東方界縫伝(旧)   作:織葉 黎旺

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お久しぶりです!一ヶ月半ぶりの更新ですね!反省して、これからは月一更新目指します!!()


萃の九。八雲家出張デリバリーサービス #とは

「八雲家出張デリバリーサービス?」

「運送よ」

「今のもしかして、『うん、そうよ』と掛けてます?」

「……そんなセンスの無い洒落は言いませんわ」

 引き気味の視線を主に向けられるが、思いついたことを何でも口に出してそうなこの主なら、案外言いかねないことだと思う。多分この企画(?)も只の思いつきだろうし。

 

「主な仕事は今言った通り、運送とか、出張して何かをお手伝いしたりとか、先着一名に玲亞をプレゼントしたりとか……そんな感じよ」

「成程成程、最後の一つ以外は納得しました」

 ここまで話したところで、紫様はスキマの中から昔懐かし黒電話を取り出した。

 

「ここに電話がかかってくるようになってるから、後はよろしくねー」

 そう言ってお茶を飲んでゴロゴロし出す主。あんたも仕事しろ。

 しかしまあ、そんなすぐにかかってくることもなく、三十分ほどお茶を飲みつつお喋りしていた。

 

「あー、どーしよっかなー」

「何の話よ?」

「紫様に何でも一つ頼めるってやつ、何頼もうかなーって思って」

「何でもとはいったけど、倫理的道徳的にアレなのは無しよ?」

「例えば?」

「…例えば……えっと、ちょっとアレなのとか……ああいうのとか……」

「すいません全く分かんないです」

 何を思ったのか頬を赤らめる紫様だが、熱でもあるのだろうか。――いや嘘です本当は分かってます。ボケてみてその反応を見た方が楽しそうだなーって思って察しが悪いフリをしてるだけです。

 そんな感じで紫様と喋っていると、唐突に机の上の黒電話が鳴り響いた。

 

「あ、電話来ましたね」

「誰からでしょうね」

 受話器を取り、通販の電話番の様に社名を読み上げてみる。

「はい、こちら八雲家出張デリバ……デリバ……」

「デリバリーサービスよ」

 社名を忘れてしまった僕に見かねた紫様が助け船を出してくれた。それはありがたいんだけど何かこそばゆいから耳元で囁くのはやめてほしい。

 

「八雲家出張デリバリーサービスでございます。本日はどのようなご用件でしょうか?」

 しかし、数秒待っても何の反応も無い。

「おーい、誰かいますかー?返事してもらえますかー?」

「玲亞、気持ちは分かるけど相手はお客様よ」

 はっ。失念失念。気をつけなければ。

 そう思ったときに、耳元で大変大きな声が響いた。

 

『ゆかりいいいいいいいん俺だあああああ!!!結婚してくれええええええええ!!』

「うるせええええええええええええ!!!!」

 あまりにも五月蝿かったので受話器に叫び返す。それにしても、紫様に急に求婚するとは何という不届き者だろうか。

 

「いやー、変な奴もいるもんですね紫様……」

「そ、そうね。名前も顔も明かさずに求婚してくるなんて……失礼な殿方ね」

 そう言いつつ、紫様は少し照れている……というか嬉しそうに見えた。えっ。えっ。

 

「何照れてるんですか紫様!ダメですよ、こんな訳分からない人に好かれて照れてちゃ!!」

「いや……でも、誰かから好意を寄せられるというのは、嬉しいことじゃないかしら?」

 確かにそうかもしれないが、僕の意見は少し違った。

 

「不特定の誰かに好かれるよりも、自分の好きな誰かに好かれた方が嬉しいじゃないですか。そんなんで照れてたら、自分の好きな人に失礼というか何というか……」

 上手く言葉が纏まらず、後半がしどろもどろになる。そこで、紫様が何かに気づいた様に微笑んだ。

 

「玲亞って、ひねくれてるようで意外と真っ直ぐよね」

「そう……ですかね?」

「それと、さっきの発言は自分に好きな人がいるからこそと読んだのだけれど……どうかしら?」

 ニヤニヤと、紫様は意地悪な笑みを浮かべた。全く、この人は人で遊ぶときに生き生きしてくるなあ……

 

「……それは、」

 いますよ、と言いかけたその時、僕の声を遮るように電話の音が響いた。受話器を取って、しっかりと社名を読み上げる。

 

「はい、こちらやきゅもけ……」

「…………」

 紫様が笑いを堪えているのが見えた。ごほん、と咳払いして言い直す。

 

「……こちら、八雲家出張デリバリーサービスでございます。ご用件は?」

『あれ?八雲家出張デリバリーヘルスじゃないの?』

「えっ?」

『えっ?』

「すいません、意味が分かんないです。もしかして番号かけ間違えてません?」

『……ごめんなさい、聞かなかったことにして』

 突っ込んで欲しかったのにまさか普通の反応をされるなんて……という声が聞こえてきた。その声で、電話先の相手を察した。

 

「あ、レミリア?」

『そうよ。玲亞、これから紅魔館に来てほしいんだけど大丈夫かしら?』

「大丈夫だよー」

「記念すべきお客様第一号だからもれなく玲亞を差し上げますわ」

『晩御飯のおかずが一品増えたわね』

「多分僕にはもっと有意義な使い道があるので食べないでください」

『例えば?』

「…………執事とか?」

『OK、雇おう』

「えっ」

「行ってらっしゃいー」

 唐突な浮遊感。案の定足元にはスキマ。紅魔の館へと落ちていく。

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