「……ん………」
窓から射し込んだ光で、朝であると気づき目を覚ました。日の出と共に目が覚めるのは、完全に僕の習慣である。
「ふわぁぁあぁぁ……今、何時だろう………」
境界を越える場合、時間なども一緒に越えてしまうことがあるので季節はその世界ごとに違う。
今は少し暑いぐらいだから………夏なのかな?紫さんが冬に着そうな暖かそうな導師服みたいなのを着ていたから、季節感が無くてよく分からなかった。
「夏だったら……今は5時半過ぎってところかな?」
そういえば、昨日スキマに落とされて寝落ちしたんだっけ……
そう思い、部屋を見渡してみたが特に変わった所はない普通の和室だった。
「……多分まだ、寝てるだろうなぁ……どうしよう」
紫さんを無理矢理起こす訳にはいかないし、一気に暇になった。
「……朝ごはんの用意でもしとこうかな」
昨日の口振りからして、紫さん自身が料理をするということはまずないだろう。普段は紫さんの式の人がしているんだろうけど、泊めてもらった上に色々教えていただいた恩を、ここで返そう。
そう思い、台所に向かった。
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「……困ったなぁ」
歩き出して数分。家の中で数分歩く時点で分かると思うが、完全に迷子である。
「なんでこの家こんなに広いんだよぉ……」
どの部屋がどこにあるのか全く分からない。なんだこれ。最早迷路?
「……適当にドアを開けてこうかな」
どんな部屋があるのか、という興味もあったのでとりあえずそこにあった部屋に入ってみる。
「……僕は何も見ていない。うん何も見てない………」
壁中に猫耳の少女のポスターが張ってあり、机の上に大量の写真が置いてある光景なんて見てない……!
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「(´・ω・`)」
台所捜索開始から更に数分。
最早迷子です。
「むぅ……こうなったら…」
一か八か、能力を試してみよう。
「…えっと……台所を思い浮かべて――」
なんとなく、こことの距離とかもイメージして――
「境界を――越える!」
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「♪〜」
台所にて藍は朝食を作っていた。この時間に主は起きてこないが、いつ起きてもいいように早めに作っておくのである。
「♪〜」
藍は上機嫌だった。何故なら、今日恐らく式が増えるから自分の仕事が減るからだ。
ーーまあそれに、家族が増えるのは良いことだ。なに、不躾な者だったらそれはそれで別の価値を見出だせる。食糧としての価値を。
「♪〜………ん?」
味噌汁を混ぜる手を止め、藍は身構えた。
紫がスキマで移動してくる時と同じ気配を感じたからだ。
「珍しいな……紫様が早起きなんて。今日は天気雨だな」
案外、その予報は外れではないかもしれない。
「えっ、あぁっ!?」
「うわっ!?」
スキマから出てきたのは、主人ではなく主人の式候補、名雲玲亞だ。更に着地場所が悪かった。藍の頭上から落ちてきて、反射的に一歩下がった藍を押し倒す形になった。
天気雨―――つまり、狐の嫁入りである。