赤帽子と王の行く遊戯王5D's   作:ヒキヘッド

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今回は、メイとのデュエルとなりますが思いのほか長くなったので前後編に分けました。


VSメイ喜多嬉(前編)

「デュエル!」

 

店を出て、店の前の広い道でメイとアテムが向かい合う。

そして、カードショップKURUMIZAWAを賭けた1戦の開始を表すセリフが、二人の口から高らかに発せられた。

 

「私の先攻、ドローよ!」

 

さて、あのメイのデッキは何なのか……お嬢様なだけあってお高いカードを使うのか?

 

「手札から《マジカル・コンダクター》を攻撃表示で召喚」

 

メイの場に、緑のローブのような物を着た女性が現れる。その周りには、いくつかの透明な球体が浮かんでいる。

 

《マジカル・コンダクター》ATK:1700

 

さて、マジカルコンダクターということは……魔法使い族デッキか?

 

「そして魔法発動、《魔力掌握》。このカードは、場のカードに魔力カウンターを1つ乗せることができますわ。さらに《マジカル・コンダクター》の効果で、魔法が発動される度に2つ、魔力カウンターが乗りますわ」

 

マジカルコンダクターの周りの透明な球体の内3つが青く光る。

 

《マジカル・コンダクター》魔力カウンター:3

 

「《魔力掌握》のもう一つの効果。デッキから新たな《魔力掌握》を手札に加える」

「なるほどな……つまりお前は、このターンで9つの魔力カウンターが乗せれるのか」

 

っとアテム、そんなわけにはいかないんだよなぁ。それが可能なら《トゥーンのもくじ》三連打とかの意味がなくなるからな。

 

「これだから庶民は……そのようなことができれば強すぎるわ。このカードは、1ターンに1枚しか発動できないのよ」

 

その通り、《魔力掌握》は1ターンに1枚しか発動できないという制約がある。けど毎ターン何にでも魔力カウンターを乗せれるんだから、その効果は強力だ。

 

「そうか、ならお前の手札には、毎ターン魔力カウンターを乗せれるカードがあるんだな」

「そういうことですわ。さらに装備魔法、《ミスト・ボディ》を《マジカル・コンダクター》に装備しますわ。そして魔法が発動したので、魔力カウンターが2つ、コンダクターに乗りますわ」

 

《マジカル・コンダクター》魔力カウンター:3→5

 

マジカルコンダクターの姿が、段々と霧状になってくる。あれじゃ攻撃しても、ダメージが与えられなさそうだ。ついでに、周りの球体も2つ光る。

 

「《ミスト・ボディ》の効果で、私の《マジカル・コンダクター》は戦闘では破壊されませんわ」

「戦闘破壊の耐性か……そいつがお前のデッキのキーカードか」

「それは秘密です……カードセット、ターン終了よ」

 

さて、続いてはアテムのターン。戦闘への耐性がついた状態にどう立ち向かうか。

 

「オレのターン、ドロー! モンスターをセット。カードを2枚セットしてターンエンドだ」

「この前と違って消極的なターンですよぉ……」

「メイさんは次のターンで恐らく、高ステータスモンスターを出すから……耐えれるのかなコナミ」

 

確かにな……マジカルコンダクターに次のターンで7つになるのは確定している。何が出てくるのか……。

 

「私のターン! 手札から《魔力掌握》を発動し、効果で《マジカル・コンダクター》に魔力を、魔法発動によりさらに2つ乗りますわ」

 

《マジカル・コンダクター》魔力カウンター:5→8

 

これで8つ、大型モンスターを出せるだけの魔力カウンターは溜まった。

 

「ここで、《マジカル・コンダクター》の効果を発動! このカードの魔力カウンターを好きな数取り除くことで、その数と同じレベルの魔法使い族モンスターを手札から特殊召喚しますわ。私は、7つ取り除き──」

 

《マジカル・コンダクター》魔力カウンター:8→1

 

7か……レベル7の魔法使い族というと……《ブラック・マジシャン》か。でもあのカードはさすがに──

 

「《ブラック・マジシャン》を特殊召喚!」

『──ひょ?』

「《ブラック・マジシャン》だと!?」

「《ブラック・マジシャン》って、昔のデュエルキングのエースカードですごいレアカードだ!」

 

うそーん……まさか持ってたのか。これは予想外だ。ツァンはまだしもアテムもまさかのモンスターの登場に驚いてるしな。

 

「おほほほほ! これが私のエースモンスターですわ!」

 

メイの場でアテムに杖を向けてるブラックマジシャン。いつもは味方だというのに、敵となると嫌なものだ。

 

「伏せカードが破壊系だと面倒ですわ。コンダクターを守備にして、バトルよ! 《ブラック・マジシャン》で裏守備モンスターを攻撃! ブラック・マジック!」

「くっ……伏せていたモンスターは、《クイーンズ・ナイト》だ」

「そのようなバニラモンスター、何の怖さもないわ」

「フッ……」

 

メイの言葉に、アテムは余裕そうに笑う。

まあまだ伏せカードが2枚に手札も3枚あるんだ、逆転ぐらい余裕だろう。

 

「カードを1枚セット、ターン終了よ」

 

アテム

LP:4000 手札:3

場:伏せカード:2枚

 

メイ

LP:4000 手札:2(内1枚は魔力掌握)

場:《マジカル・コンダクター》《ブラック・マジシャン》

  《ミスト・ボディ》(マジカル・コンダクターに装備中)

  伏せカード:2枚

 

「おっと、お前のエンドでオレは伏せカードを発動させてもらうぜ! 《正当なる血統》、これにより墓地の通常モンスター《クイーンズ・ナイト》を特殊召喚する!」

「ふん、そんなカード、何度出しても同じことよ」

「……オレのターンだな、ドロー! お前がバカにしてるこの《クイーンズ・ナイト》が、お前を倒すキーカードになるのさ! 手札から《キングス・ナイト》を召喚!」

 

アテムの場にクイーン・キングの二人の騎士が揃う。

こうなると、出てくるのはあいつだな。

 

「そんな低ステータスのカードがいくら揃っても……っ、その2体は!」

「そうさ、オレの場にクイーンとキングが揃ったとき、デッキより主君を守る騎士が現れる! 《キングス・ナイト》の効果により《ジャックス・ナイト》を特殊召喚!」

「一気に3体のモンスターだ並びましたよっ!」

 

クイーン、キング。二人の間に光が発生してそこに若い男の騎士が現れる。

これでアテムの場に絵札の三銃士が揃った。

 

「そして魔法カード《融合》! 場の三体の騎士を融合し──《アルカナ ナイトジョーカー》を融合召喚!」

 

場に出てきた渦に三銃士が吸い込まれ、1つの形になる。

アテムの場に現れるのは、さっきの三人とは比べものにならない迫力を持った騎士。

 

《アルカナ ナイトジョーカー》ATK:3800

 

「すごい……まだコナミのターンは2ターン目なのに攻撃力3800を出すなんて」

「忘れてましたわ……絵札の三銃士。こうも簡単に融合までいかれてしまうなんて。けれど魔法カードの発動で魔力カウンターが2つ乗りますわ」

 

《マジカル・コンダクター》魔力カウンター:3

 

「フッ、お前がバカにしたクイーンの力を含んだこの騎士が、お前の《ブラック・マジシャン》を切り裂くぜ! いけ、《アルカナ ナイトジョーカー》!」

 

アテムの場の《アルカナ ナイトジョーカー》がメイの《ブラック・マジシャン》へと剣を振りかぶる。

しかし、その剣がいきなり隣にいる《マジカル・コンダクター》へと向いた。

 

「なにっ!? どうした《アルカナ ナイトジョーカー》!」

「オホホホ! トラップカード《地縛霊の誘い》ですわ。これで庶民の攻撃は《マジカル・コンダクター》に向かうのよ」

「チッ、しかも《ミスト・ボディ》で戦闘破壊はされない……」

「そういうことよ、庶民の攻撃は私の《ブラック・マジシャン》には届かないですわ」

「あぅぅ……サポートカードの豊富な《ブラック・マジシャン》が残ってしまいましたよぉ」

「……カードを2枚セットして、ターンエンドだ」

 

ふむ、《ミスト・ボディ》と攻撃対象変更カードにより自分の主力カードを守るコンボか。

そして《ブラック・マジシャン》は残ってるから……ゆまの言うとおりサポートカードを駆使されれば厄介だな。

 

「私のターン! 手札より魔法カード《千本ナイフ》を発動。これで庶民の《アルカナ ナイトジョーカー》は破壊よ!」

「そうはさせないぜ、リバースカード! 《融合解除》!」

 

《ブラック・マジシャン》によって操られる千本ものナイフ。それが《アルカナ ナイトジョーカー》に向かっていき刺さろうとした瞬間、その姿が3つに分裂する。

 

「《融合解除》により絵札の三銃士が場に戻るぜ! これで対象を失った《千本ナイフ》は無効だ」

「くっ、上手く躱しましたわね……魔法が2枚使われたことで4つカウンターが乗りますわ」

 

ちなみにクイーンとキングは守備、ジャックだけは攻撃表示だ。

 

《クイーンズ・ナイト》DEF:1600

《キングス・ナイト》DEF:1400

《ジャックス・ナイト》ATK:1900

《マジカル・コンダクター》魔力カウンター:3→7

 

「けれど攻撃は残ってますわ……《ブラック・マジシャン》で《ジャックス・ナイト》への攻撃! ブラック・マジック!」

 

メイの《ブラック・マジシャン》が唯一の攻撃表示モンスターへと手の平を向けて衝撃波を飛ばす。

だが、アテムの場にはまだ1枚伏せカードが残っている。あれは恐らく【攻撃】という言葉に反応する──

 

「──リバースカードオープン! 《聖なるバリア ーミラーフォースー》! お前の攻撃表示モンスターは全て破壊される!」

 

やっぱりミラフォだ。アテムの場で開いた一枚のカード。そこから放たれた光が《ブラック・マジシャン》を襲い、成す術もなく破壊された。

 

「その程度、計算どおりですわ。メインフェイズ2で《マジカル・コンダクター》の効果を発動。魔力を7つ取り除き、《ブラック・マジシャン》を墓地から特殊召喚しますわ。さらに《魔力掌握》でカウンターが合計3つ乗りますわ」

 

《マジカル・コンダクター》魔力カウンター7→0→3

 

「チッ……あいつがいると破壊しても復活されてしまうな」

「オホホ、庶民では何をしても無駄ですわ、ターンエンド!」

 

アテム

LP:4000 手札:0

場:《クイーンズ・ナイト》《キングス・ナイト》《ジャックス・ナイト》

 伏せカード:1枚

 

メイ

LP:4000 手札:1

場:《ブラック・マジシャン》《マジカル・コンダクター》

  《ミスト・ボディ》(マジカル・コンダクター)

  伏せカード:1枚

 

 


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