相手に強い衝撃を与えたり与えなかったり。弾幕を放つ人によります。

 

「はあっ!!」

「がふっ!?」

 

妖夢さんが一気に間合いを詰め、素早く刀を振るう。ほとんどその動作は目に入らなかった。強化されている筈の視力でも全然見ることが叶わなかった。次の瞬間お腹に鈍い痛みが響き渡り気がついたら後ろに吹っ飛ばされていた。

 

 

「……つ…強いよお………」

 

さっきの疲れが残っていたのだろうか?いいや違う、普通に僕が弱いのだ。弾幕を撃ち合うだけならまだ何とかなる。しかし、接近戦はてんで駄目なのだ。

 

 

「これで終りです!幽鬼剣『妖童餓鬼の断食』!!」

「ひでぶっ!?」

 

体を襲う斬撃と弾幕の嵐に悶えていると、不意に浮遊感を感じた。そしてその感触で察した。スキマに落とされたわ、これ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く……男の子なのに情けないわねー」

「だって一般人ですし……」

「はいはい後ろ向いて」

「ぐおぉぉぉ!?」

 

スキマの先はやっぱり八雲家。そしてそこで待ち構えていた紫様に手当てをしてもらっているところだ。切り傷に消毒薬が染みて滅茶苦茶痛い。

 

「ゆ、紫様もうちょっと優しくお願いします!!」

「へー、手当てして貰ってるのに感謝の一言も無いの?」

 

そう言いながらより強く消毒薬を染み込ませたティッシュを傷口に押し付けてくる。最早拷問である。しかも紫様が僕を逃がさないように僕を押さえ付けているから逃げられない。

 

「わ、分かりましたよぅ……ありがとうございます本当にありがとうございます紫様!だからもうちょっと優しく、」

「お礼を言ってもらえる程良いなら、もうちょっとやってあげるわね?」

「にゃぁぁぁぁ!?」

 

更に強くティッシュを押し付けられた。すごく傷口に消毒薬が染み込んでるのを感じる。痛い。滅茶苦茶痛い。

拘束を振りほどいて振り向くと、紫様は何というか恍惚とした笑みを浮かべていた。怖い。滅茶苦茶怖い。

 

 

「フフッ……♪」

「紫様……怖いです……」

 

ドン引きです、というメッセージを込めて冷ややかな視線を送ってみたところ、我に返ったのか紫様は軽くこほんと咳払いをした。どことなくぎこちなくて動揺してる感じ。

 

 

「全くもう……肉弾戦は本当に苦手なのね、玲亞」

「返す言葉もありません。お恥ずかしい限りです」

「いや、なんでどや顔してるのよ?」

「開き直ってみました」

 

ここまで来ると逆に開き直れるのさ。っていうかそもそも女の子を殴るわけにはいかないでしょう。

 

 

「幻想郷の女の子なんてみんな妖怪みたいな物だと思うけどねえ」

「妖怪だろうと女の子は女の子です。男の子な僕が殴るわけにはいきません」

「男の子な貴方が女の子に負けるのもよろしくないと思うけど」

「花を持たせてあげたんですよ」

「それは殊勝な心がけね。それでこれだけ派手な傷を追うんだから流石ね?」

「痛ぁぁぁ!?」

 

せこい、この人せこい!スキマ使って僕の背後から消毒液をモロに背中に垂らしやがったよ!?めちゃくちゃ染みるしなんかひんやりしてる!!

 

 

「…特訓させた方が良いのかしらね?」

「何ですかその心踊る単語」

 

で、でたーwww少年漫画に憧れて修行したがる奴ーwwwwwwwとか非難されても今なら甘んじて受け入れられる。男なら誰しも憧れると思うんだ秘密の特訓って。

 

 

「あら、もしかして乗り気?」

「ええ勿論」

「ふーん、それは良かったわ…」

 

僕の言葉を聞いて紫様は微笑む。微笑んでいるんだけど、これはあれだ。何か面白い玩具を見つけたときの顔だ。

 

 

「こ、怖いことと痛いことはしないでくださいね?」

「そんなの修業には付き物でしょう?」

「ははっ、ですよねー!?」

 

やっぱり移動はスキマのようで、フワッと体が宙に浮いた感じがした。はてさて、どうなることやら……

 

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