「覚悟は……出来ているな?」
「い、いやあの本当にすいませんでした!まさかあんな所に着地するとは思わなくて……」
笑顔って、人を傷つける力を持ってるんですね。今学べました。
「……さて、式符………」
何かが来ると思い目を瞑り身構えたが、数秒経っても何もない。恐る恐る目を開くと、腰を押さえその場に倒れる女性の姿があった。
「え……ちょ、大丈夫ですか!?」
「く……くるな!ひ、一人で……立て……ッッ…」
「あ、あの……肩、貸しましょうか?」
「……とりあえずお願いする」
一度近くの部屋に運び、一先ず話し合いが行われることになった。
「……一応聞いておくが、名前は?」
「名雲……玲亞です」
一応、ということは紫さんから話を聞いたのだろうか。だとしたら第一印象は最悪だろうなぁ………
「そうか……私は八雲藍、紫様の式だ」
やはりこの人が紫さんの式だったようだ。
「……なんであんなところから出てきたんだ?大方予想はつくが……」
「えっと、それは……」
ー少年説明中ー
「――なるほど、能力の練習の一環として使用してみたら、少し見当外れな場所に出て、そしてあんなことに……」
「あ、はい……」
流石に部屋を探すのがめんどくさくて使ったとは言えず、少し細部は誤魔化して説明した。
「……まあ、能力に関しては大方場所を外していなかったし、事故として許すが……問題は紫様だな」
「は……はい……?」
何で紫さん??
「私は式として色々紫様の仕事を代行しているからな……その私がぎっくり腰で動けないとなると、色々と困る……」
「あー、なるほど……
えっと……本当にすいませんでした……」
「……そんなに気にするな。まあもう起こってしまったことだし、しょうがない」
「はい………」
めんどくさがらず、きちんと探せばよかったなぁ……と、大分自己嫌悪していたその時だった。
「……来る」
「え、え?」
「おはよう……ていうか本当に早いわね」
いきなりスキマが開き、現れたのは紫さんだった。
「あら、二人お揃いでどうしたの?っていうか藍、どうして寝てるの?」
「いや、その……それは、僕が乗った衝撃で藍さんが腰を痛めて……」
「……なんかその言い方は誤解を招かないか?」
「「え?」」
「あ、いや……何でもない」
意味がよく分からず僕と紫さんが聞き返すと、何故か藍さんの顔が赤くなった。どうしたんだろう?
「…ま、まあ兎に角、今日は仕事が出来ないのですが……」
藍さんはそこでチラッと僕の方を見て、
「そこで、こんなことになった責任を取らせるために、玲亞に仕事をやらせたいと思うのだけど……紫様、それでよろしいでしょうか?」
それを聞いた紫さんは、うーん…と何か考えているようだったが、
「……まあ、それでいいかしら。もちろん、玲亞が構わなければ、だけど………」
「大丈夫です。こうなったのも、僕の責任ですし……」
「そう。ならそれで決まりね……今日一日、よろしく頼むわね、玲亞」
「…はいっ!」
紫さんの言葉に、精一杯の笑顔で答える僕だった。