赤帽子と王の行く遊戯王5D's   作:ヒキヘッド

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今回で一応原作介入…となります、一応ですが。


蟹との保管庫潜入

「よし……レッツ潜入だ」

 

時刻は深夜。辺りもすっかり暗くなり保管庫へ潜入するには絶好の時間となった。

あの後ネカフェに行き、この建物の見取り図。さらにセキュリティのデータベースをハッキングして、最近押収されたD・ホイールの保管場所や各部屋のパスワードなど、必要な情報は全て仕入れた。

昔から機械に強いおかげで簡単にハッキングもできたしな。

 

『コナミのバイクは、最上階だったな』

「ああ、その部屋への行き方も、入るためのパスワードも全部暗記してある」

『なら、いくか』

「おうよ」

 

音を立てないようにしながら、換気口の蓋を開け身体を小さくしながら入っていく。

チッ、思いの外狭いな……帽子脱げないようにしないと。

 

「……用務員が1人いやがるか」

 

当初の予定では、用務員が休憩する部屋に下りる予定で、丁度今そこに着いたんだが……運悪く1人用務員の人がいる。

無関係な人だから手荒なまねはしたくなかったが仕方ない……気絶してもらう。

 

「よっと!」

「っ!」

 

換気口の蓋を蹴り落とし、下へと下りて驚いた用務員の懐へと入り込む。

そしてここで鳩尾を──

 

「くっ!」

「なっ!?」

 

止められただと!?

完璧に不意を突けたしただの用務員に止められるとは……。

だが、ここで大声を出されては厄介だ。早く無力化しないとな。

 

「らぁっ!」

「お前は……待て!」

 

幸いまだ懐にいるんだ、顎に強い衝撃を与えて脳振盪を……そう思って拳を上げようとした時、俺の手を掴んでその用務員の人が言ってきた。

……ん? 今の声は……。

 

「遊星……か?」

「そうだ……どうしてここにいるんだコナミ」

 

やっぱり遊星だ。

不動遊星。元々俺と同じでサテライトにいたが、昔の仲間にカードを盗られたらしく、そのカードを取り戻すためシティへと、俺がこっちに来る2、3日前に行った……らしい。

 

「どうしてって……シティに来たんだけど、俺もここにD・ホイールを盗られてな」

「そうか……まさかお前もこっちに」

「って、遊星お前……マーカー付けられてるってことは捕まったのか?」

 

遊星の顔をよく見てみると、左の頬に黄色いラインが入ってる。

サテライトでよく見た、マーカーだ。

セキュリティに捕まるとつけられて、これがあるとどこにいても調べられるとバレるという厄介な物だ。

 

「ああ、ジャックとデュエルをしている時に……」

「あいつと戦えたのか……今じゃあいつもキングだもんなぁ」

「……コナミ、無駄話をしてる暇はない。俺もお前もD・ホイールを取り戻す必要があるんだ」

「っと、そうだった……俺のは最上階にあるんだ」

「俺のもだ……」

「なら、一緒に行くか」

 

図らずも強力な仲間ができた。リアルファイト、デュエルの2つを取ればハイレベルな遊星が一緒となると楽になる。遊星のデュエルの腕はかなり高い。是非とも1戦交えたくなるレベルだ。まあ会ったときはもう俺がデュエルをやらないから戦わなかったが……こいつとなら熱いデュエルはできると思ってる。

リアルファイトは言わずもがな、さっきの俺のアタックに反応できるんだからな。

 

「行くぞコナミ」

「了解した……」

 

用務員室を出て、目的地である最上階へと俺と遊星は向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここで、このパスワードをカタカタと……」

 

道中何の問題もなく間単に最上階の、俺と遊星のD・ホイールの収容されている部屋の入り口へと着いた。

調べてきた解除コードのパスワードを打ち込めば……。

 

「開いたぞ!」

「よし、俺たちのホイールを探そう。……こっちだ」

「なるほど、地図ってか」

 

遊星の手にはタブレットのようなものが握られていて、見てみると自分を表す矢印と四角い……中にあるこの木製の箱を表してるのか。その二つが表示されている。

遊星についていくと、ある箱の前で立ち止まった。

 

「これだ、この中に俺のがある……」

「お? 奇遇だな、ここの隣が俺の……っ!?」

 

運がいいことに、遊星のD・ホイールが入った箱の隣が俺のが入ってる。

中に入ろうと思ったとき、突然俺と遊星がライトに照らされた。

 

「へっへっへ……驚いたぜ。何かやるかと思ったら、天下のセキュリティ保管庫に忍び込むなんてな。盗られた物を取り返しに来たってか?」

「こいつは、俺と仲間のものだ!」

 

向かい側の箱の上にセキュリティが数人。俺らの左右からも何人ものセキュリティがいやがるな。

箱の上にいる中でも、リーダー格と思われる男が喋ってる……んだが。なにあの男に対する既視感は。

 

「違う、ここに保管されてるものはネオ童実野シティのものだ。……あ? 前にいなかった奴もいやがるな」

「うーん……お!」

 

セキュリティの男の目が、遊星から俺に移る。

そしてその瞬間、俺の頭の中にある記憶が蘇った。あれは、初めてのアテムの罰ゲーム、グリードを食らった……そうだ!

 

「牛尾か!」

「テメェ、何で俺の名前を知ってやがる……」

「あのチンピラ野郎がセキュリティかぁ……世の中何があるか分らん物だなぁ」

「何をグチグチ言ってやがる、テメェも共犯だ。2人まとめてしょっ引けぇ!」

 

牛尾哲。確かそんな名前だ。その昔、アテムが初めて姿を現して、祝・初罰ゲームを受けた俺より一つ先輩の男だ。あの時は風紀委員なんて言いながらいじめをやってた奴だったが……それが今じゃ悪人取り締まりか。

っと、そんな呑気なことを考えてる場合じゃない! いつの間にか左右からセキュリティが突撃してきてる。

 

「コナミ! D・ホイールだ!」

「あっ、了解だ!」

 

ピョンとジャンプして俺のホイールの入った箱に入る。

 

「ハッ! そういうのをなぁ、袋のねずみって言うんだよ! 観念しろクズ野郎共!」

 

牛尾の声が聞こえてくるが無視だ。今は逃げるのが先だからな。

D・ホイールに座って不備がないか確認する……よし、動くな。

メットを出してる余裕はない、このままいくぜ!

すぐ近くからエンジン音が聞こえてくる、遊星も発進するところだな。出るなら今しかない!

 

「なっ!? あいつらD・ホイールで……うおっ!?」

 

箱をぶち壊しながら外へと飛び出る。丁度遊星も出てきたところだ。

隊員たちを轢かないようにしながら遊星の後を追ってホイールを走らせる。

 

「チィッ、逃がすか!」

「残念だったなぁ! フハハハハハハ!!!」

 

その昔聞きなれた海馬の高笑いのように笑いながら、D・ホイールを加速させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「遊星! このまま脱出するのか?」

「ああ、俺は今ある所に隠れてる。とりあえずはそこに向かう!」

「分かった、俺はカードショップKURUMIZAWAってとこの近くのマンションの202にいるんだ。何かあったら来てくれ!」

「分かった……」

 

D・ホイールについてるモニターと通信を利用して会話しながら走る。幸い今はセキュリティも追いついてきてない、状況を報告しとくにはうってつけだ。

 

「このまま真っ直ぐいけば……ぐっ!?」

「遊星!?」

 

いきなり飛び出してきたD・ホイールにタックルされて遊星のホイールのバランスが少し崩れるが……大丈夫そうだな。

今タックルしてきたのは……チッ、牛尾の野郎か。

 

「バカめ! 俺から逃げられると思ってんのかよー!」

「しつこい野郎だなぁ、また罰ゲーム食らわすぞコノヤロー!」

「いい加減観念したらどうだクズ野郎共!」

「……」

 

牛尾のことは無視して、遊星はホイールを加速させた。いきなり加速されるとついていくのも一苦労だな……。

 

「おいおい、ちょっとはしろよぉ。会話のキャッチボールってやつをよ! それとも」

 

突然俺と遊星のD・ホイールのモニターに映像が映る。

 

「一応デュエリストなら、俺とカードで語り合うか?」

「なに?」

「フィールド魔法強制発動! 《スピード・ワールド》セットオン!」

『デュエルモードオン、オートパイロットスタンバイ』

 

画面に展開されていくこれは……。

 

「ライディングデュエルか!?」

「コナミ……お前デュエルは」

『コナミ、オレが出るぜ!』

「……!」

 

まさかデュエルになるなんてな。仕方ない、任せたぜアテム!

一瞬キランと千年パズルが光る。

さあ、数十年の時を経て、遊星もいるがアテムと牛尾の対決の開始だ。

 

 




というわけで、牛尾さん登場+デュエルとなりますが、このデュエルは途中で終わるということを先にお知らせしますのでデュエルシーンはほぼなしとなります。

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