赤帽子と王の行く遊戯王5D's   作:ヒキヘッド

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また前回から間が空きましたが、のんびりと更新再開していきたいと思います。


不吉な前兆

カードの力をうまく利用して何とか自宅へと戻ることはできた。

アテムに続いてゆまたちまでいなくなるとか、俺じゃなきゃ心が折れてるだろこんなの。

と言っても、ゆまたちを助けるのはまだ簡単だ。場所がわかってるしな。

 

「ひとまず、休憩がてら久々にカードショップの店長のとこに行ってみようかな」

『コナミ独り言多いよ……それに、どうして今すぐ助けに行かないの?』

「今はまだ警戒されてるだろうからな。それに暗くなってからの方が動きやすい、外でもカードの力を使っても人目に付きにくいし」

『なるほどねー』

 

と、マナと話しながらカードショップKURUMIZAWAに着いた。

考えたら部屋借りてから初めてだな来るのは。せっかく借りたってのに失礼だったかもな。お礼も言っておくか。

 

「てんちょー、久しぶりー」

『うーん、誰もいないみたいだね』

「そうみたいだな」

「ウッヒョー!! それは、幻のブラック・マジシャン・ガールフィギュア!!」

「……いるみたいだな」

『だね。というか私のフィギュア?』

 

いないから引き返そうかと思った時、奥の方から店長の声が聞こえた。というかなんだこの嬉しそうな声は。

とりあえず奥に行くかな、なんか嫌な予感というか見てはいけないものを見てしまう気がするが。

 

「てんちょー」

「ん? あんたはあの時の赤帽子じゃないか」

「久しぶりだな。んで、そっちの人は?」

 

奥に行くと、パソコンを前にして店長は座ってた。そしてその傍に何か紙の束を持った丸眼鏡をかけた女性がいた。あんな渦巻き模様で視界悪くないのか?

 

「こいつはカーリーだ。俺にちょっとした頼みごとをしてきたんだ」

「ほぉん。ってことは、店長も裏じゃちょっとした仕事してんだな」

「えっと、カーリー渚、新聞記者です!」

「俺はコナミだ。んで、あんたは何を調べてたんだ?」

 

カーリーね、覚えとくか。何か長い付き合いになりそうだし。

覚えてすぐに、ヒョイっとカーリーの持ってる紙を覗き込む。なになに……へぇ、アルカディアムーブメントについての調査結果か。

それに店長のパソコンの画面には遊星・ジャック・龍可・十六夜の画像、それも腕に光ってるシグナーの痣の画像だ。これらの情報を基に考えてみると……

 

「ふむ、記者としてシグナーとダークシグナーについて調べて一大スクープを発見して一躍有名に! って考えか?」

「うーん……ちょっと違うけど、そんな感じなんだから」

 

と言っても素人にそんな詳しくは調べられないだろうな、もっと言えばシグナー本人ですらたいしてわかってないんだし。

 

「それじゃあ、これで交渉成立ね!」

「ああ、いいぞ」

 

カーリーが鞄から出した……あー、さっきのフィギュアはこれか。うん、ブラマジガールだ。中々いい出来じゃないかこれは。というか店長の周りは女の子のフィギュアばっかだし壁はポスターだらけ……オタクだったんだな。

ブラマジガールは可愛いからわかるが……クランとかピケルってロリコンなのでは。

 

「じゃあねコナミ! 私はちょっとやることがあるんだから!」

「ああ、じゃあなー」

 

カーリーは小走りで店を出ていった。

まあ、当然そのまま帰ってもらうわけにはいかない。何をするのか気になるし、アルカディアムーブメントについて調べて乗り込みでもされたら困る。

 

「んじゃあ店長、俺もどっか行ってくるわ」

「ああ、またいつでも来てくれ」

 

さあて、ちょっくら追いかけますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、アルカディアムーブメントって、ほんと碌な噂がないわね」

 

小さな車に乗ってさっきもらった紙を読んでるカーリー……その見てるのを窓ガラス越しに覗き込む俺。あれ、これ俺通報されたらヤバいやつやん。

というかなんだあれ……履歴書みたいになってるな。

 

「なるほど、アルカディアムーブメントの被害者達か。多すぎるだろおい……やっぱあそこは健全じゃないな」

 

俺には全く気付かないようで、カーリーはパラパラと紙をめくっていく。

すると、誰か女性のページになったところでピタリと止まった。誰だこの人……有名人か?

 

「ミスティ・ローラねぇ、見たことすらないや」

「……よし!」

「え? ちょっ!?」

 

見てた紙の束を助手席に放り投げたかと思えば、いきなり車が発進する。

当然車の真横にいる俺からしたら危険極まりない。仕方なく後ろに下がるが、カーリーの車は既に遠くにいた。

 

「あーあ……結局何するつもりか聞けずじまいか。しゃーない、俺も一人で調べるかな」

 

けど嫌な予感がするな……カーリーの奴大丈夫だろうか。アルカディアムーブメントに乗り込んで変な事をしたりしなけりゃいいけど。

なんて、変なフラグは建てたらダメだよな。もっとポジティブに……と行きたいけど、あらゆるリスクを考えちまうからな俺は。困ったものである全く。

 

「よし、夜まで俺なりにアルカディアムーブメントについて調べるか」

『なら私はさっきのミスティって人について調べてみるね』

「ああ、頼んだマナ。とりあえずは部屋に戻ってネットに頼るか」

 

夜まで後5時間ぐらいか。できる限り情報を集めておかないとな。

頼むからダークシグナーは大人しくしててくれよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んぅ。あれ……?」

「すぅ……すぅ……」

 

私が目を覚ますと、そこはソファーの上です。あうぅ、頭がボーっとします。

えっと……あっ!そういえば、コナミさんに息を止めとけって言われて息を吸ったら急に眠くなったんでした。

あれからどれくらいの時間が……。

 

「目が覚めたのね」

「えっ? あぁ!? い、十六夜さんですか!?」

 

いきなり声をかけられて、そっちを向いてみると、いたのは今回の龍亜君たちが仲間にしようとしてた十六夜アキさんでした。

な、なんで私の目の前に?

 

「ん……ぁっ、ゆま、さん」

「龍可ちゃん! 大丈夫ですかぁ?」

 

私の横には龍可ちゃんも眠っていたようです。起きたときに聞こえた寝息はこの子のですか。

ならここは一体、どこなんですか……?

 

「アキさん、ここは」

「黙って見てなさい」

 

ひうっ……十六夜さん怖いですよぉ。龍可ちゃんの質問を遮るように「見てなさい」って言いましたけど、何かあるのかな?

十六夜さんは私たちの方を見ないで、ずっと

窓ガラス越しに何かを見てるようです。

あの先でなにかやってるんでしょうか?当然見ないことには始まらないので私と龍可ちゃんは十六夜さんの隣へ行きます。

 

「えっ……あれって」

「龍亜!?」

 

その窓ガラスの先は、上から見下ろせる形になっていてそこには龍亜君と、さっきのディヴァインさんがいます。

二人ともデュエルディスクを構えていて、でも龍亜君にだけは変なヘルメットと足には鎖が繋がれてます。

 

「あ! 龍可、逃げろ-!」

「無駄だよ。こちらの声は、向こうには届かない」

「クソー……龍可をどうするつもりだ!」

 

龍亜君が何かを言ってるようですが、窓ガラスに防音効果があるのか全く聞こえません。

ということはこっちの声も聞こえませんよね。

 

「アキさん、龍亜に何をするつもりなんですか?」

「ディヴァインは、龍亜にサイコデュエリストとしての資質があるのか、今からデュエルをして計ろうとしてるのよ」

「そんな……ディヴァインさんはサイコデュエリストだから、痛みが実体化するんじゃないですか?」

「そうね。でも、それを身に受ければ龍亜の中の力が目覚めるかもしれない、ディヴァインはそう考えてるのよ」

 

龍亜君はまだ子供なのに……サイコデュエリストの力がどんな物かはわかりませんけど、子供に耐えれるとは思えないです。

龍亜君……頑張って。

デュエルを始めて、カードをドローする龍亜君を見つめながら、私はそう応援するしかできません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「清掃員の振りをしてアルカディアムーブメントに潜入しようと思ったら、なぜかもう清掃員は足りてると追い出されたでござる」

『おかしいねー。せっかくコナミが今日担当の清掃員を休ませておいたのに』

「ほんとだよ。おかげで俺の成り変わり作戦がおじゃんだ」

 

一体誰だよー、俺が裏で練った作戦を簡単に潰したのは。事前に欠席連絡入れて今日は代わりに○○さんに行ってもらいますって今日はシフトを外れてる人の名前まで出して根回ししたのに。

ちなみに、現在は夜でそれも結構遅めだ。今言った通りアルカディアムーブメントに潜入する計画を立てていたのに誰かわからない、恐らくこの休みになったのを狙って誰かが成り変わったんだろうが、見事に潰された。何で俺のこの見事な計画を邪魔されねばならんのだ。

 

「くそ、相手はサイコデュエリストが多いからできるだけ俺も精霊の力とかは使いたくないから潜入したかったけど……裏口とか探してみるか。それか警備員室的なとことかからこそっと」

『ディヴァインとかいう人がコナミの力を感知できたりしたら厄介だもんね』

「ああ。俺が精霊の力を感じれるみたいに、サイコデュエリストにもそういう感じのがあるかもしれないからな。用心に越したことはない」

 

まあさすがに捕まったりすることはないけど、できるだけ穏便にいきたいし。精霊の力使うのも結構しんどいし。

一般人が使えばあまりにも疲れるからしばらく動けないレベル……かもしれない。

 

「ん?」

『何今の音?』

 

いきなり、俺の遥か頭上で何かが割れるような音がした。今のはガラスとかの割れた音か?

 

『こ、コナミ! あれって人じゃない!?』

「はぁ? いきなりなんだ……なっ!?」

 

マナが指さす方を見ると、確かに人がいた。いや、いただけじゃない。その人は、地上へと向かって落ちていた。視線を上に上げれば……アルカディアムーブメントの最上階の窓が割れている。

……ディヴァインの仕業か。

 

『コナミ! 早くあの人を助けに行かないと!』

「ああ!」

 

人の落ちた方へ向かわなくては。

そう思って走ろうとしたとき、突然地震が起きる。さらに辺りに紫色の炎が現れて、壁となって俺の行く手を遮った。いや、俺の前だけじゃない。後ろにも……ん?ここだけじゃなくて、道みたいにずっと続いてるぞこの炎は。

って、さらには雷かよ。なんだこの不吉な事が起こるような前兆は……!

 

「マナ、空へ飛んで、上からこの炎の形を見てくれ」

『え? 分かったけど……いってくるね』

 

マナがふわっと浮いて空へと飛んでいく。無差別に作られたというよりは、何らかの目的をもって出てきたと思われるこの炎。

周りを見渡しただけでも、まるで迷路が作られるようにいくつもの炎の壁ができてる。

 

『コナミー! なんか、変な絵になってるよ!』

「絵? 一体何の絵なんだ?」

『えっとー……鳥?みたいな感じ』

 

戻ってきたマナから聞かされたのは、炎で作られているのは鳥みたいな絵であるということ。

鳥か……まあそれはいい。問題はこの炎が、見覚えしかない。この前の雪乃が操られていた時に出ていた炎、あれと全く同じだ。

ということは、だ。

 

「ダークシグナー、か」

『かもね。あっ! それとコナミ、さっきの人が落ちたって思われるとこに大きな穴が開いてたんだけど……』

「けど? どうかしたのか?」

『何でかわかんないけど、そこには誰もいなかったよ』

「なんだって!? おいおい、何だよそのホラーは……」

 

ダークシグナーと思われる奴が現れてるかもしれないってのに、次はさっき落ちていった人が消えた。おまけに天変地異ときたか……こういう時って絶対いいことないよな。

 

「マナ、急いでアルカディアムーブメントに行くぞ。嫌な予感しかしない」

『うん! でもあそこに行くまでの道が炎に邪魔されてて中々行けないよ!』

「チッ、ならお前は空から最短の距離を案内してくれ!」

『了解!』

 

早くゆまや龍亜達を助けないと。あんなとこにいるのは危険なのにこの状況だ……何があってもおかしくない。

急いでアルカディアムーブメントに行くためにも、マナにナビゲーターの役割を頼む。

地上からじゃどういう風に炎が走ってるのか分からない以上、マナに上から見てもらった方が楽に行けるはずだ。

 

『とりあえず、こっち!』

「分かった」

 

マナの声に従って、俺はアルカディアムーブメントに向かって走り出した。

 

 

 


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